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第74期本因坊戦挑戦手合七番勝負第四局!井山裕太VS河野臨

どうも!こんにちは。みやれーです。


6月13日、14日の二日間、静岡県沼津市「旧沼津御用邸」にて、第74期本因坊戦挑戦手合七番勝負第四局が行われました。今記事では封じ手以降の手順を振り返りますので、1日目の手順は前回記事よりご覧ください。

前回記事

井山裕太VS河野臨

やや本因坊文裕(井山裕太)が優勢かという状況で河野九段の封じ手となりましたが、どこが大きいと見るかが難しい局面でした。それはつまり、正解がはっきりせず、逆に失敗もない。棋風によって多種多様な変化を見せる局面であったと言えるでしょうか。


黒番 本因坊文裕 白番 河野臨

封じ手

封じ手は白1のツメでした。前回した僕の予想が的中しましたね。
上記の通り正解がはっきりせず、棋風で着手が変わる局面なのですが、それが逆に河野九段と棋風が近しい位置にあるのかと錯覚させてくれるので、より嬉しくあります。

実戦図1

ただ黒2には白1の上へオシて、黒石を裂きながら攻めていくものかと思っていたのですが、一転して白3の大場へ。これは地として大きな所なので、流れ的に白1も攻めの手ではなく、先手で大場を打った『地の手』の意味合いが強いのかもしれませんね。

実戦図2

白1を先手で打ったのは、白3、5のオシに反発させないため。例えば黒4で5の点へハネると、すかさず4の点へ切られて、黒石のダメが詰まり身動きが取れません。白1は損のようですが、黒にハネさせないために打たれた細心の準備でした。
黒8と繋がらせ、白9の消しに回り地合い勝負となりました。

実戦図3

黒1からもたれたのは、白の大ゲイマの薄みを突くための準備。白の対応によっては、切断も視野に入れています。

黒9が善悪を超えた超一流の証でしょうか。
黒9は二路左へツグ方が自然です。そちらの方が良いような気もしますが、より良い手を探し、ここで一瞬でも立ち止まって考えてることが凄いのです。実際はツグ方が良かったとしても、黒9には目に見える以上の『深み』を持っていると僕は思います。

実戦図4

白1は黒の間を突破しつつ、大ゲイマの間は切れないという読みの入った手。白9までで中央の黒模様はだいぶ削減されました。
形勢は接近し細かい勝負になってきましたが、厚みでやや勝る分、黒有利とは思います。しかし長期戦ならではの緊張状態が続きます。

実戦図5

白9は白3の右へツグべきでした。そうしないと白1〜黒4の交換が悪手になります。白9でコウ(後術)を防ぐのであれば白1で防ぐべきですし、そもそも白9を打つ必要があったのか疑問が残ります。

参考図


黒10(白9の左)

右上は数十手前から黒6でコウにする手段がありました。黒10、12が手筋で、これは出現頻度がとても高く、覚えておくと便利です。
もちろん強力な狙いであり、黒がコウに勝つと、右辺の白石が黒先白死になることも、このコウを強力なものにしている一因になります。
しかしこのコウは二段コウといい、黒が解消するには三手費やす必要のあるコウです。つまり白は他所で二手打っても、右辺の生きに回る余裕があるのため、例えば左上隅を取るコウダテとか、左下を攻めるコウダテが利く可能性が高く、直ぐのコウ仕掛けは白も戦えたように思います。

もし実戦で形勢白悪しなのであれば、実戦白9は致命傷になりかねない『引き』だったと言えるでしょう。

実戦図6


黒10(白13の右)

黒2の抜きが来たことで、黒6に白7と断点を防ぐ必要が出来たのも辛いですね。黒2の地点は周りに与える影響が大きかったです。

白11も大きいですが、黒18まで左辺を破りつつ一子抱え、黒の薄みも補強されたので安心ですね。紛れる余地がなくなってきました。

実戦図7

黒4に受けなかったのが最後の抵抗。黒10から切断されると、白の大石に生きがありませんが、コウ付きなのでそこで粘ろうとしています。

実戦図8


黒7(白12の地点コウ取り)

白2から上手い切り抜けで一瞬切断の味が出来ましたが、そこまでは争えぬと見て白10のコウ取り。結果白がコウに勝ちましたが、黒1、13の連打で形勢は動いていません。

参考図


白9(黒12の下コウ取り)

白1の切断には黒2から先に眼を奪っておくのが上手く、黒14でコウを解消した後に黒16で白石が取られます。かといって白13のコウダテで左右両方の白石を助ける手はなく、白1の切りが無理だったことが確認出来ます。

実戦図9

後は小ヨセを残すのみです。

実戦図10

黒12完。黒中押し勝ち。

白が足りないと見て投了しました。作れば盤面10目黒が勝つくらいかと思います。

まとめ

第四局は本因坊文裕の勝利!対戦成績を2勝2敗の五分に持ち込みました。

本局は序盤文裕がリードを奪ってからは、形勢逆転どころか、流れを奪われることもなく勝ち切った印象を受けます。細かくはなったものの、セーフティリードは常に保っていたでしょう。

完勝に近い内容と思われますが、これは前局の逆転が響いた結果なのか。もしそうだとすれば、今シリーズの流れはもう既に、本因坊文裕に傾いているのかもしれません。

三大タイトルの挑戦手合には珍しく、次局まで中4日と期間がありません。河野九段が立て直しを図れるのか…。結果もそうですが、内容が問われる第五局となりそうです。


次の第五局は6月18日、19日に長野県松本市「松本ホテル花月」にて行われます。


先にタイトルへ王手をかけるのは一体どちらになるのでしょうか!?




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