Master対AlphaGoZeroの棋譜14
こんにちは。みやれーです。
本局はこの両者には珍しく戦いが少ない碁なので、本局の見所は細かな技と形勢判断です。
実戦譜
黒番Master。白番AlphaGoZero。
実戦図1
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両者のよく見る布石から始まり、早くも模様対実利の構え。
黒17が珍しい所でしょうか。今までは右上にカカリを打つ方が多かったです。
白18以下はZeroらしい地に辛い打ち方。
実戦図2
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上図白2から早速の仕掛け。Zeroはこれまでも模様に対してツケる手を多用しています。
黒9まで進んだ時、白10の方向転換の意味もよくわからないのですけど、もっとわからないのは黒11です。白12とポンヌかれてしまいました。
アタリなのですから助けるのが当然。上図でもそうするべきです。しかし、黒11でも打てるとMasterは形勢判断したのでしょう。むしろ黒良いと判断している可能性もあります。
実戦図3
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下辺は白2と曲がればこんな相場。いい加減の分かれだと思います。
結果的に、左辺には立派な黒地が出来ましたが、白もあえて入ることはしなかったので、Zeroも形勢悪くないと考えているかもしれません。
実戦図4
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上図白2は決め打ちの呼ばれる打ち方。今打つ必要はないのですが、見通しの立たない場所の形をさっさと決めてしまいました。
実戦図5
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白2!おったまげーです(笑)。いやほんとビックリです。これが上手い手だから尚更ビックリ。
Masterはおそらく上図の展開は読めていなかったものと思われます。白2を読めていなかったか、もしくは白22を読めていなかったのでしょう。
参考図
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本当は参考図黒3と打ち、白を丸取りにしたいところなのですが、白4、6と身体を切り裂くような手段に襲われます。結果白10まで、黒が余計に傷を悪化させただけ。
実戦図5に戻り、白22が黒地をへこます妙手でした。これまで黒は形勢良いかのようにわかりやすい手を打っていたため、この一本は非常に痛かった。
実戦図6
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碁はヨセに入りました。まだまだ細かい碁なのですけど、どうも白が良いようです。この両者ですから、形勢ははっきりしたと言ってよいでしょうか。
実戦図7
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実戦図8
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白64まで。
白中押し勝ち。
無難にヨセ終われば白2目半です。
総評
ZeroがここまでMasterに勝ち越している理由の一つは、読みの精度に差があるからだと感じます。Masterが張った模様に対し、Zeroが殴り込みをかけ読み勝つ碁を幾度となく見てきました。
しかし読みから受ける恩恵は死活の分野だけではありません。
先が読めるのであれば当然、この一手の先がどんな図になるのかがわかるということですから、形勢判断にも影響します。
読み抜けがあれば形勢判断に誤差がでるように、読みが正確であればあるほど、形勢判断の正しさが増してくる訳です。
本局では両者とも形勢に自信ありな雰囲気で打ち進めていたにも関わらず、途中おそらくMasterが見落としていたであろう白の好手が出て、結果は白勝ち。その読み落としで生まれた形勢判断の差分が結果に現れたのだと思います。
本局を見てふと思ったのが、Zeroみたいに読みが強い相手と戦う場合、逆に戦いを挑んで形勢判断の関係ない勝負にした方が勝ち目があるのではと思ったのですが、どうでしょうね。
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