高尾紳路VS劉昌赫!第3回ワールド碁チャンピオンシップ国際予選2回戦
どうも!こんにちは。みやれーです。
1月24日から日本棋院本院で「第3回ワールド碁チャンピオンシップ」の国際予選が始まりました。29日までの六日間、日中韓のトップ棋士89名が東京に集まり、計3枠しかない本戦出場枠を争います。
25日の2回戦。本戦出場3枠の内訳は、一般枠2つにシニア枠1つとなっているのですが、一般枠に出場した日本勢20名が全員1回戦で敗退(!)してしまったため、これからはシニア枠の応援に回ります。
今記事ではそのシニア枠から、高尾紳路九段VS劉昌赫九段戦の感想を書きます。
関連記事
高尾紳路VS劉昌赫
今回は40歳以上が一般枠ではなくシニア枠に回るということで(趙治勲九段のような一般枠に強行出場した棋士は例外として)、国内棋戦では第一線で活躍している高尾紳路九段がシニア枠での出場です。30歳で史上六人目の名人本因坊となり、40歳で当時七冠を保持していた井山裕太九段から名人位を奪取するなどしています。
対するは韓国の劉昌赫九段。52歳。世界戦では6回の優勝を経験。韓国が生んだ大スター李昌鎬九段と同時期に活躍し、共に韓国を現在の囲碁強国へと引き上げた立役者です。
黒番 高尾紳路 白番 劉昌赫
実戦図1
高尾九段が黒5の狭い中国流を敷いてスタートしました。一部でベトナム流などと呼ばれている布石ですね。白10、12と黒模様を削減しに来た時、黒17が高尾九段独特の感性。白10の活力を失くしつつ、右辺白三子への攻めを睨んだ手でしょうが、結局どんな得を得れるのかが不明瞭なので、一般的には白4の上へツケて行く手などが考えられる所でした。白は18と打ち込み、地で先行していきます。
実戦図3
白3が上手い手でした。後術しますがこの手で白は脱出が可能なようで、黒は4と戻り、白9で窮地を脱しました。
実戦図4
しかし逃げ出されたとは言え、黒1〜9が厳しい追及で、黒の攻勢に変わりありません。自然と右下隅が黒地になってきて好調です。
黒17また高尾九段独特の重厚感覚。一体何をしているのか掴みづらい手ですが、面白い打ち方でした。
実戦図5
白1で下辺が大きくなってきたので黒2、4へ消しに来ました。この時打った白5、そして7が感覚の手すぎて善悪が難しい。中央の黒石を攻めようとしていることは伝わってきますが、せっかく白1で出来た白模様は荒らされてしまうので、相当思い切った決断でした。
実戦図6
黒1とノゾいたのは、中央を先手で補強して黒5へ回りたいという意味。黒11まで下辺を黒地にしました。そのかわり白16が鋭い踏み込みで、中央の黒石は喰らい付かれています。劉九段が力を出しました。
実戦図8
黒1に一転白2と左下へ。黒も3とお付き合いしてましたが、白8とアタリの瞬間に黒9の手入れ。どうも高尾九段はこの碁を楽観視していたようで、大事を取っての黒9だったようですが、この黒9が大変な緩手でした。白10と抜かれて黒の楽観出来ぬ形勢です。少し難しい接触だったので掘り下げましょう。
実戦図9
更に白1の厳しい踏み込みが高尾九段の予定を狂わせました。高尾九段のコメントには「全く読んでなかった」とありましたが、その想定外が黒4という失着を呼び、白5で参りました。