結城聡VS王磊!第3回ワールド碁チャンピオンシップ国際予選3回戦
どうも!こんにちは。みやれーです。
1月24日から日本棋院本院で「第3回ワールド碁チャンピオンシップ」の国際予選が始まりました。29日までの六日間、日中韓のトップ棋士89名が東京に集まり、計3枠しかない本戦出場枠を争います。
26日は三回戦。シニア枠のベスト8には5名の日本勢が残っていて、本戦出場枠獲得に期待が高まります。
関連記事
結城聡VS王磊
結城聡九段は関西棋院所属の46歳。早碁棋戦であるNHK杯戦では5度の優勝を経験し、これは歴代2位タイの記録。また2010年には悲願の七大タイトル「十段」を獲得し、13年には天元位にも着いている。
対するは中国の王磊八段。41歳。国内戦での優勝経験があり、2002年には中国の棋士ランキングで1位を獲得している。世界戦では2003年の三星火災杯世界囲碁オープン戦での準優勝が最高。
黒番 結城聡 白番 王磊
実戦図1
戦いのない穏やかな布石。一つポイントとしては、右上白12と三々に入った後の白18でしょうか。ネット碁などではよく見かけますが、プロの公式戦ではやや珍しいかもしれません。白18の良い所は変化が少ない所で、黒25の位置を一路上のカケツギにするかどうかを迷うくらい。なので実戦の手順を丸暗記していても良いくらいです。
実戦図2
左上で両者の思惑が交錯して、急に退っ引きならない戦いが始まりました。何故こんな戦いになったのか掘り下げます。
参考図1
白12(白20の地点)
黒15(白16の上)
黒17コウ取り(白14の上)
まずはプロの実戦でよく打たれる形をおさらいしましょう。白4、6とツケノビて黒7の三々に入った時は、白8とオサエ、白12、14とカケツギます。黒15のアテには白18にコウダテがあるのでコウを仕掛け、黒は21、23でコウを譲るのがよく打たれている形です。互角のワカレですね。
参考図2
しかし実戦は黒1を打ったことで黒の思惑が透けてますね。これは本来譲る相場のコウを、黒17とコウダテして争おうということでしょう。この後白がコウを解消して形勢がどうかは難しい問題ですが、とにかく黒はこの図を目指しているようです。
参考図3
そのため白は2と切って変化を求めました。黒の思い通りにはさせないという意味ですね。ここで黒3とワタるのも悪くはないと思いますが、白4と厚みを作って右辺の黒模様を牽制するのが白の狙い。黒もまた相手の思い通りにはさせじと、実戦の戦いを選んだものと思われます。穏やかな布石とは裏腹に、この数手でバチバチと火花を散らせています。
実戦図3
黒1は面白い筋でした。白2と出るならば黒5の切りから白石を団子にし、黒13と補強。綺麗に隅を黒地にしました。しかし、白の目的は厚みを蓄えて右辺の黒模様を牽制することでしたから、白14と手厚くヒラけれるのならば、そこまで腹は立たない気がします。
実戦図4
左辺は白1一本で切り上げて白3へ回りました。ここから黒石にプレッシャーを掛けられるのは、前図で上辺に白石を配置出来た効果ですね。左辺はおそらく生きさえあれば文句無いという態度だと思われます。
黒10と切り結んでサバキを目指しました。
実戦図5
白は1、3と右上の黒石を取る手を選択。しかし黒4とシチョウに抱えれば上辺の白石を切ることが出来、白の団子石が攻められる格好に。黒10から左辺の白石も圧迫されて、相当白が苦しそうです。上辺で切り結んでから黒が大成功しています。
実戦図6
白9まで応急処置をして白11へ。一回黒を16と戻らせて白17へ飛べたので、上図は白が頑張って活躍した様子です。しかし未だ白の団子石にはっきりした眼形がなく、いじめる余地が残っているので、形勢は黒が悪くないでしょう。
実戦図7
黒3、5とは厚い。今すぐ必要な手入れではなかったのですが、中央の攻めを睨みながらそこそこの地もつく手なので着手したのでしょうか。白6は盤上一番の大所。黒は15で拳を振り上げました。
実戦図10
黒5とすぐ解消しました。後はヨセですが、白12に手を抜く発想が中々難しいですね。しかし冷静に地だけを数えてみると、案外先手5目くらいしかないので、黒に薄みなどが無い場合は手を抜くのが正しいケースが多いです。この碁で言えば黒15が地も大きいし手厚いので、良さそうなヨセですね。
実戦図12
白1の手筋で左上隅がセキになり、黒地が0目になりました。単純に計算すると後手13目の手ですが、黒10のアタリに繋げなくなってしまうので、実際には9目程度のヨセでした。