許家元VS周睿羊!第3回ワールド碁チャンピオンシップ国際予選一回戦
どうも!こんにちは。みやれーです。
1月24日から日本棋院本院で「第3回ワールド碁チャンピオンシップ」の国際予選が始まりました。29日までの六日間、日中韓のトップ棋士89名が東京に集まり、計3枠しかない本戦出場枠を争います。
今記事ではその中から、許家元八段VS周睿羊九段戦の感想を書いていきます。
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許家元VS周睿羊
許家元八段は「碁聖」のタイトルホルダー。昨年、当時七冠を独占し続けていた井山裕太九段から碁聖のタイトルを奪取し、日本国内のみならず世界に衝撃を与えた若きスター棋士です。今大会では井山裕太棋聖と張栩名人が本戦にシードされているため、予選に出場する日本勢で唯一の七大タイトルホルダーとなります。
対する周睿羊九段は中国のトップ棋士。2013年の百霊杯世界囲碁選手権で優勝し、現在の九段に進んでいます。
黒番 周睿羊 白番 許家元
実戦図2
白1はこのシマリを荒らす常用の手段ですが、白11とコウに弾いたのが珍しい。この碁では白にコウダテがあるため成立すると読んだ強手ですが、続いて白17と切ったのも信じられない厳しさ。許八段の気合いが感じられます。
実戦図3
白2とコウダテしましたが、普通は黒3と代わり酷い損な手なので、他のコウダテではダメだったのかが問題。白10まででひと段落となりましたが、上辺はまだ薄いですし、白が活躍した感じはしません。
実戦図6
黒4の打ち込みはまた激しい手ですね。勢い白5と打って、黒が上辺を破り、白が右辺を制すフリカワリとなりました。
参考図
もし白2と受けていたらどう打つ予定だったのか。おそらくイメージとしては、黒5くらいまで先手で効けば黒7から切る戦いの役に立つとか、そんな感じかと推測されます。ただ実際にどう打っていたのかは、周九段に聞かねばわからないところです。
実戦図7
黒1の打ち込みは好手。白石に迫りながら黒石を補強しました。白14まで進んで、右上白四子を取る手が残っているし、下辺黒四子も次に白が打つと取られる。中央の白模様も大きい。次打つ手が難しい局面になりました。
実戦図9
黒2はすごい決断力。白3と代わることで下辺の黒四子が自動的に死ぬのですが、黒4が先手になることで中央の黒がやや補強されます。これは左下の白石を仕留める準備でしょう。黒の手から闘志が伝わってきます。
実戦図11
黒3、5で切り離されました。白も8で中央を切るものの、攻め合いは黒が勝ち。白の投了となりました。
黒11手完。黒中押し勝ち。
終局図の攻め合いを少し掘り下げてみましょう。
参考図4
遡って黒1のワリコミに白2と対応するのはどうか。これなら左下の白石は助かりそうですが、今度は黒5で上辺の白石に眼が出来ない。本来は白6で黒石を切り離せば攻め合いで勝っていたのですが、黒9で脱出されるので攻め合いにはなりません。この図も白が上手くいかないのでした。