第43期碁聖戦第二局!井山裕太VS許家元
どうも!こんにちは。みやれーです。
7月6日、東京都市ヶ谷「日本棋院東京本院
」にて、第43期碁聖戦挑戦手合五番勝負第二局が行われました。
前回記事
- 井山裕太VS許家元
- 実戦途中図1
- 実戦途中図2
- 実戦途中図3
- 実戦途中図4
- 実戦途中図5
- 実戦途中図6
- 実戦途中図8
- 実戦途中図9
- 実戦途中図10
- 実戦途中図11
- 実戦途中図12
- 実戦途中図13
- 終局図
- まとめ
井山裕太VS許家元
開幕局を勝利し勢いに乗る許家元七段。実は許七段、未だ今年の国内戦では無敗らしい。絶好調の人といえば毎年どこかで見かけるものですが、無敗で一年を折り返す人は中々いないはず。誰もが認める、今年最強の挑戦者でしょう。
対するは先日、本因坊戦で防衛を決めた井山裕太碁聖。幾度となく修羅場をくぐって、その度に勝ちを掴んできた「七冠王」。今回は最強の挑戦者相手にどんな戦いを見せるのでしょうか。
黒番 許家元。白番 井山裕太。
実戦途中図1
タスキ型の布石。白1のカカリが黒2とハサまれた時、白3とハサミ返したのは珍しい趣向。部分的には黒4などと連打されると、白1の一子は動きづらくなります。が、白は右上隅を軽く見つつ、白5と大場へ先行することで、全局的には悪くないと見ているのでしょう。白の大局観が出た場面でした。
ちなみに、白7とノゾいてから白9とスベるのはAIが産み出した手法。最近はプロ棋士にも愛好者は多いです。
参考図1
もし白2と三々に入ったらどうなるのでしょう。おそらく定石通り進んだ後、黒11にヒラくはず。こうなると左上隅のコスんだ白石が心細いし、右辺も右下隅が三々のせいで低い印象を受けます。これは白が打ちにくい図に見えます。
参考図2
白は6と打つ前に、白2、4を交換することも出来ます。これなら黒7、白8と飛び出して戦いが始まりそうですが、黒9とこちらを飛ぶのが大事なところで、白10にもシチョウ有利なので黒11と切っていけますね。仮に黒15となるなら黒が有利な戦いになりそうです。
参考図3
なので、白2と上をツケるのが個人的に好きな手なのですが、いかがでしょう?
黒5とカケツギなら白6と両ガカリして、黒15までが定石。ここで白16が先手で打てて、白20に回れば、結構白も打ち回した感じがあります。あまり実戦では見かけませんが、白2は個人的に好きな手で、結構有力だと思っています。
実戦途中図3
シチョウが良くなった白は白1のワリコミを決行。これは右上隅を白地にしつつ、黒石に断点を作る大きな手です。
実戦途中図4
白1、3を先手で打ち、次はどこへ打つのかと思えば、白5ですか。これは気付きませんでした。白5は初め、この白一団を整形する意図かと思いましたが、今整形が必要なほど弱い石には見えません。不思議だなぁと見ていたら、白13にまた驚き。なるほど、この黒石に寄り付こうとしているのですね。厳しい考え方です。
参考図1
もちろん、黒2と打てばいつでも生きる石なので、死ぬ心配はない石です。しかし、まだこの早い段階で黒2(地は6目の手)を打たされるのは非常に辛く、仮に白3と右下を構えてられていても、黒の気分が悪いです。
白1は黒石を取ったり、追いかけたりすることは出来ない手ですが、精神的な揺さぶりをかける立派な攻めの手でした。
実戦途中図6
黒1に白2だけ決めて白4へハネました。通常黒5にハネられるのは地も大きいし、眼形も増えるので白が痛いはずですが、白6という器用な手を用意していました。ここに石があると白10の二段バネが成立します。
参考図2
また白1は先手です。本当は喉から手が出るほど黒2へ打ちたいのですが、白3とハネられて下辺の黒石に二眼がありません。黒4から脱出を試みるも上手くいかず、黒石が取られてしまいます。白1は下辺に利いているのですね。
実戦途中図7
黒1と切って戦線拡大。これに白6と頭にツケたのがカッコイイ手筋ですね。実戦は白8と連打出来たので、良い形で中央に進出出来ました。しかし黒の狙いは、黒7に石を持っていくことで右下隅の白を封鎖し、黒13のコウを仕掛ける事でした。これは白石の死活にも関わる厳しいコウ。難しい勝負が続いています。
実戦途中図10
白は3と隅のヨセに向かっていますが、黒は逆に中央へ向かうヨセを多く打っています。
隅や辺のヨセは数字を出しやすく、大きさが比較的わかりやすいのですが、中央のヨセは図を作るのが難しく、数字が出にくい。そのため、ヨセの中でも中央のヨセが一番難易度が高いです。
実戦は黒20までを見てみると、中央付近の黒地がふっくらしてきましたね。上手く黒地を増やした印象です。
参考図
なので前図の、右辺の二線へ打った手では、白1とハネておくのも立派だったことになりますね。ただ右辺のヨセが大体13〜4目なのに対し、白1がそれ以上の手なのかどうか。判断が難しい場面でした。
実戦途中図12
数手飛びまして、形勢の針は未だ揺れている様子。
黒1は決断の手でした。というのも、白2、4と切られると黒5と繋ぐことになり、白6と切って大きなコウになります。コウダテはどちらが多いでしょうか。
実戦途中図13
数手コウダテを打ち合った後、白2に黒3とコウを解消。中央は白4から生還を果たしますが、どうやら黒3とコウを解消した時点で、細かいながらも黒に残る碁になっているようです。黒がヨセで勝負を決めました。
まとめ
前局に続き許家元七段の勝利!対戦成績を2勝として碁聖位奪取に王手をかけました。
本局は黒が優勢に立った瞬間が見えにくい碁でした。それくらい好勝負を続けていたという事でしょうが、ヨセ勝負の中、中央を手厚く構えていたのが結果的に功を奏した印象でしたので、中央が大きいと見た判断と終盤力が、この碁の勝因でしょうか。
絶対王者、七冠王がまさかの2連敗。このまま「まさか」が続く可能性も大いにありますが、しかしなんと言っても井山碁聖、このまま終わる人だとは思えません。最終的に碁聖位がどちらの元にあるかはわかりませんが、この二人の死力を尽くした戦い、碁聖戦五番勝負から目が離せません!
続く第3局は8月3日、大阪府大阪市の「日本棋院関西総本部」で行われます。
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