呉清源 ド派手なフリカワリの一局
こんにちは。みやれーです。
呉清源九段といえば、捨て石がとても上手い印象があります。
捨て石の難しい所は、読みと形勢判断がとても正確でなければいけない所。呉清源さんはその二つが飛び抜けて上手いようです。
僕が特に感じるのが、形勢判断の上手さですね。だからこそ『新布石』などの前例のない打ち方でも善悪を判断出来たのでしょう。
本局は華々としたフリカワリが多く出現し、呉清源九段の強さが良く出た一局となりました。
黒番藤沢庫之助。白番呉清源。
実戦図1
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本局はコミ無しです。
白16や白24など、わかりにくい局面に導く手法です。
実戦図2
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上図白2から面白いフリカワリとなりました。
手順中白10は今しか無いタイミングで、最善の手順を尽くしています。
参考図1
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例えば、上図白2を決めてから白4とノゾくと、黒5、7と対応されて両方打たれてしまいます。
参考図2
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なので上図白2と先にノゾき、黒3の繋ぎを見ればそれから白4の抑えを決めて白6。これは隅に食い込まれた黒が辛く、採用出来ない図です。
そのため、実戦が最善。華麗なフリカワリとなりました。
実戦図3
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上図黒3、5は互いの眼に関わる根拠の要点。大きな所です。
黒13、15と切り違ってから、黒17は面白いタイミング。先手で眼を奪おうとした手ですが、白も18と反発してまたもフリカワリ。
ただ、全体的に見て白24とポン抜いたのが大きく、白が打ちやすいでしょう。
実戦図4
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上図黒13は形勢良くないと見ての勝負手。受けてもらえれば少し得です。
当然白も反発。ここでもフリカワリとなりました。
損得は微妙な所ですね。中央の白が辛い目に会わなければ、白が悪くないです。
実戦図5
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上図黒11からまた面白い事になりました。お互いわかってやってる事ですが、黒13の手筋から隅の黒は生き。そのかわり辺の黒石が取るか取られるかの大コウになりました。
このコウを勝つか負けるかでは、単純計算で60目くらいの違いが出るでしょうか。とても大きいです。
実戦図6
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コウが続いていますが、ほとんど形が決まってしまっているので、コウ立てといえば下辺しかありません。どちらが読み勝っているのでしょう。
結果的には黒がコウに勝ち、白は下辺を大きく地にしました。ここで形勢判断してみると、どうも白が良いようです。
実戦図7
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上図黒1と白十子抜いたために、下辺の黒石はコウになりました。
結局は左下隅の白を取るフリカワリとなりました。これも小さくはありませんが、形勢は白良し。もう紛れる所もなくなりました。
実戦図8
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最終手まで載せました。(白30まで)
白中押し勝ち。
本局はフリカワリの続く難戦で、見た目からしてド派手な一局でした。
二人の深い読みと形勢判断が存分に盤上で表現されて、まさに全力を出し切った一局。とても楽しませてもらえました。
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