囲碁は好きですか?

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柯潔九段の棋譜に見た形勢判断の勉強

どうも!こんにちは。みやれーです。


今日棋譜を並べていると、僕自身の勉強になった碁に出会えたので、少し書こうと思います。

柯潔九段の一局

8月15日、中国囲碁界のメイン棋戦とも言える甲級リーグ戦が行われていたようで、棋譜のリアルタイム中継がありました。これは中国の国内戦ながら、名だたるトップ棋士達が名を連ねる世界最高峰の棋戦。毎回棋譜並べに追われ、嬉しい悲鳴(?)を上げています。

今回はその中から「大帝」こと柯潔九段の碁を取り上げます。


黒番 檀嘯。白番 柯潔。

テーマ図


棋譜再生

次は白番です。とにかく右辺黒の広さが気になる局面で、白は何かしら消しに行きたいところ。実戦は右上からキッカケを探します。

実戦進行1


棋譜再生

白1が右上黒の構え迫る良い手。これくらい迫った方が黒も「受け」か「反発」かで迷うので、白も付け込みやすい。実戦の様に黒2から受けに回るのであれば、自然と白石が増え、白7へ悠々足を進めれます。

黒の大ゲイマの構えに白1と迫るのはよく頻出する格好なので、覚えておくと便利かも知れません。

実戦進行2


棋譜再生

さて、僕が書きたいのはもう少し後の局面なので、少し足早に進めます。

実戦進行3


棋譜再生

前譜から戦いが続いています。どうも黒が猪突猛進しているようですが、元々黒石の多い場所だったので当然かもしれません。

実戦進行4


棋譜再生

黒10で戦いが一段落。黒は中央で白数子を取り、白は上辺を破るフリカワリとなりました。

僕が聞きたいのはこの場面です

黒と白、どっちが良いと思いますか?




良いです?決めました?




僕の直感は黒良しでした。中央ポロポロ取れたし、上辺破ったとはいえ、その程度なら黒が良いかな?と感じたのです。


しかしですね、この後の進行を見ると、この時点でどうやら形勢は白良しだったようなのです。

実戦進行5


棋譜再生

実戦は白1からどんどん形を決めて、白23に回ります。まだ大差には見えませんが、柯潔九段レベルだと勝勢かもしれないほど、白が良いみたいです。

問題の局面


棋譜再生

ですが僕の直感は黒良しを示した訳で、もしこれが僕の実戦だったなら命に関わる大問題。「形勢判断間違えちゃった。てへ☆」で終わらせず、間違えた原因を究明しなくてはいけません。


そもそもこの局面、僕が黒良しの判断をした要因は、中央で白数子が取れたのを高く評価したから。でした。右上一体の黒地を合わせたら20目強ありますし、これから増える可能性もあります。

しかし実際の形勢は白良し。僕の直感は何故間違えていたのでしょう。

比較


棋譜再生

テーマ図です。これと問題の局面とを比較してみましょう。

仮に白が適当に、白1などに打ったとしたら、黒2で右辺は40目(あるいはそれ以上)ほど出来そうな立派な構え。実戦の白はこれを阻止する展開を選んだのでした。


ここで大事になるのは、元々40目以上出来そうだった黒模様を20目強の黒地に制限したこと。おそらくこれが大きかったのではないかと思います。

たしかに、実戦は黒地が確定したし、白石は取られたし、白地は出来ていませんが、碁盤全体を見て20目強であれば白が良いと柯潔九段は判断した。そしてそれは正しかったということです。

気になって囲碁AIの「天頂の囲碁」にも形勢判断してもらいましたが、実戦の進行は白良しを示していました。


つまり、今回僕が間違えた原因を整理すると

部分的な結果を見て黒が良いと判断したが、実際は碁盤全体のバランスから、この結果はむしろ白良しだった

ということでした。

まとめ

思ってたより長くなってしまったので、最後にまとめます。

今回の棋譜で勉強になったことは

  • 形勢判断は部分的な結果より、碁盤全体でのバランスが優先される

ということでした。これを忘れてしまうと、部分の得に気を取られて、いつのまにか大勢に遅れてしまう。なんてことが起きるかもしれません。僕も心に深く刻んでおきます。


あとちょっとだけ負け惜しみを言っておくと、もちろん僕だって本気で囲碁してる碁打ちの端くれ。問題の局面で考えれば白良しであることには気付けるはずです。しかし、形勢判断は一局の中で最も時間が必要な分野。周りがウンウン唸っている中、自分は直感で形勢を当てられるのなら、それは大きな力になると思いますし( それにカッケぇ )、出来るだけ直感の精度を上げる練習をしたいなと思っています。


そういう意味でも、今回の棋譜はとても良い勉強になりました。棋譜を作り上げてくれた対局者のお二人、ありがとうございましたm(_ _)m




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