本因坊戦第一局のヨセは正しいのか?半目勝負を徹底検討!
どうも!こんにちは。みやれーです。
前回、本因坊戦第一局の碁を紹介しましたが、Twitterである方から「終盤も見たかった」(的なニュアンスの事)を言われて、半目勝負なんだしそりゃそうだ!と思わず膝を叩きました。
それに僕だって、あの終盤戦を調べて勉強したいです。
なのでこの記事では、本因坊戦第一局の終盤戦にのみ焦点を当てて図と詳細を書いていこうと思います。
出来るだけわかりやすく書く努力をしますが、自分の勉強のためにも、数字と参考図をバンバン出していこうかと思っているので、数字が苦手な方だったり、記事が長い点などはご容赦ください。
では、本因坊戦第一局の終盤はどのようにして描かれたのか、紐解いていきましょう。
前回記事
井山裕太VS山下敬吾 終盤戦
実戦途中図1
左上隅を黒が生きてすぐの局面。ここから終盤戦が始まりますが、実戦は上図黒1、3のヨセを選びました。この手は何目のヨセでしょう?
参考図5
白1は後手のヨセなので黒2は手抜き。となると白3〜黒8までは決まる形。
じゃあこの図は参考図3の図と比べて白地が何目増えたか数えます。(本当は棋譜上に印を表示出来たら良いのですけど、出来ませんでした > <)
結果白地は14目増えています。更に黒地も1目減っているので、実戦の黒1、3は
14+1=15
で後手15目の大きさということがわかりました。
参考図6
実戦のヨセの大きさがわかったところで、今度は盤上に後手15目以上のヨセがないかを探します。有力候補なのは、上図の黒1でしょうか。黒7までが相場で、上辺の黒地を大きく囲えます。
白8〜黒11は、計算上この形で数えるという目安。
参考図7
白から打つ場合は上図白1、3が相場です。しかしここで黒4と受けるのは甘く、白の先手ヨセになってしまいます。以下黒12まで相場で、前図と比べて、白が先手で約8目ヨセました。(白5、黒8は手抜き)
参考図8
黒4は手を抜くのが良いです。白5、黒6と食い込まれますが、白の後手ヨセになります。白7は手抜きで、黒8〜白17までの形で計算します。
では上図と参考図6と比較しましょう。図6と比べて、図8で減った黒地は8と3分の1目。増えた白地は4と2分の1目です。(3分の1目とは図6にコウがある分の黒地。2分の1目とは図6で上辺の白地が1目増える可能性が50%あるので、その分の白地)
つまりここのヨセは
8と3分の1+4と2分の1=12と6分の5
なので、約後手13目のヨセとわかりますね。実戦で打ったのは後手15目のヨセでしたから、ここのヨセよりも目数的には大きく、正しいようです。
実戦途中図2
実戦に戻りましょう。
黒1と左辺をヨセたところで、実戦は白2とツケコシてきました。この手はヨセというよりも「攻め」に近い手で、読みが必要です。
実戦途中図3
実戦は黒2と反発しました。凄い迫力です。黒4〜白7となった時、黒2白3の交換があるおかげで黒8へ切れるという意味ですが、おそらく秒読みの中、この手を捻り出してくるあたり流石ですね。
実戦途中図4
白2、4で隅が死ぬことはありません。黒5で白2の上へアテればコウですが、黒は自重しました。
実戦途中図6
白2が黒地をえぐる踏み込み。これが中々厳しくて、結果的に黒17まで、上辺の黒地は4目にまで萎んでしまいました。そのかわり右辺には大きな黒地が出来ているので、問題はその損得のバランスが取れているかどうか。
参考図2
仮の図を計算しやすくするため、ある程度の目安になる所まで形を決めます。この参考図2と実戦途中図6を比較してみましょう。
ごちゃごちゃしてしまうので比較結果を並べますね。軽く流し見してください。
実戦は、上辺の黒地が16目のマイナス。右辺の黒地は10目のプラスになっているので、実戦の黒地は6目程減っている事になります。
次は白地。実戦の、右上隅の白地は5目のマイナス。上辺の白地は約3目のマイナス。中央の白地は約3目のプラスになっているので、実戦の白地は5目程減っている事になります。
結果まとめると、実戦は右辺の白のツケコシから白が1目程得をしたみたいです。仮定はややこしかったですが、この結果だけでも知っていてくれたらと思います^ ^