囲碁は好きですか?

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本因坊秀和の棋譜に見る厚みの消し方

どうも!こんにちは。みやれーです。


昨日に続き今日も本因坊秀和の棋譜を紹介したいと思います。



秀和の強さは計算力にあると前回話しましたが、どれだけ計算が出来ても、それを活かす術を知らなければ意味がありません。1目負けだなと計算して、そのまま1目負けるのでは何の意味もないでしょう?

そういう意味で秀和の計算力は、その精度もさることながら、計算を活かす術をよく知っています。

例えば秀和は先に地を稼ぐのが好きなのですが、その後出来る相手の厚みを上手く働かせないように碁を運んでいきます。おそらく秀和の頭の中では、この厚みがどの程度の威力を持っていて、どの程度威力消せば自分が有利に立てるかの計算が出来ているのでしょう。

今回紹介する一局は、そんな秀和の厚みの消し方が面白い一局です。あまり難しく考え過ぎず、「こういうものか」と、なんとなくで感じて頂ければと思います。

本因坊秀和VS坂口仙得

黒番 坂口仙得。白番 本因坊秀和。

実戦図1


棋譜再生

まだ序盤ですが、既に白が一本取っていると言われています。

左下隅に黒の厚み出来たわりには、白18と割られると断点(黒27の左) が気になる格好でやや不満だからです。なので黒は黒13〜白16の交換をせずに黒17とカカるとか、少し工夫する事も考えられました。

ただ黒は悪い手を打った訳ではないので、不満といっても数目の範囲でしょうから気にするほどではありません。

実戦図2


棋譜再生

上図は注目の場面。

白2打ち込みは荒らしの手段ですが、黒5とトビマガった時、白6、10の肩ツキから白12と構えたのが秀和の好判断と評判です。

つまりは左下隅との関係で、この碁は黒が厚い碁形。白12と繋がっておけば、黒の厚みがぼけて全体のバランスを取れるのです。

一見左下から関係なさそうな右上での着手でしたが、常に碁盤全体を見て作戦、着手を決めているのですね。

実戦図3


棋譜再生

黒は5から右下を動き出してきました。戦いが起きれば厚みが働くだろうとの判断ですね。

白8のツケには黒9と切りたくなりますね。以下黒15まで白石が白切り離されましたが、どうなるでしょう。

実戦図4


棋譜再生

上図白4と動き出します。一応これで黒石も切れてるので、少し苦労してもらおうとしてますね。

黒9は面白い手段でした。この線を切ろうというよりは、白14のカケツギを誘って黒15のノゾキを打とうという意図だと思われます。ノゾキがあるおかげで、堂々と黒17へ繋げました。

参考図


棋譜再生

黒1のノゾキがあると白4が怖くないですからね。

実戦図5


棋譜再生

実戦は黒1のツギに白2と中央を補強しました。黒3と切られると左下付近に黒地が見込まれますが、白はこれで形勢悪くないという主張です。

白12は黒の根拠を奪った手です。

実戦図6


棋譜再生

現在上辺の黒石が心許ないですが、黒9、11と準備して黒13の大場へ向かいました。

参考図


棋譜再生

一見白2と包囲されたら怖そうですが、黒3、5と打てば上辺で繋がることが出来ます。


実戦白14は参考図の手段を防いでいますね。

実戦図7


棋譜再生

上図から碁はヨセに入りました。特に中央付近が広くどうヨセるのか難しい碁ですが、実戦白のように一歩ずつヨセていて、形勢白有利のようです。

実戦図8


棋譜再生

実戦図9


棋譜再生

黒51まで。

白3目勝ち。


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まとめ

本局は序盤が面白かったです。黒がやや不満かなといった立ち上がりでしたが、実戦図2で見せた白の厚みの消し方はとても参考になりました。黒が厚い碁形だとわかる人は多いと思いますが、それを考慮して着手を重ねていくあたり、秀和の上手さが光ります。


自分が何の病気かを知っていても、適切な治療を行わなければ意味がないように、形勢判断が出来ていても、適切な対処が出来なければ意味がありません。

形勢判断とは、その判断を元に適切な行動を起こせた時に本当の力を発揮するのですね。




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