AlphaGo対AlphaZeroの棋譜16
こんにちは。みやれーです。
『地』とは言わば『数字』なので、昔から人間も優劣の判断をしてきました。
しかし『厚み』とは人の目には見えない『可能性』なので、昔から人間は判断に苦心してきたのです。
つまり、『厚み』はまだまだ現代でも理解出来ていない所が多いです。
そのせいか、Zeroを含む囲碁AI達の『厚みの捕らえかた』に新鮮な驚きを得る事があります。
囲碁AIには人間に無い、『厚み』の理解があるようです。
その理解が本当に正しいかどうかは別問題として、『厚み』の考え方を切り開いてくれたおかげで、人間がまだまだ強くなれる『可能性』を示してくれた事は、とても嬉しいですね。
黒番AlphaZero。白番AlphaGo。
実戦図1
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両者でよくある布石のスタートかと思いきや、黒19とはなんでしょう。
この局面を見渡して、一番大きいのがそこなんでしょうか?Zeroならではの一手ですね。
実戦図2
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上図白12と継がせて、一応黒1の顔は立たせた格好。そのかわり白は右上へ先着しています。
黒13~19はキカシと判断しているのですね。このあたりはとても難しい所で、相当先まで見通せていないと判断出来ません。少なくとも、僕には真似しづらい手法です。
実戦図3
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上図黒5とは凄い所に打ち込んできました。しかもそれに対する白8もまた凄い対応。両者の高度な駆け引きが行われています。
参考図1
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おそらくですが黒の打ち込みは、中で動こうというのではなく、味付けの意味かと思われます。例えば上図白2と直接取りにくれば黒3のように外から得しにいくイメージ。
白もそれを嫌い、反発した結果が実戦図でしょう。
実戦図4
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サバキはツケよ。と黒3から面白いフリカワリになりました。問題は中央の味がどれ程のものかですね。
白はまず右下隅を荒らしにいきました。小目の二間ジマリの弱点ですね。
実戦図5
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さて、上図黒5からの味ですが、黒13までで結構な稼ぎですね。こうなっては形勢黒が良さそうです。
つまり、右辺の黒のサバキが上手かったということですね。
実戦図6
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上図白6の切りは好手。白4、8のツケヒキが先手で打てました。
白18は強手。中央にアタリの利き筋があるため、黒は抵抗出来ません。
実戦図7
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白の強手が功を奏して、上図白4、6と黒二子を取り込みました。しかしどうやらこの程度では、形勢黒良しは揺るがないようです。
実戦図8
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上図では互いに無茶苦茶なヨセが続いています。はっきり黒勝ちなので、暴走しているのでしょうね。
実戦図9
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最終手まで載せました。(黒53まで)
黒中押し勝ち。
本局で印象的だったのは、実戦図1の黒19。白の厚みをぼんやりと消した手です。
僕の目からして、盤上でそこが一番大きいという確証が持てません。もう趣向の範囲です。
ただ、そこが本当に大きいとすると、今までの歴史にはない『大場感覚』と言えますね。
いつか、中央も大場と言われる日が来るのでしょうか。
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