第43期棋聖戦開幕!一日目の封じ手予想 井山裕太VS山下敬吾
どうも!こんにちは。みやれーです。
新年最初の対局のことを「打ち初め」と言いますが、一般的にはやはり1月5日(囲碁の日)に打ち初めを済ませる方が多いのでしょうか。もしくはお正月、集まった親戚と対局なんてのも楽しそうですね。
プロの世界での打ち初めは7日だったようですが、今日1月10日は新年最初のタイトル戦、
第43期棋聖戦挑戦手合七番勝負が東京都文京区「ホテル椿山荘東京」にて開幕しました。
井山裕太棋聖VS山下敬吾挑戦者
今期の棋聖戦は、現在日本の七大タイトルの内、五つを保持する井山裕太棋聖と、日本最高峰のリーグ戦「棋聖戦Sリーグ」を1位で突破し、勢いそのまま挑戦者決定トーナメントを制した山下敬吾九段の対戦。この二人は昨年末の天元戦でも顔合わせし、その時は井山裕太天元が3勝2敗で防衛しています。
共に平成の囲碁界を牽引してきた第一人者で、これまで多くの対局を重ねていますが、殊にタイトル戦となると井山棋聖に分があるように見受けられます。しかし今期の棋聖戦、山下九段にとっては縁起の良い記録尽くしなのです。
山下九段は昨年末、自身のプロ入り後から25年7ヶ月で公式戦通算1000勝を達成し、これは1000勝達成の最速記録なのだそう。しかもその記念となる1000勝目を飾った対局が、この棋聖戦の挑戦者決定戦だったのです。更に山下九段、この棋聖戦の挑戦者になったことで、2019年も挑戦手合を打つことが確定。これによって、山下九段は2003年から実に16年のも間、毎年挑戦手合に出場していることになります。
つまり山下九段はこの棋聖戦挑戦手合に出場することで、既に2つの記録を作っているのですね。井山棋聖はこの勢いを止めれるのかどうか。まずは第一局の一日目の進行を見ていきましょう。
実戦図1
山下九段の先番。黒5の一間ジマリに白8とツケるのはAI発の流行型。黒の対応によって応手を変える柔軟性もありますが、手抜きを許さない厳しい打ち方でもあります。次の手ですが、これまでの実戦例では上下どちらかにハネることが多いです。
実戦図2
本局では黒1と上をハネました。以下黒13までは半ば定石化された手順で、プロの碁ではたまに見る形です。黒13では手を抜いた実戦例もあります。
ちなみに左上はコウの形が残っていますが、お互い放置することが多いです。仮に黒がコウを抜いても白に放置されて、中々隅は死にません。なので白からも焦ってコウを解消する必要がないようです。もちろん白にコウダテが多ければ、仕掛ける手は地として大きいですけどね。
白14は最大の大場。黒模様を割る絶好点です。
実戦図3
黒1〜7まで、左上の厚みを活かして目一杯に広げる作戦です。特に黒7の四間ビラキは打ち込みが残るので、常識的には一路左へ控えるものですが、打ち込みからの戦いならば歓迎という黒の意思表示です。
白は8と大場へ。これは黒石をハサんで攻めるつもりではなく、黒模様を割って、戦いはしませんよと言っているのでしょう。攻める気ならば白8をもっと下へ寄せたり、隅からコスミツケたりするでしょうから。
ここの数手はお互いが意見を主張し合った面白い攻防でした。
実戦図5
白1は逆襲。黒三子が弱いよと主張しましたが、黒2が更に逆襲。本格的な折衝が始まりました。白3のツギは絶対で、黒は4を利かし、黒8まで一子取り込むのが狙いだったようですね。しかし白石も強くなったので、白9、11とオサまって不満なしでしょう。
実戦図6
黒5とツケたところで、次の54手目を井山棋聖が封じ、一日目が終了しました。
大変なところへツケて終わりましたね(笑)。どう対応するのか楽しみだったのですが、一晩お預けされてしまいました。
少しツケの意味を解説しましょう。
参考図1
まず白2のハネが目に付きますが、黒3とハネられて白が切れます。仮に白8までとなるならば、黒9から上辺を囲う展開になるかもしれません。
黒1から3とハネる手筋は意外と使える場面が多いので、知っていて損はないと思います。