第43期棋聖戦挑戦手合七番勝負第一局 井山裕太VS山下敬吾 二日目
どうも!こんにちは。みやれーです。
前回に続きまして、第43期棋聖戦挑戦手合七番勝負第一局の感想を書きたいと思います。封じ手以前の手順は前回記事をご覧ください。
前回記事
二日目
一夜明けた1月11日の午前9時、54手目の封じ手開封から第一局が再開しました。
前回の記事で僕は封じ手予想をしていて、まあ二択でしょう。みたいな事を書いていたのですが、いざ蓋を開けてみるとビックリ!井山棋聖はその二択以外の所へ着手しているではありませんか。
めちゃめちゃ予想外しましたごめんなさい
初手謝罪から入る解説へようこそ。どうぞ最後までお付き合いくださいませ。
封じ手
注目の封じ手は白1のハネでした。これは前回も一応触れていたハネだったのですが、黒に強手があるような気がして候補から外していました。しかし井山棋聖はこれで戦えるとの判断。再開直後から読み比べが始まりました。
実戦図1
井山棋聖は白3を用意していたようです。白の二間が心許ないですが、後術する手段でギリギリ繋がっているようです。
しかし山下九段も黒4、6という重厚な攻めを用意していました。形が空き三角なので気付きにくいですが、この場合の好手。この黒が取られなければ白石に眼が無いでしょ、と主張しています。確かに現在白は切羽詰まった状況です。
参考図
白1には黒2と飛び出せば白石を切れるように見えますが、白3、5と切り返すのが手筋で、白11まで白二子を捨て石にしてスルスルと繋がることが出来ます。
この形は通常であれば、白二子を取った得もあるので黒も満足出来る形なのですが、この碁だと元々あった黒の厚みとの重複が目立ち、白のサバキが成功の図となります。なので上図黒2は悪手です。
実戦図2
白5は好手。黒6と一度後退させたので眼形に余裕が出てきました。白13とカケツいで死ぬ石ではありません。しかしやや辛い生きになりそう。
実戦図3
白16まで打って、白の生きが確定しました。しかし白が生きるために打った手は地的に小さい手が多く、逆に黒は3に石が来たり左上のコウに強くなったりと得をし、先手で黒17へ打てました。形勢で言うと互角と言って良いと思います。上辺での両者の攻防は見事でした。
実戦図4
とにかく右辺から伸びる白石に眼が無いので、白は補強を目指しています。
黒4が手筋で好手。こういう手はとても参考になります。勢い黒12まで進みましたが、結果黒は下辺方面に立派な模様を形成し、地合いで接近しています。白に逃げ出されたとはいえ、黒の攻めは十分なポイントを上げたと言えるでしょう。
ちなみに右辺の黒一団は100%生きているので安心です。
実戦図5
白1、3のハネツギは地味ですが馬鹿にならない大きさ。地だけでも20目くらいの価値があると思います。
黒は8と左辺へ展開。白もこのまま頑張られる訳にはいかないと白9の打ち込み。碁は狭まってきましたが、打つ手の厳しさは留まるところを知りません。
実戦図6
黒3は流石にやり過ぎでした。下辺白石の丸取りを狙った山下九段らしい豪快な手でしたが、白4がお互いの急所です。黒5とサガるのでは攻め足が遅く、白8、14と足早に脱出されてしまいました。これでは黒3の丸取り作戦が泣いています。
参考図
何はともあれ黒3とマゲるくらいだったでしょうか。この後白は脱出を目指すつもりだったのか捨て石にするつもりだったのか。作戦次第で打ち方が大きく変わるので予想を立てるのが難しいですが、黒も十分戦えたかなと思います。
まとめ
棋聖戦第一局は井山裕太棋聖の勝利。幸先の良いスタートを切りました。
内容的には山下九段にチャンスが多かったようにも見えましたが、井山棋聖の力強い終盤戦が光りましたね。優勢が見えた時の最短距離で勝利へ導いていく強さが流石でした。
次の第二局は1月21日、22日に鳥取県境港市「夢みなとタワー」にて行われます。
※追記 実戦図6から左上のコウの表記がおかしくなってます。見にくくなっていて申し訳ありません。
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