囲碁は好きですか?

あなたに囲碁を好きになってもらうために、囲碁の面白さを伝えていくブログです。

囲碁は好きですか?

AlphaGo対AlphaZeroの棋譜19

こんにちは。みやれーです。


本局で僕が一番印象に残ったのは、黒の右下隅の打ち方でした。
黒は3手目で三々を占めたのですが、三々は一度死んだふりをして、一番良いタイミングで動き出すフットワークの軽さが勉強になりました。


黒番AlphaZero。白番AlphaZero。

実戦図1

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本局は黒大ゲイマジマリ。大ゲイマジマリの場合、左上隅は三々入りなんですね。二間高ジマリの時は普通にカカリでした。

実戦図2

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上図白6、8に黒7、9とフリカワリの道を選びました。黒の言い分としては、隅の三々が中々死に切らない所です。ただ白も下辺の幅が良いので不満は無いです。
白16は妙な位置ですね。

実戦図3

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上図白2、4は汎用的な手筋。覚えておいて損は無いです。
黒11がとても良いタイミングです。白の打ち方が悩ましい。白12は気合いですが黒29までの出来上がりは黒が打ち安そうに見えます。

実戦図4

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上図黒19まで進んで、やはり黒が良さそう。
白としては、右辺の広い所をどうにかしないと勝ち目はありません。

実戦図5

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上図黒19は中々厳しい割り込み。白の弱点を突きながらシノギます。
後一応、左下隅の黒の眼だけは気を付けなければいけません。うっかりすると死にます。

実戦図6

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上図白4、6の二段バネは厳しい。黒の駄目詰まりのせいで黒7の後退はやむ終えません。

実戦図7

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白4のハサミツケから白が躍動します。
白14から20と絡めてどんどん得してます。
こうなるなら黒3は右辺を守るべきでしたかね。

実戦図8

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上図黒3はよくわからない。
後は大体普通のヨセ。形勢は黒が良いようです。

実戦図9

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最終手まで載せました。(白まで)

黒一目半勝ち。

右辺だいぶヨセられた感じでしたが、黒に残りました。

おそらく、右下隅の形が決まった時点では、黒がはっきり良かったかと思います。
黒右下隅の三々の使い方が印象的ですね。回りを囲まれても、中々死に切らいようで、上手かったです。

中央で白に二段バネされた当たりから白の猛追が始まりましたが、勝ちには届きませんでした。




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美しい石運び 大竹英雄

こんにちは。みやれーです。


今回紹介する大竹英雄九段は、『大竹美学』と言われるくらい、美しい碁を打ちます。

美しいとはなにかといえば、形が良く、筋が良く、先を急がずゆっくりと打ち進めるその石運びが美しいのです。

今回選んだ本局は、特に綺麗でかっこよくて、大竹九段の名局です。
鑑賞するには最高の一局だと思います。


黒番小林光一。白番大竹英雄

実戦図1

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大竹九段の白番。とてもゆっくりした布石ですね。近年では滅多に見ない立ち上がりです。

実戦図2

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上図白4が素晴らしい一手ですね。良い悪いちょっとわかりませんが、大竹九段らしいゆったりとした打ち方です。
また、白10と遮っていくのも僕には無い発想でした。上辺より左辺を優先したのですね。

実戦図3

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上図で白8と打ち込んできた時、黒9、11と下辺に打ち込み返しました。

参考図1

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本来であれば、上図の黒1のように打ち込まれた所を打ちそうですが、仮に黒1だと中央が厚くなるだけで、黒が甘くなります。厚みを使える場所が無いのです。

など、白の打ち込みへの対処が難しいので、手を抜いて下辺へ打ち込み返した訳です。

実戦図4

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こうして見ると、何となく白の石が伸び伸びしてるのですよね。全ての石が働いている感じです。
このままではいけないと見て、黒13から石を切ってきました。

実戦図5

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上図白2、4は厳しいツケ切り。ここからコウが始まりました。
しかし、すぐコウを仕掛けるのではなく、白10からふんわりプレッシャーを掛けたのが面白い一手。黒の打つ手が難しくなってます。

実戦図6

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上図黒1とノゾかれた場面。普通なら何も考えず繋いでしまいそうですが、大竹九段は白6と飛びました。黒と切られる事で黒地が20目くらい増えましたが、問題無いと見ています。
白10も面白い手ですね。黒が辛い形になってきました。

実戦図7

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上図黒1はコウも解消したいですが、中央に白地が大きく付きそうで仕方が無い。
逆に白はコウに勝って地も増えたし、黒の目も怪しい。上手く局面を動かしています。
黒13からは玉砕覚悟の仕掛け。ここで勝負が決まります。

実戦図8

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最終手まで載せました。(白32まで)

白中押し勝ち。

最後は大石同士の攻め合いになりましたが、白が勝ちです。


本局は白の作戦勝ちでした。というか、白に悪手がなかったです。
序盤でのゆったりした手の連続。それでいながら形勢は遅れていないバランス感覚。大竹九段の良い所がたくさん出た一局でした。




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井山裕太天元 天元位防衛!

こんにちは。みやれーです。


今日行われた天元戦五番勝負第三局で、井山裕太天元が一力遼八段を黒番中押し勝ちし、通算3連勝で天元位防衛を決めました。

井山さん天元位防衛おめでとうございます!

これで今年の七大タイトル戦が全て終了。結果井山さんの全勝でしたね。

王座戦に続き天元戦でも3連勝のストレート勝ち。次の棋聖戦が始まるのが1月ですから、それまで井山さんは休暇になるのでしょうか。
相当忙しい一年でしたし、出来るだけ休んでもらいたいですね。身体だけは気をつけて欲しいです。

一力さんも次の棋聖でも素晴らしい碁を期待しています。

対局お疲れ様でした。




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AlphaGo対AlphaZeroの棋譜18

こんにちは。みやれーです。


囲碁はよく数字が出てくるため、形勢を理屈や数字でしっかりと判断しているというイメージがありますが、意外と雰囲気で判断している所もあります。

というのは、囲碁はとても広いゲームなので、数字だけではどうしても判断を下せない場面があり、そういう時は何となくの流れで形勢判断します。

何となく苦しそうだ。とか、何となく打ち安そうだ。とか。

ただ、それは人間の話であって、AIはおそらく雰囲気では打たないのでしょう。
しっかりと数字を出した上で、次の一手を打ちます。

だからか、本局の様に見た目ではまだまだ良い勝負に見える碁でも、後々まで進んでみると、どうも片方にチャンスが無い。みたいな現象が起きるのでしょうね。


黒番AlphaZero。白番AlphaGo。

実戦図1

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何気に始めて見る布石です。
黒の構えは同じですが、白が二連星なのが違う所。今までは中国流を敷く展開が多かったですから。

実戦図2

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上図白6に対し、手を抜いて黒7と大場へ打ったのは面白い発想。僕は左辺方面にしか目が行かなかったですが、視野が広いですね。
黒9からのツケ二段。AlphaGo系列の囲碁AIは皆好んで打ちますね。単純にスベリで打つより良いと見ているようです。

実戦図3

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上図黒7、9で左上隅は治まりました。こうなると、上辺の黒3~白6まで二手ずつの交換は黒が得してそう。なるほどの打ち回しです。
さあ、白10から戦いが起こりそうな気配。どうなるでしょうか。

実戦図4

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上図黒1から石が切れてきました。難しい所ですが、とにかく両者、目一杯の手を打っている印象です。
黒23が気合いの一手、白に「右下受けろ」と催促されてる訳ですが、反発しました。

実戦図5

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上図黒1は打たれたらドキッとする一手ですね。部分的にはまだ右下隅の黒が活きていないので、AIですし、もし死活が読めてなかったらと思うとひやひやします。
実際は白が2から下辺を受けたことで一段落。ですがこの衝突は黒がポイントを上げました。

実戦図6

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上図黒1は地が損な打ち方ですが、白6と黒7の交換をして欲しかったという事でしょうか。高度な打ち方です。
上辺の白も相当大きくなってきました。ここがどの程度まとまるかが勝負になりそうです。

実戦図7

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上辺の黒は結構苦しそうに見えますが、上図白2のノゾキに利かず黒5とは凄い。また、白12にも利かず黒13。確かに中央黒は活きているようですけども、相当辛い格好です。上辺黒もまだ活きていないし、これで黒打てると判断しているとしたら、相当先まで読めているという事ですね。

実戦図8

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上図白6は、上辺から目を取りに行くことは出来なかったのでしょうか。確かに白も薄くて、何か手があるのかもしれませんが、黒7、9とツケ下がっては黒はっきり活き。碁も黒が勝ちのようです。
しかし、Zeroはいつからこうなる事がわかっていたのでしょうか?

実戦図9

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下辺黒五子取られましたが、損はありません。

実戦図10

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最終手まで載せました。(黒83まで)

黒中押し勝ち。


上図では無意味な先手やコウが長く続いたため、手数が長くなりました。ですがいずれも勝敗に影響はありません。

本局のポイントは、やはり下辺上辺ともに、黒が読み勝った印象があり、そこでポイントを上げています。

全体的な流れとして、白も悪くないような感じなのですけど、黒がしっかり読めていたので、黒が勝った碁でした。

AlphaGoとZeroとでは、読みの力に差があるのですかね。




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大ゲイマジマリの攻防

こんにちは。みやれーです。


前回の続きで、白の四間高ビラキの図を研究していきます。

テーマ図

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前回は白8のヒラキに対し、打ち込んでいく図の研究をしましたが、今回は打ち込まず、黒9と詰める手を研究します。
現在では、打ち込みよりもむしろ上図黒9の方が主流となっています。

研究図1

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上図黒1に対し、一番普通なのは白2でしょうか。
これで悪いとは言えませんが、黒5のカケが大ゲイマジマリと呼応して中々の好点。やや黒が打ちやすいでしょうか。

研究図2

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前図のカケを嫌って、白2とツケるのがMasterの打った手法であり、現在でも定形の筋。一昔前では考えられない手法ですね。現代流と言えます。
白の狙いとしては、黒7までとなったとき、白8と頭を止めるのが狙い。以下白14まで進んだとすると、白も立派な形を得る事が出来たので、白に不満はありません。

研究図3

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ならば黒13と切ってみるのはどうでしょう。白20までほぼ一本道として、以降戦いとなるでしょうが、白が互角以上に戦えそうです。

研究図4

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では上図黒13の切りはどうか。
黒21まで進むと白五子が取られますが、この図ならばむしろ白が良いでしょう。

研究図4の補足

棋譜再生

研究図4を『手割り』という方法を使って形勢判断してみます。
『手割り』とは、実戦とは手順を変えて、実戦と同じ形になった場合、おかしい手を打ってないかを検証する方法です。
上図がそれ。黒1~白12までと、研究図4の黒1~白22は同様と考えます。
これと比べてみた場合、もちろん白五子が取られた事はマイナスですが、黒の打った手が白を厚くする損な手ばかりなのがよくわかります。
なので、全体的に見て白良しなのです。

研究図5

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白2とツケた時、上図黒3と反発するのがよく見る打ち方。やはり前図までのように、頭を止められるのは痛いとの判断です。
仮に黒7までならキカシと満足して、白8ぐらいでしょうか。研究図1の黒カケの価値を小さく出来ました。
形勢は互角でしょう。

研究図6

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黒は7と反発することも出来ます。
以下白10までが相場。個人的には白が立派だと思いますが、前は黒で打つ人もよく見掛けました。

研究図7

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上図黒3の引きもあります。これならば白4と戻るくらい。
後々黒7のカケには白8の味があるのが自慢。形勢は互角でしょう。



大体こんな所でしょうか。
まだまだ広い局面ですので、探せば無限に図が出て来るでしょうが、今わかっているのはこんな所。

研究してみてわかったことは、テーマ図白8の四間高ビラキは中々有力なようで、はっきり白悪い図が見えませんでした。

長い歴史を積み上げてきている囲碁ですが、今だ新しい打ち方で有力なものが見つかるって凄いですよね。
本当に囲碁は広いです。




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本因坊秀策 黒番の確実な勝利

こんにちは。みやれーです。


本因坊秀策の時代は現代と違い、コミがありません。
なので、一手先に打てる黒番は有利とされ、江戸時代後期~コミ制度が出来るまで、同レベルの相手との勝負において、黒番は絶対に勝たなくてはいけないと言われていました。

つまりは黒番を勝ち続ける限り、例え白番で負けたとしても、その人に負けた訳ではないという、そういう理屈。

秀策はその点、絶対的強者といえます。

秀策は黒番での得意布石『秀策流』に代表されるように、黒番での勝ち方に定評があります。
一瞬も隙を見せず、遅れも取らず、対局開始から終局までずっと黒番のリードを保ち続ける事が出来る棋士でした。

本局はそんな秀策の黒番譜です。


黒番本因坊秀策。白番加藤正徹。

実戦図1

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白6は当時では珍しい打ち方。秀策流に対策を立てていたのかもしれません。
白16は現代なら一路左へ挟みます。黒23までなら黒に不満がありません。

実戦図2

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上図白8は左下白の応援も兼ながら、左辺の地を制限する頑張った手。
ここで、黒15が初見とても驚いた一手。普通は白地を増やすだけの悪手ですが、黒17へ飛ぶ事を考えると、下辺の黒模様を大きくする手厚い一手となっています。
逆に15の地点へ白に押されるのとの差は大きいです。

実戦図3

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上図白14と押した場面。上辺が大きくなってきたので、普通であればどこか上辺に打つと思いますが、秀策が打ったのは黒15。
こういう手は秀策らしいですね。上辺は今すぐ入る必要無しと見て、手厚い一手で盤面全体を睨んでいます。

実戦図4

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黒1から上辺を減らしにいきました。
黒9~21は上手い手筋。白の弱点を上手く突いています。

実戦図5

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上図黒7~13は厚いシノギ方。これで眼形が豊富になりました。
黒17に回れては黒優勢です。

実戦図6

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上図黒3と一目取って万全の体勢。後はヨセです。
白8から少しややこしい手順ですが、変化の余地は無いようで、おそらく最善です。

実戦図7

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上図ではあまり言うことがない平凡なヨセが続いています。

実戦図8

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最終手まで載せました。(黒43まで)

黒中押し勝ち。

最後は白38で39の所へ打てば無事でしたが、それでは足りないと見て、玉砕に行きました。


本局は黒に悪かった瞬間がなく、その一歩一歩進む足取りはとても綺麗で、秀策らしい確実な勝利となりました。

逆に白にはっきりと悪い手も見当たらなく、しかしそれでも黒が勝てる所が、秀策の芸の深さでしょうか。



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古碁の楽しみ方

こんにちは。みやれーです。


どこからが古碁なのかってラインはとても曖昧だと思うのですけど、例えば昭和初期~中期の碁って古碁と呼ぶのかどうか。このあたりは人によって捕らえかたは変わってくるでしょうか。

僕のイメージでは江戸~明治の碁を古碁と呼んでいます。家元四家があった時代です。

近年ではAI革命が起きたことで囲碁がガラリと変わり、数十年前にも呉清源さんと木谷実さんが新布石革命を起こしたことで碁が変わり、古碁と現代碁では似ても似つかないほど変わり果てているため、古碁は並べないという人も増えていると思います。

確かに時代が進むにつれ、囲碁のレベルは確実に上がってきているので、古碁よりも現代碁を優先して並べることも理解出来ます。

しかしあの時代のトップ棋士達は決して弱い訳ではなく、それどころか、現代でも勝てる人は少ないだろうと思われる棋士もいます。

そしてなにより、皆個性が強い

良い手か悪い手かではなく、その人の個性、その人が楽しんで打った証を見る度に、僕も楽しくなるのです。

少し紹介してみます。


黒番安井知哲。白番本因坊道策。

棋譜再生

黒1とハネた局面。普通なら左下に目が行きますが、ここで白2と雄大に構えたのが道策の個性。
さらに白4、6と五線の連打。この雄大さは道策以外には中々出せません。

黒番本因坊烈元。白番安井仙知。

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誰よりも奇抜な手を打った安井仙知。
そんな仙知の奇抜さがよく出ているのが上図の局面。
白の大模様に入ってきた黒1~7に対し、なんと白8で応戦。一切のサバキを許さぬ意表の一着。
良くも悪くもこれが安井仙知です。

黒番本因坊元丈。白番安井知得。

棋譜再生

これは本因坊元丈の中央思考が際立った一着。
黒1がそれです。通常右上のシマリから二間にヒラく手しか思い付きませんが、元丈が中央が大きいと見ています。
これも善悪を超えた元丈らしさです。
総譜も紹介しているので、そちらもどうぞ。

黒番鈴木知清。白番安井知得。

棋譜再生

本局は安井知得の碁でも特に好きな一局。
黒1のカカリに対し、白2が知得しか打たぬ一手。昨今ではAIが黒3のカケを有力視している風潮がありますが、知得は真逆で、これで白が打てると見ています。
また、右下の白の打ち方もとても面白く、是非総譜でご覧ください。

黒番太田雄蔵。白番本因坊秀和。

棋譜再生

本因坊秀和は手堅い打ち筋が特長で、形勢判断力がずば抜けて高い棋士です。
しかし流石に手堅いとはいえ、上図白2~12まで全て受けきったのは驚きの戦法。左辺の黒模様が中央まで伸びてきて怖い打ち方です。ですが、これで秀和は打てると見ているのです。
後にこの碁を解説した本因坊秀甫は、「白4より12までの手は秀和だから打てる手だが、模範としてはいけない」(意訳)と言ったそうです。

黒番中川順節。白番本因坊秀策。

棋譜再生

本因坊秀策は力を溜めるのが上手いです。というのはつまり、力を溜めた後、その分を回収出来るだけの見通しが立っているということ。
上図白2は正にそんな一手。広い所はたくさん空いているのに、わざわざそこへ一手掛けて、将来の戦いに備えているのです。
総譜ではこの一手の威力がよく出ています。

黒番田村保寿。白番本因坊秀栄。

棋譜再生

本因坊秀栄は白番での軽やかな戦法が面白いです。
上図白2の星も当時打つ人は少なかったと思いますが、白6の二間高カカリの方が少ないでしょうか。
このような軽くて足早な打ち筋が魅力の棋士です。


このように、どの時代の棋士も個性に溢れていて、魅力があります。
今回紹介出来なかった人達にも個性的な人はたくさんいて、その人らしい一手を見る度に楽しくなります。

興味のある人がいるなら是非並べて見てください。それか僕に「この人」って教えてください。その人の面白い棋譜を探してきます。




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