囲碁は好きですか?

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第43期棋聖戦挑戦手合七番勝負第四局 井山裕太VS山下敬吾

どうも!こんにちは。みやれーです。


2月13、14両日に行われた、第43期棋聖戦挑戦手合七番勝負第四局の感想を載せていきます。一日目の手順については前回記事よりご覧ください。


前回記事

井山裕太VS山下敬吾

二日目が午前9時より始まりましたが、まずは封じ手を見ていきましょう。昨日の僕の予想は当たっているのでしょうか。


黒番 井山裕太 白番 山下敬吾

封じ手

封じ手は黒1のハネでした。僕の予想が当たりましたね!ここまで封じ手三連続外しの汚名返上が出来たでしょうか。

実戦図1

さらに実戦は黒11まで進み、細かい違いはあるものの、昨日予想した展開とほぼ同じ進行となりました。やはり当たると嬉しいですね^ ^

ただ黒9のコスミは驚きました。僕は一路下のツケを予想していましたが、黒9は白の大ゲイマの薄みを狙っているのでしょう。地味な手ながら、狙いを持った一番厳しい手でした。

実戦図2

実戦は白1とツケましたが、黒2の三々が厳しそうなので少し意外な手段です。どうも山下九段は右上の形を必要以上に悲観していたらしいので、この辺りでは少し頑張ろうと意気込んだのかもしれませんね。白9と最強に打ち、黒10の切りを迎えて戦いが始まりそうです。

参考図

部分的な話ですが、右下は白1と打つのが好手とされています。基本的には白に不満がない格好なので、これで勝負するのことも出来ましたね。黒は2とワリ打つくらいなので、ゆっくりした局面になっていました。

実戦図3


黒2(白3の上)

白1とアタリすればほぼ一本道。途中黒4が上手い切りで、黒8とポン抜いて隅を生き、更に黒10と白を切断出来ては、黒の厚みが働く展開なので不満ないでしょう。

参考図

黒1に白2と取ってしまうと、黒3で下辺が破られてしまいますね。黒5で白三子がアタリになるのが黒1の力です。

実戦図4

囲碁AIの意見としては、黒1と切られて白の勝率がガクッと落ちたらしいです。元々は白優勢と判断していたようなので大差ではありませんが、局面は混沌としてきました。

白4から押していくのは黒5と先に伸びられるので、あまり良い手とはされていませんが、下辺から左辺までの援軍を活かして、黒を包囲しようとの意図でしょう。しかし黒11が強烈なハネ。白12と切られますが大丈夫なのでしょうか?

実戦図5

黒1、3と形を整えた瞬間白4のツケ一発!どういう意味でしょうか。少し掘り下げます。

参考図1

まず単に白4と抱えた場合ですが、実は黒5と打たれると下辺の白石に二眼ありません。白の抵抗も虚しく、白石が取られてしまうのです。これはダメですね。

参考図2

では白4と下辺へ打てばどうなるかですが、この場合黒5の切りが成立します。

参考図3

白がいくら秘術を尽くしても、この黒を取ることは出来ません。逆に右辺の白石が取られてしまいます。

参考図4

仮に白1に石があった場合黒2がどうなるかというと、白11まで綺麗なゲタにかかります。この黒2防ぎのために早く白1へ回りたいのですが、このままでは前述した通り下辺の白石がもたないので…。

参考図5

実戦白1のツケにたどり着きます。黒2と代わっておくことで、黒4の強襲には白5から生きる手段が残されているのですね。

実戦の白は綱渡りを渡るかのようなギリギリの道を進んでいますが、何とか渡り切ることは出来ているようで、山下九段がいつからこの展開を読んでいたのか、興味が尽きませんね。

実戦図6

下辺の白石を取る手がないので、今度は黒が生きを目指す番。黒1を先手で打ち黒3の逃げ出しを決行しました。ここを逃げ出すことで白にも弱点が出来るので、下辺の黒を取ることは出来ないという判断でしょうか。この辺り常人には追い付けないレベルの読み合いを展開しています。

実戦図7

下辺の競り合いから黒17で一眼を確保。ここで白は分岐点に立たされます。つまり、下辺の白石を取りに行くか否かです。

参考図1

白1と眼を取れば下辺の黒石に二眼はありません。しかし黒6と切られて右辺の白石に生きがあるかどうか。僕のヨミでは中々生きる手が見つかりません。下辺の黒石へ手数も長くコウもついているので、攻め合いだと白にも心配が多いです。

参考図2

仮にですがこのような図になったとすると、右辺の白石に二眼ありません。下辺の黒石との攻め合いになりますが、黒石の手数はコウを無視すると8手あります。白の手数は9手なので攻め合いは白有利ですが、コウが悩みの種ですね。仮に下辺は白地になったとしても、左辺の黒地も中々の大きさですから、地合いの計算もしなくてはいけません。山下九段の決断は如何に。

実戦図8

白は攻め合いに勝機無しとみて、白1のカケツギを選びました。黒2と生きて下辺の戦いは終わります。

形勢ですが、流石に下辺の荒らしが大きく黒有利な形勢のようです。しかも黒8からまだ白石に寄り付こうというのですから厳しいものです。

白9は勝負手。反撃も承知の上で、左辺の荒らしに全てを懸けました。

実戦図9

白13まで左辺の荒らしを見るだけでなく、中央を切ることで黒の薄みも狙っています。一歩でも引くと形勢逆転されそうな勢いで粘りますが、黒も16、18と切って勝負を決めにきました。

実戦図10

白は粘りますが、黒14を見て投了となりました。

黒14完。黒中押し勝ち。


少し謎を残したままで終局したので、この後の手順を少し載せます。

参考図


黒1(白6の地点)
黒5(白8の地点)

黒1の逃げには白2とアタリするしかありませんが、黒7まで先手でシボりを決めます。それから黒9と中央を脱出し、黒15で中央はセキになります。となると残されたのは右辺の白石だけですが、これに生きる手段がないので、投了やむなしでした。

まとめ

第四局は井山裕太棋聖の勝利。これで対戦成績を3勝1敗とし、棋聖位防衛へ王手をかけました。

本局は何と言っても右上のフリカワリですね。井山棋聖の思い切った決断が素晴らしく、形勢判断の難しい碁となりました。山下九段は厚み派ということもあって、右上の厚みを必要以上に過大評価し、形勢挽回を図っていたようですが、冷静に地合いで争えば白もまずまずの形勢だったようなので、そこの判断が勝敗を左右したと言っても過言ではないでしょう。


続く第五局は、2月27日、28日に山梨県甲府市「常盤ホテル」にて行われます。井山棋聖が防衛するか、山下九段が留まるか、注目の一戦です。




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