第43期棋聖戦挑戦手合七番勝負第三局 井山裕太VS山下敬吾
どうも!こんにちは。みやれーです。
2月3日は第43期棋聖戦挑戦手合七番勝負第三局の二日目です。節分の日でもありますし、福を呼び寄せて勝利を掴むのはどちらでしょうか。今記事では二日目の手順を追います。一日目の手順は前回記事よりご覧下さい。
前回記事
第三局二日目
序盤から競り合いが続く戦いの碁となっていますが、一日目は48手までしか進みませんでした。囲碁は早く決着がついたとしても150手、平均で言えば200手前後で終局を迎えることが多いですから、この二日目は長く、より難しい戦いが続くことでしょう。午前9時、封じ手が開封されました。
実戦図1
黒1には白4〜8と対応されて、せっかく打った黒1が取られました。普通はあまり良くなさそうな打ち方に見えますが、黒1は捨て石にして黒9とノゾくのが厳しいよ。と主張しているのですね。僕は黒1〜9とノゾく発想が頭に浮かばなかったので、封じ手予想の候補にも上がりませんでしたが、こう見てみると流石に、厳しい迫り方です。
実戦図2
白1〜5を先手で打って白7と戻りました。黒6のツケについては後術します。
白が7と戻ったので黒8の切りが成立。上辺にそこそこの黒地を持ちつつ、黒14と戻って白石を睨む構え。見応えのある攻防です。
参考図1
白1のツケに黒2と受けるのが通常の発想ですが、この場合白3には黒の生きを得るため、黒8までと対応する必要があり、そこで後々白9と打たれると、上辺だけで白に一眼出来る具合が出てきます。この次に打てば一眼出来る形を「半眼」と呼びますが、中央では簡単に一眼出来そうなので、ここに半眼あるかないかでは白の余裕が違ってきます。
参考図2
そこで実戦の黒2ですが、これには白3、5と打つしか眼を作る余地は無く、コウになります。黒としては半眼残すよりもコウにした方が白の眼に迫っているので、実戦はより厳しい手を選んでいると言えます。
実戦図3
白3の切りには驚かされました。まだ上辺の白石に二眼無い状況で黒を攻める一手。この局面で一番厳しい一手を選ばれましたが、黒8と包囲された後はどうするのでしょう?
実戦図4
白5から先に白三子を補強。中央の黒石もまだ強くありませんから、黒6と受けていくしかありませんね。白7〜黒16までお互いに補強し合って、白17と右辺へ動きます。
実戦図6
白3、白13、白19コウ取り(白25の地点)
黒8、黒16、黒22コウ取り(白25の左)
お互いコウダテが続いています。白からは白17などの近くのコウダテが主なコウダテ。黒からは中央の白へ迫まる手をコウダテにしています。
流石にこのコウはコウダテもあるので白が勝ち、上辺は生きることになるのですが、問題はどのタイミングでコウを解消するのが良いのかです。出来るだけ中央の白石に余裕があって、黒の嫌がるタイミングを探しています。逆に黒は、コウを勝ちに行くのでは無く、以下に隙を見せず白石に迫れるかを考えています。
実戦図7
黒7はコウを譲った手。このタイミングならばコウを解消されても痛くありませんよと主張したのですが、瞬間白8とノビる強手を放ちました。上辺は放置ですが、コウである以上簡単には取られないとヨミ切り、黒15まで先手で決まると踏んでの行動だったのでしょう。実際先手で決まり白18に戻れたのですから、右下の黒模様を荒らしつつ上辺を生きることが出来ました。しかしその分、白は中央一団の首を締めました。黒19へカタツキという大技を放ち、豪快に白石を攻めに行く黒。大熱戦がより熱を帯びました。
実戦図8
よくよく見ると左下一帯は黒石が多く、白も中々不自由はシノギを強要されています。ただ白の強みは、白11と迫って中央の黒石にもまだ眼が無いことでした。ここと競り合っている間に、上手いシノギを目指します。
実戦図10
白2のオサエには黒3以下で生きるしかなく、白は8と下辺へ戻ります。黒としては例え白石が取れなくても、被害が無い+下辺が黒地となるのならば地合いで勝負出来る可能性も出てきているので、それが返ってヨミ、判断を難しくさせています。