囲碁は好きですか?

あなたに囲碁を好きになってもらうために、囲碁の面白さを伝えていくブログです。

囲碁は好きですか?

結城聡VS劉昌赫!第3回ワールド碁チャンピオンシップ国際予選決勝

どうも!こんにちは。みやれーです。


1月24日から日本棋院本院で「第3回ワールド碁チャンピオンシップ」の国際予選が始まりました。29日までの六日間、日中韓のトップ棋士89名が東京に集まり、計3枠しかない本戦出場枠を争います。

29日は遂に予選決勝の日です。シニア枠では日本の結城聡九段が勝ち上がり、日本中の期待を背負って韓国代表劉昌赫九段と対戦します。


前回記事

結城聡VS劉昌赫

両者のここまでの勝ち上がりを振り返って見ましょう。

日本代表結城聡九段は一回戦がシード。二回戦で日本の山田規三生九段、三回戦で中国の王磊八段、準決勝で日本の趙善津九段を破っての決勝進出です。

対する韓国代表劉昌赫九段は、一回戦で中国の芮廼偉九段、二回戦で日本の高尾紳路九段、三回戦で韓国の徐奉洙九段、準決勝で日本の王銘琬九段を破り、決勝進出です。


早碁棋戦では世界戦準優勝の経験もある結城九段と、6回の世界戦優勝を誇る劉昌赫九段の対戦。第3回ワールド碁チャンピオンシップ本戦へ出場するのはどちらになるでしょうか。


黒番 結城聡 白番 劉昌赫

実戦図1

白16が珍しい。白4の二路右へ一間にトブ実戦例が多いですが、やや強引にでも白20で中央を制すのが白の狙いですね。両者左上の形を研究しているのかどうか、気になります。

実戦図2

黒1の切りに白4と一度サガるのが捨て石の筋。結局は取られるのですが、碁笥に入れられるまでの時間を稼いで、その間に一仕事しようという作戦ですね。

白8が面白い手筋。詳しいことは次図を見てから掘り下げますが、黒9と打ったので隅の黒二子がアタリにされてしまいましたね。これはツブレでしょうか?

実戦図3


黒3(黒9の地点)

いやいやツブレではありません。これは石塔シボリという名前の筋で、黒1、3、5で白石を取ることが出来ます。ただ白もそれは折り込み済みで、白四子を捨て石に白6〜10で隅の地をえぐりました。

白10でひと段落ですが、結果としては、元々白石が多かった所での戦いで、先手で眼を持ったと考えれば、黒に不満がないのかなと思います。

では左上隅での折衝を少し掘り下げますね。

参考図1

まず白1と外を切っていた場合は黒6までとなっていたことを知った上で、以下の参考図を見て頂きたい。

参考図2


白1(黒2の上)

実戦は白1と隅を切りましたが、単純に黒2と取ると、白3が用意されています。黒4だと白5で隅がコウになってしまうので、黒の厄介な戦いになりそうで選びにくい。

参考図3

黒は4とサガって抵抗することになりますが、白5に黒6と打つとやはり白7が厄介で、コウになってしまいます。黒失敗です。

参考図4

なので黒2と抜くことになり、黒8までが相場となります。

ここで参考図1と見比べてもらえるとわかりやすいのですが、上図は白1を先手で打つことが出来ていますね。これが隅へ一回切った効果で、白1と黒2と交換であれば、左辺が白地になる可能性等も考えると確実に得ですね。白は上図を狙って、実戦の隅への切りを決行したのでした。

参考図5

なので、白1に黒2と反発したのは怖いようでいて当然の反発で、白1を悪手に出来る良い手でした。しかし実戦は黒にも一つミスが出ます。

参考図6


黒1(白2の右)

実は黒3、5と隅を無視して左辺へノビる手が成立していました。白6へ切られても黒9で問題なく隅を取れています。つまり黒3、5と打っていれば、実戦のように左辺をペタペタと止められる事はなく、隅の白石を丸ごと取れていたのでした。対局を見ていないのでうっかりしたことは言えませんが、おそらく結城九段は実戦が相場と見て、それ以上の手段があることを考えもしなかったのではないでしょうか。実戦の形勢はほぼ互角ですが、上図であれば黒優勢でした。

実戦図4

黒3は100%生きようという厚い手。白4から布石のやり直しです。

実戦図5

黒1の攻めには白2から隅へ潜りました。打ち込んだ石を直接動いても良いことは無いとの判断ですね。白18まで上手く生きました。

黒19が面白い着点ですね。善悪はわかりませんが、右辺を黒地にする手と、上辺へ打ち込んでいく手の両方を睨んだ意味です。これでいけるという結城九段の決断でした。

実戦図6

白1は右辺を荒らすことを優先した手ですが、ただ荒らすだけでなく黒の弱点を突いてやろうという厳しい発想です。実戦は黒14と二線へ後退させることが出来たので、白1は成功してると思います。しかし予定通り黒16の打ち込みに回って、黒が押している形勢でしょう。

実戦図7

白1と右辺の逃げ出しを優先し、上辺はある程度放っておこうという作戦。黒2の逃げ出しは白の構え最大の弱点でしたから、狙わぬ手は無いということでしょう。白は上辺に弱い石を抱えて左辺を戦わねばいけませんから、少し忙しい。流れは黒にあります。

実戦図8

しかし、敢えてどの手が悪いかと断定するならば、黒8が悪かったでしょうか。というのも、黒2〜8までと逃げ出しておいて、白9〜13まで左辺を丸々取られてしまうのでは、やってる事と結果が矛盾してしまいます。逃げ出すならば最後まで逃げ出すべきだし、捨てるなら黒4などと動き出さない方が良いでしょう。白13までで、黒が地合いで追いつけなくなっています。

参考図1

逃げ出すならば黒3とか。

参考図2

捨てるならば黒2などと早々に捨てておけば、まだまだこれからが勝負の碁でした。

実戦図9

白6と打たれると中央の黒五子がお荷物になっていて、上辺の黒地が減る結果に。もう右辺を丸々黒地にするくらいしか勝ち目がありませんが、中々そう上手くはいかないもので。

実戦図10

白31完。白中押し勝ち。

まとめ

シニア枠決勝は韓国代表劉昌赫九段の勝ちとなり、本戦出場枠を手にしました。結城九段が押していた形勢だっただけに残念です。


日本代表は一般枠が一回戦で全員敗退。シニア枠はベスト4に三名が勝ち残るものの、本戦出場の一枠は勝ち取ることが出来ませんでした。大会を通して感じたことですが、中韓の選手が伸び伸びと打っているのに対し、日本選手は皆、日本が主催する世界大会の予選。勝たねばならない!と気負い過ぎて、打つ手が固くなっている感じがしました。特にシニア枠の選手は優勢になった後の乱れ方から、対局中の冷静さを失っている様にも見えます。やはり日の丸を背に戦う重圧は想像に難くなく、普段勝てない日本でも今回こそは!という思いが、むしろ自身の首を絞める結果になったのかなと思います。


この国際予選は三名に本戦出場権利が与えられ、廖元赫七段(中)、江維傑九段(中)、劉昌赫九段(韓)が手にしました。本戦ではこの三名に加え、シード組の朴廷桓九段(前回優勝)(韓)、井山裕太九段(日)、張栩九段(日)、柯潔九段(中)、申真諝九段(韓)の合計八名で、世界一の座が争われます。

そんな大注目の本戦は3月18日〜20日井山裕太九段、張栩九段の活躍に期待しましょう!




最後まで読んで頂きありがとうございます!この記事がいいと思ったらポチッと応援よろしくお願いします↓m(_ _)m


囲碁ランキングへ

Twitterでブログの更新情報等を発信しています^ ^


YouTubeチャンネルはこちら!