囲碁は好きですか?

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会津中央病院女流立葵杯第一局!藤沢里菜VS謝依旻

どうも!こんにちは。みやれーです。


6月15日に第5期会津中央病院女流立葵杯挑戦手合三番勝負が開幕しました。


日本棋院サイト
挑戦手合初開催、会津で始まる【第5期会津中央病院・女流立葵杯挑戦手合三番勝負第1局】 | 棋戦情報 | 囲碁の日本棋院


今期から決勝戦が挑戦手合三番勝負に変更された女流立葵杯。第一局は福島県会津若松市にある「今昔亭」で打たれました。

この記事ではその第一局の感想を述べていきたいと思います。

藤沢里菜VS謝依旻

藤沢里菜女流立葵 VS 謝依旻女流本因坊。今棋戦もまた、女流囲碁界きってのライバルが顔を合わせました。

幾度となくタイトルを争ってきたこの二人。取って取られてを繰り返し成績もほぼ互角。今回はどちらに軍配が上がるでしょうか。


黒番 謝依旻。白番 藤沢里菜

実戦途中図1


棋譜再生

序盤からいきなり新型が現れました。

白2が所謂「大斜ガケ」で、黒3のツケには白4とハネるのが最近の形。しかしここで左下隅を放置し、白8と右上にツケていったのが新しい一手。黒は9と左下を制し、白は10と連打する分かれとなりました。

参考図1


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左下は部分的に、白3、5と出切る狙いがあります。これに黒6、8と対応した場合、白1が上手く働き、白9でシチョウになります。この図が白1を打った意味です。

参考図2


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黒6と下からアテるのも、基本は白が優位に戦える形になります。上図は一例。


白がシチョウ有利の場合、白3、5の出切りは厳しい手になります。なので実戦の進行は妥当なところで、問題は形勢です。

実戦途中図2


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黒4と動き出したので白7と動き返します。黒16までで一段落。下辺の白石は先手で生きたので白17へと先行しました。

白が足早に地を先行していますが、下辺に出来た黒の厚みも分厚く、全局に睨みを利かせています。どちらにも言い分があるので、形勢もほぼ互角でしょう。あとは好みの問題だと思います。

実戦途中図3


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黒3のノゾキはAIが打ち出してから注目を浴びています。白4と外して受けたのは不思議な手のようですが、有力です。韓国の李世ドル九段がこの白4を愛用してます。

参考図


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白4にツナぐと黒5へスベってきます。もし白6と受けたら黒3、白4の交換がはっきり黒の利かしになりますし(先に黒5、白6を打ってから黒3へノゾいても、白4へは受けてくれない)、だからと白6へ受けないのでは、白の眼が心配になってきます。上図は白が避けたい図でした。

実戦途中図4


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黒3の一間高カカリは珍しいですね。この碁では中央や模様が大事という発想です。

黒模様が大きくなってきたので白6と入りました。

参考図


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もし黒1と低くカカると、白2、4とツケノビられる可能性があります。実戦と比べても、上図は白模様が大きくなって、黒模様が萎んでいますね。

白2、4と打たれる可能性を鑑みると、実戦の方が安定して黒模様を作れます。

実戦途中図5


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黒2へ打ち込んだかと思えば、一転して黒4と戻りました。不思議な動きですね。白5と戻られて黒2、白3の交換は黒の損ですが、代わりに黒4、6と連打出来ました。この辺りはどちらが得をしたのか、微妙です。

参考図1


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黒1の打ち込みは言わば「様子見」で、白2のツケならば後々、黒3から中央をさらに厚くさせる手段を作っています。すぐに黒3と打たなかったのは、黒15までで後手となり、白16へ先行されるのを嫌ったからでしょう。

参考図2


棋譜再生

実戦の黒の意図は分かりましたが、では先に黒1と受けて、おそらく中央を白2と逃げ出すでしょうから、それから黒3と打ち込むのはどうでしょう?

前図のような形になるのなら黒は嬉しいのですが、おそらく白4のような手で変化されるのを危惧しているのだと思います。上図はあくまでも一例ですが、上辺の黒が追い出されて攻められる形になった時、黒1、白2の交換が中央に白石を増やしているため、黒のシノギの悪影響になりそうです。なので、謝女流本因坊は実戦の手順を選んだのかもしれません。


実戦は黒の思惑と、それを外した白との攻防戦でした。形勢は難しい。

実戦途中図6


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ブクブクと膨らんだ黒模様を荒すべく白2と突入。見た目は深入りした印象ですが、大丈夫との読みがあったのか、それとも入らねば負けと見たのか。どちらにせよ黒は3と挟撃したくなりますね。

ここからは黒の攻め対白のシノギで、局面が一気に険しくなってきました。純粋な読み勝負。どう決着がつくのか。

実戦途中図7


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白2、4と出切ったのも面白いですが、黒5とすごい所へツケました!結果から言うと、黒は5、7、9で下辺の白六子を取り、白は黒二子を取りながら隅を地にするフリカワリに。まさかこんな事になるとは・・・・。

なぜ唐突にこのような展開を辿ったのか。少しずつ両者の意図を紐解きましょう。

参考図1


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まず白2、4の出切りですが、黒5、7と対応されると白二子が取られてしまいます。しかしこれはミスではなくて、白8と切る準備です。

参考図2


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本当は黒2の封鎖で白石を取れれば良いのですが、黒の包囲網が丈夫とは言いにくい。まず白3〜7までが先手になるのが白の強みで、中央に一眼が確定。上手く打てば二眼生きを得ることは容易いですし、そもそも白15で黒が薄い。黒も無理は通りそうにありません。

参考図3


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上図黒2と中の眼を取りに行っても、白3と飛び出されて困ります。黒4からの出切りは白9でシチョウですから。

なので、白1と切られた時点で黒は困っているかもしれません。

参考図4


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なので黒1のツケという手を捻り出してきました。白2なら黒3、5と打つ意味です。

参考図5


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続いて黒1、3と打ち、先手で隅の黒石を生かします。隅に不安が無くなった黒は堂々と黒5とツナげば良くて、この図は黒に嫌味がありません。

参考図6


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では白2とツナいで受けた場合ですが、おそらく今度こそ黒3、5と取るのでしょうか。白6には次図。

参考図7


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黒2とツナぎます。こうなると前図で打った黒のツケのおかげで、下辺の白石を生きるのに白3とハネねばならず、悠々黒6へ回って中央の白の脈が切れそうです。

参考図8


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前図の比較として、黒のツケ無しに黒2とツナいだ図です。この場合だと白3で生きられるので、黒8とツナいでも白9〜13が先手になって白15と逃げ出され、黒が困りそう。

実戦のツケが如何に効果的だったかが分かります。

参考図9


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白2とカケツギで受けた場合も黒3でしょうか。今度は白8と飛び出された時に黒9、11でコウにする狙いがあって、白も怖いです。このコウを最後まで読み切れたのなら別ですが、白2のカケツギは普通、白のリスクが高いです。


というような諸々の読みの中、お互いに反発する手を打ち合った結果が実戦でした。

実戦途中図8


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激しい読み合いの後、実戦は白3と下がったのですが、これはどうだったか。

参考図


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僕には白1と上辺を囲ってしまうのが大きく見えます。隅は簡単に荒らされるでしょうが、上辺の地だって大きいし、右上にぽつんと置かれている黒一子の身動きを封じる意味でも厚い。難しいですが、参考図の方が厚いヨセなのではないかと思います。

実戦途中図9


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少し進んで黒1のツナギに手が回りました。白2も鋭くて大きいヨセなのですが、続けて黒9とハネられてみると、あんなに丈夫そうだった右上の白石が、今や生きる手を探さねばいけない程に弱体化してしまいました。このような憂いを消す意味でも、前図で上辺を囲っておくのは大きかったのではないかと思うのです。

この時点で、形勢も黒に傾いてきています。

実戦途中図10


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目に見える地は黒が多いので、後は中央のヨセ。黒1、3は石を目一杯に使っている感じで良さそうな手。

お互い秒読みの中難しいヨセ勝負を続けていますが、黒19までとなっては、黒の勝ちが決定したようです。

終局図


棋譜再生

黒中押し勝ち。

まとめ

第一局は謝依旻女流本因坊の勝利!開幕戦を好スタートで飾りました。


本局はお互いに工夫の一手が随所に見られて、今シリーズにかける思いが伝わってきます。特に左下の手に汗握る攻防と読み合いは、お互いの負けたくない気迫から発生したのかもしれませんね。面白かったです!



第2局は6月17日、場所は同じく福島県会津若松市の「今昔亭」にて行われます。

中一日での第二局。興奮冷めやらぬ二人が、また激しい碁を見せてくれるのでしょうか。この二人の勝負から目が離せません!




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