黄竜士精錬科技杯第11戦!藤沢里菜VS崔精
どうも!こんにちは。みやれーです。
6月6日の午後、黄竜士精錬科技杯第11戦が行われました。
前回記事
藤沢里菜VS崔精
日本チームと韓国チームの生き残りを懸けた大将戦、藤沢里菜四段と崔精九段が対戦します。崔九段は押しも押されぬ女流世界トップの棋士ですが、藤沢四段にも一発入れるチャンスはあるはずです。
黒番 崔精。白番 藤沢里菜。
実戦途中図1
黒1のカカリに白2とカカリ返すの最近の流行。ただ黒3のハサミはやや珍しいかもしれません。以下黒7まで、お互いに手を抜き合う面白い進行となりました。
参考図1
黒1のハサミに白2は策のある手。例えば黒3から三々に入れば白は厚みを蓄え、白12と黒石を切って右下で戦いを起こします。これは厚みを大いに働かせれる展開へ持っていけそうで、白はこの図を目指しています。
参考図2
なので黒3と封鎖するのは当然の一手。もしここで白4などと動いてくれれば黒の思うツボで、厚みを活かし黒11の飛び出しから、下辺白2の石を攻める事が出来そうです。これは白が避けなくてはいけない図なので、実戦の進行になるのですね。単なる気合いだけでなく、一手一手にしっかりと意味があります。
実戦途中図2
白1とシマった瞬間、即黒2とツケてきました。これは部分的な定石で、黒14まで、頻出頻度の高い形です。が、僕には黒2のツケは早すぎるように見えます。もっと広い所がたくさんあるのですから、上辺とか、左辺に打つのが普通じゃないでしょうか。
ただよく見ると、これで四隅とも黒が占めているので、黒は徹底して地を稼ぐ作戦なのでしょうね。
実戦途中図3
実戦は白1とツケたのですが、これも僕は賛成出来ません。右辺の白石を強化した意味なのは分かりますが、現在白は模様で打つ碁になっているので、仮に今後下辺や左辺の模様を広げる展開になった場合、黒2、4の厚みが白模様の消しに役立ってくる可能性が高いです。白1のツケは右辺では得してるように見えて、全局的に損していませんか?
実戦途中図4
白1から左上は定石。白が厚くなりましたが、黒は10〜14でまた地を稼ぎます。
こうなると、白が地合いで勝負するのは厳しそうなので、戦いなり模様なりで勝負する碁になりそうです。やはり、前図で黒を厚くさせたのはマイナスだったような気がします。
実戦途中図5
黒2はとても落ち着いた着手ですね。白は3と模様を広げます。
参考図
実戦は模様が小さ過ぎる印象もあるので、白1などともっと広げたくなりますが、かえって黒の厚みに近寄り過ぎているので黒2等で反撃されそうです。なので、バランスを見て実戦の着点を選びましたね。
実戦途中図6
白1と上辺へ打ち込みました。確かにここも気になると所で、黒地が大きく荒れるようなことがあれば、地合い勝負も可能になりそうです。
実戦は黒2が面白い受け方ですね。器用な手というか、あまり見られない手です。実戦は白9で上辺を渡り、黒地を減らしました。
参考図
渡りを止めるために黒1と打つと、白2のコスミで生きられるので地を損します。実戦が相場のようですね。
実戦の形ならば、黒地を10以上減らしてますし、少し薄みも作ったので、白も盛り返してそうです。
実戦途中図8
この戦いはどちらが攻めているのでしょうね。気分的にはどちらも攻めているのかもしれません。
攻めというのはただ相手の石に迫れば良いものではなく、攻める事で得をするという意識が大事です。なので攻める側には、常にどこで得をするのかを考えておかねばなりません。
例えば上図で言えば、黒は攻める事で中央の黒石を厚くしようとしています。中央の黒石に眼形の心配がなくなれば、自然と左辺、下辺の白模様が小さくなっていきますからね。
逆に白は攻める事で、黒石を取ることを狙っています。上辺白6が正にそれで、白14、16で黒数子を取り込む事に成功しました。
一応両者得を得て、この戦いは平和的解決ですね。
実戦途中図8
右辺の白石は放っておけないので、しっかり手入れをして白10へ打ちました。が、大きな手とはいえ、白10ではまだ右辺へ手を入れるくらいだったかもしれません。おそらく耐えていると見ていたのでしょうが、黒11、13は厳しい手でした。
参考図1
まずは白の読みから紐解いていきましょう。
もし黒3のノゾキに白4と繋いでしまうと、黒7には白8と打たざるを得ず(8へ黒に打たれると二眼が無い)、黒9の切りを打たれてしまいます。これは少し白が辛いです。
参考図2
なので白は4のアテ込みという手を用意していました。これは黒5、7と切られても、白8で黒三子を取り込みつつ繋がり、右辺の白も二眼でしっかり生きている。なので白石は全部安泰である。という読みですね。
ただ実戦は、黒に上手い技がありました。
実戦途中図9
黒3、5の出切りが好手でした。今だと白6、8と対応するしかなく、黒9で取られていたはずの黒石が生還。大きく得されてしまいました。
参考図1
本来であれば、黒1の切りには白2、4とアタリで対応して何事も無いはずでした。しかし今は黒5のアタリが先手になってしまうと、黒7の切りが成立して中央の白石が取られてしまうのです。二個上の参考図と見比べれば違いが分かりやすいかと思いますが、本来片方ずつ耐えていたはずの場所が、上手く(下手に?)噛み合って耐えれなくなっているのです。
あちらを立てればこちらが立たず。上辺と右辺を天秤にかけられた白は仕方なく上辺を譲った訳ですが、この後黒はひたすら安全に打って優勢を保ちます。上図の時点で、白の敗色は濃厚となっていたのでしょう。
まとめ
第11戦は崔精九段の勝利
残念ながら日本チームはここで敗退です。
本局はあまり、藤沢四段の良くない出来の碁だったでしょうか。個人的には序盤、白の右辺へのツケがすごく気になります。それが無ければ勝ててたとは言えませんが、実戦はわかりやすく黒優勢になってしまったのではないでしょうか?あと後半は、崔精九段の安定感が素晴らしかったです。少なくとも僕の目には、白のチャンスらしきものが見えませんでした。
この敗戦で日本チームは敗退。三位が決定しました。中々結果を出せない日本ですが、また次回に期待しましょう^ ^
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