ワールド碁チャンピオンシップ準決勝!井山裕太VS山下敬吾
どうも!こんにちは。みやれーです。
3月17日はワールド碁チャンピオンシップの準決勝が行われました。ここで日本勢の二人がぶつかってしまうという少し残念な組み合わせになってしまいましたが、身内同士の争いとは思えないくらい白熱した勝負となりました。
日本の絶対王者井山裕太九段と、日本囲碁界に一時代を築き上げた平成四天王の一角山下敬吾九段の対局です。
井山裕太九段VS山下敬吾九段
本局の中で僕が気になった場面をいくつか紹介します。
実戦途中図1
本局は序盤から工夫の応酬。その戦端を開いたのが白2でした。
部分的な話をすると、白2は悪手と言われています。囲碁の基本は「広い所へ打つ」ですから、白2のような細かい所にこだわっても良い結果は産まれにくいのですね。しかし「名人に定石なし」との言葉もありまして、このクラスの戦いですから「この配石では白2が良い」と判断して打たれたのでしょう。
黒3は逆に「私は広い所へ打ちます」と言っているようです。一番空間が広いのは右下方面ですから、そこへ向かって石を進めています。
黒7も左下隅の部分にこだわらない視野の広い一手でした。
実戦途中図2
白1は前からある狙い。どんな局面であろうと切られるのは厳しいものですが、左下隅は白に譲ると決めておけば、黒2から被害は最小限に抑えられます。
白7、9は今すぐ必要な手ではないですが、後々の憂いを絶った手。所謂「本手」ですね。
実戦途中図3
上辺白1とヒラいて白模様を広げようとしましたが、黒2とすぐさま打ち込まれて対応に困りました。上辺は白の援軍が多いようでも、七の5で一人立ち尽くしている黒石が意外と邪魔で、白に上手い攻めが見当たりません。
黒22まで黒が上辺で威張れる格好になっては一本取りました。
実戦途中図5
下辺方面で白は相当な地を損しました。しかしそれは承知の上で、全ては上図白2で上辺から連なる黒の大石を取りに行くための準備だったのです。
白12で切り離し、いよいよ白の努力が実を結ぼうかというこの最終盤。周りの石は絶妙な位置。黒にシノギは微妙なライン。緊張感が張り詰めます。黒の残り時間は後1分。
実戦途中図6
もしこの黒がシノいだならば、この碁は名局と呼ばれるでしょう。白渾身の勝負手が、そこまで黒を追い詰めているのです。
しかし黒5と打たれたことで、この碁は名局となりました。