囲碁は好きですか?

あなたに囲碁を好きになってもらうために、囲碁の面白さを伝えていくブログです。

囲碁は好きですか?

本因坊秀策の棋譜 弱い石から動くとは何か?

どうも!こんにちは。みやれーです。


今回紹介するのは、本因坊秀策が19歳とまだ若かりし頃に打たれた棋譜です。


強いのはもちろんの事、秀策はとても基本に忠実な打ち方をする棋士で、その手の意図、作戦、狙いなどが見ていてわかりやすく、どの棋力の人でも参考にしやすい棋士ではないかと思います。


本局の見てほしいポイントは弱い石から動くです。


実戦譜

黒番 本因坊秀策。白番 安井算知。(コミ無し)

実戦図1


棋譜再生

黒7が有名な「秀策のコスミ」であり、「秀策流」です。

秀策はこの布石を愛用し、先番必勝を掲げていたのですが、面白いのが昨今登場した囲碁AIに秀策流を見せると、コミ6目半でも黒が優勢と判断するようです。

秀策の研究と形勢判断はAI並みということでしょうか?

実戦図2


棋譜再生

上図黒1に応援が来ると、右辺白への打ち込みが厳しくなります。ですから白2〜8を打って打ち込みを緩和しているのですね。

黒11から秀策の石運びに注目です。

実戦図3


棋譜再生

とにかく見てほしいのが黒3のトビです。これが本当に素晴らしい一手。

囲碁には 「弱い石を作らない」 という基本があります。弱い石を抱えていると、その後が戦い辛くなるからですね。

現在の状況としては、白2とツケられたことで、黒1と右上黒三子は切り離されそうです。ならば次は、 黒1と右上黒三子はどちらが弱いか という判断に移るのですが、これは数を見れば明らか。一人の兵と三人の兵だったら当然一人の兵の方が心細いてすよね。だから上図黒3と黒1から動き出し、 弱い石を作らないようにする のです。

参考図


棋譜再生

例えば参考図黒3と強い石から動いてみるとどうなるでしょう。

確かに、右上黒三子は強化された感じがしますね。しかしこの強化にどれほどの意味があるでしょうか。逆に白4、6、8が来たことで上辺の黒数子に圧迫感が増し、落ち着くまでに苦労しそうです。


石が切れた時はどちらが弱いかを判断し、まず弱い石に助けを送る。
↓ ↓ ↓
弱い石は石数で判断

実戦図4


棋譜再生

とにかく上図は石の動き方を見てほしいのですが、黒の手にはどこにも無理がありません。黒29まで左右両方の黒石が頭を出し、順調に事を進めています。

実戦図5


棋譜再生

上図黒3に石が来たので、右下白が弱くならないために白4へ。すると今度は、黒が弱くならないために黒5、7へ。とても基本通りで美しい流れです。

実戦図6


棋譜再生

黒3は隅に手を残した意味。白10に続いて黒は3の上へ打てば隅はコウになります。しかしまだ小さいと見て黒11、右下白の眼を取りながら地を稼ぎました。

実戦図7


棋譜再生

上図もまた本局の面白いところ。

白2とツケられると、ついついその部分での戦いを考えてしまいますが、秀策の打ったのは黒5。続いて白6と打たれて地は損なのですけど、黒7からの攻めで損を取り返せると見ています。

秀策の柔軟さと広い視野が見れた数手でした。

実戦図8


棋譜再生

上図の展開は秀策の予定通りかもしれません。

黒11、13で上手く中央が助かっているようです。

参考図


棋譜再生

本当は参考図白4と押さえて黒を取りたいですが、黒9までウッテガエシで白が取られてしまいます。

実戦図9


棋譜再生

結果白はただ繋がるだけの手を打たされたのが辛く、中央付近に地が付いた黒の優勢がはっきりしました。

最終手まで


棋譜再生

黒133まで。

黒中押し勝ち。


最後はコウが続いたため手数が長くなりましたが、黒が勝ちきりました。



囲碁ランキングへ

まとめ

本局は秀策が中盤に見せた基本に忠実な打ち方がとても印象的な碁でした。

近年は技巧派な棋士や激しい碁が主流ですので、ついつい碁の基本というものを見失いがちになりますが、普通に打っても強く、そして勝てるという事実を秀策は見せてくれています。

この普通というか、基本に忠実な碁こそが 本来の日本の碁の姿 であり、伝統です。今はプロの世界は中国風の碁で結果が出ているだけで、伝統的な日本風の碁も決して悪くはないという事を知っておいて欲しいです。




↓この記事がいいと思ったらポチッと応援よろしくお願いします m(_ _)m


囲碁ランキングへ

Twitterでブログの更新情報等を発信しています^ ^


オススメ記事