囲碁は好きですか?

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鈴木越雄 打ってはいけない手なんてない!

こんにちは。みやれーです。


本記事はリメイク回です。

まず、リメイク回とはどういう事かを説明させてください。そんなのいらないよ、と言って頂けるのであれば、お手数ですが実戦譜まで飛ばしてください

リメイク回とは

今回紹介する鈴木越雄九段の碁は、昔にもこのブログで紹介したことのある碁でして、全く同じその棋譜を、記事構成を一新させて紹介し直そうというのがこのリメイク回です。


なぜそんな事をするのかに至った理由は二つありまして、まず、昔の記事の紹介の仕方がヘタだということ。(今でも褒められたものではありませんが・・・・)
そしてその記事を全く届けれていないということ。この二つです。

ヘタなのは正直、書いていないよりは全然マシだと思っているのでいいのですけれど、届けれていないのはもう書いていないのと同義ですから、せっかく良い棋譜を取り扱っているのにもったいないと思うのです。


今の僕ならばおそらく、ブログを始めて一週間ごろの僕が書いた記事よりは上手く、そして拡散も出来ると思いますし、この場を借りて改めて紹介させて頂きます。


長くなりましたがこれからが本編です。楽しんで頂けたら幸いです。



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実戦譜

今回紹介する鈴木越雄九段は昭和を生きた棋士ですが、それほど大きな結果を残してはいません。

しかし彼の棋譜は、碁を打つ全ての人を驚かせ、勇気づけ、楽しませるほどの魅力に溢れています。
きっとあなたにも気に入っていただけるのではないでしょうか。


黒番 鈴木越雄。白番 呉清源

実戦図1

棋譜再生

黒5!!!
そんな馬鹿な!って思いますよね。僕はそうでした。
今でこそAIなどの影響で奇抜な手も増えてきましたが、この黒5を打つのは鈴木九段くらいです。しかし本当にこんな打ち方をして大丈夫なのでしょうか。

実戦図2

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また黒9から押していったのも凄い手。一応常識では黒が悪いはずです。
「車の後押し」って囲碁用語を知っていますか?悪い形の典型とされていて、黒9が正にそれ。
黒9、11といくら打っても白10、12と一歩先へ先へ進まれてしまうので、まるで白の車を後押しするような、相手のお手伝いをしているような理屈になってしまいます。
なので黒が悪いというのが常識ですが、鈴木九段はお構いなし。とにかく中央へ石を持って行って、大模様を作ろうとしているのです。

実戦図3

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上図白2に対し黒3は正しい方向。黒の命は下辺から中央の模様ですので、この場合は隅よりも黒3なのです。
結果論ではありますが、白6がやや問題だったかもしれません。というのも、黒7〜11が強烈な手筋でした。
白12、14で確かに黒石は取れるのですが、その石は捨て石にし、黒の厚みが増したことで、中央の模様が見るからに巨大になってしまいました。これでは黒が優勢です。
鈴木九段の打ちまわしが素晴らしい。

実戦図4

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白2の突入は仕方がない。入らないと地が足りなくなりそうなので。
しかし上図の黒の一手一手はほんとのびのびしています。変な気負いを感じないというか、碁を楽しんでいるのが伝わってくるというか、見ていてとても気持ちが良いです。

実戦図5

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白が下辺の模様を荒らしている間に、左辺に大きな模様が出来ました。しかも黒地はほぼ完全。ここは黒の技術が光りましたね。とても上手いです。
このまま何事もなく終われば黒地が多そうです。しかし白は天下の呉清源九段、そう簡単には終わらせません。

実戦図6

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上図白2、4は上手い。先手で白の領土を広げています。
白10〜24も目一杯の頑張り。特に白24は上辺守るのが相場です。
黒も受けてばかりではいけないので、上辺で戦を仕掛けました。

実戦図7

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上辺はコウになりました。やや難しい形ではありますが、黒に余裕があることは間違いありません。
結果的に黒がコウに勝ちましたが、見た目ほど大得した訳ではないようです。

実戦図8

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後はヨセだけかと思われましたが、右上でコウが始まりました。とてもややこしいのですけど、勝敗には影響ないものと思われます。

実戦図9

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黒71まで。

黒8目勝ち。

総評

黒の完勝でした。これだけの内容を打てる棋士が他にどれくらいいるでしょうか。

僕がこの碁を始めて見たのは本だったのですけど、すぐに魅了されて何度も並べました。本当に大好きな碁です。


僕もそうですが、囲碁をやっていると良い手があって、悪い手があって、その善悪のみが囲碁の全てだと思いがちになります。しかし本局は
「そうじゃないんだよ。善悪だけが囲碁じゃないんだよ」
と教えてくれている感じがします。
僕にとってその教えは「はっ」とさせられるのに充分のインパクトがあって、囲碁とは楽しむためにあるんだという思いを強くさせてくれます。

普段どの手が良い手なのかで悩む事ってザラにあるのですけど、どの手が楽しい手なのかで悩めるようになったら、とても幸せかもしれませんね。




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