安井知得 勝負は一瞬で決める
こんにちは。みやれーです。
このブログでは度々書いていますが、僕がよく棋譜並べた棋士は、木谷実さんと安井知得さんです。
この二人の棋風が本当に好きで、一手一手の正確さも去ることながら、独特な感性で自分にしか打てない碁を確立しています。そういう意味では、この両者は似てるかもしれませんね。
今回は安井知得さんの碁を紹介します。今から約二百年ほど前に打たれた碁ですが、その技の数々は唸るものばかり。安井知得さんの名局の一つでしょう。
黒番井上春策。白番安井知得。
実戦図1
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現代の感覚からすると、布石は黒が甘そうに見えますが、コミ無しですし、言っても仕方がない所ですかね。
黒15は右下ハサむのが現代的でしょうか。
実戦図2
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上図黒3、黒11など模様思考の手が目立ちます。ただ、右下白が厚い形をしているので、黒が怖い布石だと思います。
実戦図3
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上図黒1とハネた時、白2とカタを突いたのが上手い。
参考図1
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本来は黒1と遮りたいですが、白2~8で簡単に治まられ、なおかつ右下隅の白が厚いためびくともしない。これは黒が地合いで大変になってしまいます。
そのため実戦黒3は仕方がない譲歩でしたが、次いで白8の切りが絶妙。白8、10を捨て石にして白12のアタリを利かしました。白の技が冴えています。
実戦図4
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上図白4の深入りも、右辺の白が厚いので心配ありません。それどころか、白6から厳しく反撃してきました。
実戦図5
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また上図白2のハネが上手い。白12まで悠々と頭を出して、黒が攻めているのか白が攻めているのかわからない状況になりました。もう既に黒が駄目な形勢。白の打ち回しが凄すぎて言葉も出ません。
実戦図6
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一応黒は上図黒1まで攻めの格好を見せましたが、その瞬間白2から手痛い反撃を受けてしまいます。
白8まで中央が切り離され、黒は必死な所。黒15を打つ事になってしまったため、自然と下辺黒が傷みました。
実戦図7
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上図白4から逆に黒の眼が脅かされる事態に。流石に黒が苦し過ぎたようで、白20までで中央の黒が取られ、白勝ちがきまりました。
実戦図8
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最終手まで載せました。白32まで。
白中押し勝ち。
本局は白番の知得の技が素晴らしい一局でした。黒にこれと言ったミスはなく、布石で少し遅れを取ったぐらいだったのですが、その後一瞬で勝負を持って行かれました。これが知得の強さでもあるし、怖さですね。勉強になる一局でした。
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