囲碁は好きですか?

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張栩 二つのコウで優勢を築く

こんにちは。みやれーです。


僕が囲碁を本格的に始めた頃、囲碁界は 張栩九段の天下でした。
五冠王を始め、七大タイトルグランドスラム達成。世界戦優勝など、僕にとって大スターでした。

今でもその憧れが強くて、好きな棋士は?と聞かれたら、張栩九段と答えています。その度に、「棋風が似てないね」なんて言われますが、好きだから棋風が似るとは限りませんよ。

なにより張栩九段は対局に向かう姿勢がかっこいいのですよね。圧倒的な勝ちへの執着といいますか、自分の目指す所へ真っ直ぐ向かっている姿がかっこいいです。

これは同じ時代を生きているからこそ知れる事で、昔の人だと記録でしか知る事が出来ません。ですから、僕が張栩九段と同時代を生きれている事は、本当に幸せだなと感じています。

今回はそんな張栩九段の十八番、『コウ』を巧みに使い優勢を築く名局です。


黒番張栩。白番山下敬吾

実戦図1

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黒3手目のカカリは、一時期張栩九段が愛用した手法。受けてくれれば空き隅へ。白4と手抜きなら両ガカリします。
白14では、先に白18とカケるのもありました。白14~黒17までを交換してからでは、100%黒19と出切ってくるので、難戦になる可能が高いです。
実戦は黒23、25と工夫した事により、あまり見ない分かれとなりました。互角でしょう。

実戦図2

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上図白2はこう打ちたい所。右辺は黒が厚い所なので、更に厚くさせても、隅の白が強くなっている利点の方が大きく、不満がないのです。
逆に黒としては、言いなりになるのは辛いので、どこかで工夫が必要になります。そこで打たれたのが黒17。これが素晴らしい手でした。

実戦図3

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当然上図白2とコウを取ってきますが、それにも無視して黒3。つまり黒はこのコウを争いつつ、なんならコウに負けても良いと考えているのです。すでに右上の黒は二子取って厚い形、攻められる心配はありませんから、このコウは地だけの問題で、大きくないと考えているのですね。
結果的にもコウは白が勝ち、黒は21、23と連打しました。このフリカワリは黒が悪くないです。

実戦図4

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上図白2から隅を活きないといけないのが辛い所。
黒7に白が受けなかったのはちょっとよくわかりません。何も触らない方がマギレが多いと見たのでしょうか。
黒13は面白い着点ですね。コウの匂いがしてきました。

実戦図5

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上図白2と準備してから白4とコウを仕掛けました。
このコウは右下のコウと違って、黒は絶対に負けてはいけないコウです。なので白14には受けず、コウを解消。フリカワリとなりました。
白の連打も大きいですが、黒17で左上はほぼ黒地。流石に大きいので、黒優勢と言って良いでしょう。

実戦図6

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黒9から下辺を割って順調です。
白22と上辺を消しにきましたが、反発して黒23へ。ちょっと変化しました。

実戦図7

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上図黒3、白4のタイミングで、黒5が鋭い踏み込み。白は反発出来ないようです。
黒は確実に地を稼いでいますが、中央がなんとなく白っぽくなってきました。白が中央にどれだけ地をつけれるかの勝負になりそうです。

実戦図8

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上図白12がどうだったか。一路上へ打っている方が難しかったようです。実戦は黒13から中央を荒らされて、黒がはっきり優勢となりました。

実戦図9

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白がヨセで頑張っている事もあって、少し差は縮まったようですが、黒勝ちは変わりないです。

実戦図10

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最終手まで載せました。(白46まで)

黒1目半勝ち。


本局はやはり二つのコウが見所でした。
二つのコウといっても、実は全然戦い方が違うコウで、右下のコウは黒にとって負けても良いコウで、どこでコウダテをするか考えるコウでした。
左上のコウは黒が負けてはいけないコウで、逆にどこに白の連打を許すかを考えるコウでした。

コウはやはり難しいですか、流石張栩九段は両方を上手く戦い抜き、優勢を掴みました。

この華麗さと強さは張栩九段ならではのもので、真似しようとして出来るものではありません。やはり世界一を経験している張栩九段ですから、自分にしか打てない碁を作り上げているのですね。




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