木谷実九段の完勝譜
こんにちは。みやれーです。
今回で三回目でしょうか。木谷実九段の碁を取り上げます。
自分の碁(または人生とか)に影響を与えた人や作品っていくつかあると思いますが、僕にとって木谷九段がそれでした。
身体に衝撃が走ったというか、並べていてすぐ、木谷九段の碁に魅了されました。
その一番の魅力はなにかと言えば、自分がペースを握れば絶対に勝ってしまうその安定感にあります。
勝てる碁を勝つ能力がずば抜けて高いのです。
今回の碁も序盤でリードを奪ってから、優勢を勝勢に変える手順がとても簡明で速い。
一瞬の隙も与えず勝ってしまいます。
黒番木谷九段の一歩一歩進む手堅い棋風に対し白番の岩本九段は階段を二段飛ばしで駆け上がっていくような速さが持ち味の棋風です。
それがわかるのが白4と黒5の交換。二人のらしさがよく現されています。
上図白8が問題だったようで、三間まで開くか、白8、黒9の交換無しに白10へ打った方が良かった。
黒9が来た事で上辺が狭くなった意味があります。
上図黒5と飛んで黒が打ちやすいでしょう。
白18のハザマを狙って下辺に元手をかけましたが、黒27で難無くシノギ形になりそうなので、黒が優勢です。
黒下辺に五本並んだ形が厚く、左辺の白地も増えなさそうです。
黒は左辺へ頭を出しながら上図黒19でハッキリ生きて、黒優勢で大ヨセに入りました。
戦いを起こさず優勢に出来るのは実力が高い証拠。しかも今のところ白に反撃のチャンスを与えていません。
普通こんな簡単に打てるものではないのですけれど・・・。
上図でどんどん形を決められ、白が争う余地がなくなってきました。
上図白2は最後の足掻きですが、黒7で何もありません。
もうどう打っても黒勝ちの状況になりました。正直白を圧倒しています。
最終手まで載せました。(黒57まで)
黒中押し勝ち。
投了しましたが、数えれば黒が盤面で10目くらい勝っています。
黒の打ち回しには一分の隙もなく、白の敗因は序盤にあるといえます。
しかし、少し良くなってから終局までに100手以上あるにも関わらず、一度のチャンスも与えなかった黒が凄かったです。
この碁は決勝戦ですし岩本九段の調子が悪かったとは思えず、悪いなりに辛抱して相手のミスを待っていたら、ミス無く乗り切られてしまったのでしょう。
木谷九段はこの碁のように優勢を
勝ちにするのがとても速い。余計な手を一切打たないのです。
その力はとても羨ましくて、かっこいいですね。
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