第43期棋聖戦挑戦手合七番勝負第二局 井山裕太VS山下敬吾
どうも!こんにちは。みやれーです。
井山裕太棋聖に山下敬吾九段が挑戦する第43期棋聖戦挑戦手合七番勝負。1月22日に第二局の二日目を迎えました。
今記事では二日目の進行を追っていきたいと思います。一日目の手順は前回記事をご参照ください。
前回記事
二日目
一日目は山下敬吾九段が積極的な打ちまわしを見せ、白有望かと言ったところで打ち掛けとなりました。しかし封じ手以降は黒が攻めに転じそうな局面。井山裕太棋聖が流れを引き戻せるかが注目です。
実戦図1
黒1は白の眼を脅かした意味合いが強いです。実戦のように白2、黒3を交換してくれたなら、自然と右上隅の白一子が取れそうです。ただ白も4と抱えれば死ぬ心配はなさそうですね。
黒は5と大場へ。すると右下一帯の黒模様が大きくなってきたので白6と突入。自然な石の流れです。
実戦図2
一日目からでしたが、この碁の山下九段は石がのびのびとしています。特に白1から白3とシマリにツケるなんて躍動感に溢れてる。どちらも黒模様を消すという目的を持ちつつも、どちらが本体かを相手に察知させないようにして、攻撃の手を分散させているのですね。目一杯に石を張る山下九段の持ち味が発揮されてます。
黒18と飛んだところですが、次の一手も正に手筋でした。
実戦図3
まず白1とカケて、黒2と打たせてから白3とツケるのが美しい石の動き。黒4とツナいだ形が黒2の所為で「空き三角」の効率の悪い形となっています。そして更に白5とツケの妙手!惚れ惚れするようなサバキです。黒の対応について少し掘り下げてみましょう。
参考図5
黒4は空き三角ですが仕方ないです。そして白5が何故素晴らしいかですが、仮に黒6と出たとすると、白7の引き。次白に8の点へハネられては黒石の命がないので黒8とノビ。この時に白9と動き出す手が成立するのが白5が妙手たる所以です。山下九段の読みもさることながら、現在取られているはずだった右上隅の白石まで最大限に活躍させようというその構想力。脱帽しました。
実戦図6
白は3と一度コウを抜いてから白5のハネへ。もちろん天下の井山棋聖ですから黒石が取られるなんて事はなく、黒14と三子抜いて脱出しました。おそらく黒は最善の道を進んだものと思われますが、まだ右辺の白石はコウだということと、中央の白が厚くなったため下辺の黒石に迷惑をかけているという二点で、黒の大成功とは言えなさそう。
実戦図7
白7と一回コウを切りましたが放置して下辺のツケギリへ。実は白7は細かいテクニックで、どうせ放置するならば白7と黒8を代わっておくのが上手い。次白がコウを仕掛ける時、抜けば黒がコウダテをする番でコウを始められます。仕掛けたい時に白7と切ってコウ争いを始めてしまうと、黒8と抜かれて白がコウダテをする番になってしまうのですね。一回分コウダテに差が生まれます。細かい所ですが、このレベルでは小さなテクニックで勝敗を分ける可能性もあるので、大事な所です。
最後に
第二局は山下敬吾九段が勝利し、1勝1敗のタイに。
結果はもちろんですが、本局は山下九段の名局と言って良い最高の碁だったと思います。AIを見ると、打ち掛けの辺りから白90%の評価値を出しており、そのまま評価値を落とすことなく終局を迎えていました。もしかすると、山下九段の棋士人生の中でも指折りの傑作になったかもしれませんね。
次の第三局は2月2日、3日に長崎県西海市「オリーブベイホテル」で行われます。
最後まで読んで頂きありがとうございます!この記事がいいと思ったらポチッと応援よろしくお願いします↓m(_ _)m
Twitterでブログの更新情報等を発信しています^ ^
YouTubeチャンネルはこちら!