囲碁は好きですか?

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本因坊戦第五局!井山裕太VS山下敬吾

どうも!こんにちは。みやれーです。


6月30日、7月1日の両日、福島県会津若松市の「今昔亭」にて第73期本因坊戦挑戦手合七番勝負第五局が行われました。


前回記事

井山裕太VS山下敬吾

すでに3勝を上げ、本因坊防衛に王手をかけている井山裕太本因坊。傍目から見れば、相変わらず盤石な強さを誇る本因坊ですが、挑戦者の山下敬吾九段も1勝と気を吐き、落とした三局も際どい勝負ばかり。つまりこの挑戦手合、二人の間にはスコアで見るほどの優も劣もついていない、互角の勝負であることは間違いありません。


黒番 山下敬吾。白番 井山裕太

実戦途中図1


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黒1、3の右辺に寄せた小目は、井山本因坊が愛用している布石です。今回は山下九段がそれを逆用した形になりました。

実戦途中図2


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黒6は様子見。素直にツグか、実戦のように白7と打ってくるのかを見ています。白7ならば上辺の白模様が広く、高さもあるので、黒8と消しに行くのが足早な布石構想です。

参考図1


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黒2とノビるのも自然な応手です。白5で上辺に白模様が出来ますが、実戦よりも黒は厚く、右辺に黒模様も出来るので、この図も考えられました。

参考図2


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黒2とハネる手もあります。おそらく白3とオサエてくるのかと思いますが、それならば黒20までが定石で、黒が巨大な地を得て、白が大模様を張る碁になります。

参考図3


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もちろん白1のツナギも普通です。これはこれで穏やかな碁ですね。


実戦は黒が足早に先行し、白が厚みの碁となりました。

実戦途中図3


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黒1、3とやはり素早い動きを見せる黒。局面を自分で動かそうとしている意思が見受けられます。

参考図


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僕だと黒1の方からカカリたくなりますが、好みですね。

実戦途中図4


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白1、3は常用のコンビネーション。覚えておくと便利かもしれません。

黒4と対応すれば白5、9と渡ります。これで白1の石に眼形を増やしつつ、黒石を切ることが出来ます。

参考図


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もし黒4と対応したら白5と打ち、以下白11までがよくある形。これは隅を白に食い込まれる分、右辺に黒の厚みを向ける定石になります。しかしこの局面では、右辺に黒模様が出来る感じがない(右上の白石が厚いため)ので、実戦を選択したのも頷けます。

実戦途中図5


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白1は戦線拡大戦法。黒8までを交換して白9のオサエと、難解です。

参考図1


棋譜再生

単に白1とオサエるとどうなるのでしょう?

はっきりしたことは言えませんが、おそらく黒2〜8までとなったとき、白9に黒10と対応を変えられることを恐れたのだと思います。

参考図2


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実戦で黒2を打つと、白9と渡られ、周りの黒石がバラバラになり、収拾がつきませんから。

実戦途中図6


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黒1は気合いの入った一手。白四子の脈を絶った手ですが、隅の死活を読む必要があります。

参考図


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部分的には白2で隅の黒石に生きがありませんが、黒7と頭をオサエられると、下辺の白石との攻め合いになります。これは黒15までで黒の一手勝ちが確認出来るので、白も容易には取りにいけません。

実戦途中図7


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ここから本格的に空中戦がスタート。お互い眼の無い石が多い碁ですし、拳を納める展開が来るのかどうか。このまま殴り合いになるかもしれません。

実戦途中図8


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白1はシチョウ有利を見越した激しい切り。また眼の無い石が増えて、さらに忙しくなってきました。

白19でようやく隅に手をつけます。

実戦途中図9


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右下隅の黒石に生きは無いですが、まだコウで粘る余地があります。

黒7から一気呵成に白石を分断しつつ、黒23に手を戻しました。右下から始まった折衝が延々と続いています。

参考図1


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ちなみに、右下隅の攻め合いは、白から打てば白有利の一手ヨセコウですが。

参考図2


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黒から打つと黒有利の一手ヨセコウになります。

ややこしいのですが、とにかく右下隅はコウなのですね。

実戦途中図10


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問題は中央の力関係。黒に負けじと、白も白1から一番厳しい手を選択。お互いが力をぶつけ合った結果、中央の戦いは黒22とハジいてコウとなりました。

このコウを勝つか負けるかでは天と地ほどの差がありそう。コウダテは何処にあるのか。

実戦途中図11


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黒3のコウダテは一度効いたようですが、白にも白6という強烈なコウダテがありました。

白8とコウと取り返した場面。盤面を見渡すとめぼしいコウダテも見当たらず、黒は不本意ながら黒9へ。しかし白10と打ち抜かれてみると、中央から上辺にかけて、黒石のボロつき方が痛すぎる。左辺全てを黒地にでもしないと精算が合わなさそうです。

実戦途中図12


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しかし白1、3でコウの格好。中々粘りがありそうです。この辺りで形勢ははっきり白に傾いてきました。

実戦途中図13


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数手コウダテを打ち合った後、白2とコウを解消。流石に白が地合いでリードしていることが決定的になってきましたが、黒9と動いて左上隅の白石を取りに向かいます。

これで負けると本因坊戦敗退となる山下九段。僅かでも闘志が燃ゆる限り、勝負を諦めない。これぞ勝負師の姿ですね。

実戦途中図14


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隅はコウですが、白18と一回繋ぐ余裕がある分、黒に分が悪いコウになります。

実戦途中図15


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白6と大場へ向かったのは勝利宣言に近い。左上隅のコウは負けないことを読み切っているのでしょう。

この後、黒も数十手打ち続けますが、白の勝勢を揺るがす展開には至りませんでした。

終局図


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白中押し勝ち。

まとめ

井山裕太本因坊が第五局を勝利!本因坊防衛を決めました!!


最終スコアを4勝1敗とし、本因坊戦7連覇。この連覇記録は、歴史ある本因坊戦の中でも歴代3位タイとなる大記録です。最高記録が趙治勲九段の10連覇ですから、その頂も狙える位置に来ましたね。


今シリーズを振り返ると、全局際どいぶつかり合いが続いて、互角の勝負や、山下九段に有利な碁もあったと思います。しかし最後に勝ってしまうのが井山本因坊。特に中、終盤で一手たりとも乱れないのが凄いです。やはり七冠王。勝ち切る力が群を抜いています。

ただ勝ち星が偏ったとはいえ、毎局全力で拮抗した勝負を戦い切った名シリーズでした。対局者のお二人ともお疲れ様でした。




しかし、観戦しているだけでも疲れる七番勝負でしたね(^_^;)

観戦お疲れ様でした(^o^)/




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