囲碁は好きですか?

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第43期碁聖戦開幕!井山裕太VS許家元

どうも!こんにちは。みやれーです。


6月23日土曜日、石川県金沢市の「北國新聞会館」にて第43期碁聖戦挑戦手合い五番勝負が開幕しました。

井山裕太VS許家元

今期の碁聖戦は若手有望株の許家元七段が遂に、七大タイトル戦の挑戦手合いに初登場です。相手はもちろん七冠を保持する井山裕太碁聖絶対王者へ下克上となるか。注目の五番勝負です。


黒番 井山裕太。白番 許家元。

実戦途中図1


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黒1、白8と三々に入りあって現代的な布石に。ですが黒9といきなり切ったのは珍しく、とても厳しい発想でした。乱戦を好む井山碁聖らしい一手ですね。

実戦途中図2


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白は4と飛んで頑張りたい。黒5の圧迫には白6、8が用意の手で、白16までで一段落となりました。

結果は、黒が先手で白石を切ることが出来たので、当初の予定を思えば黒に不満がないはずです。ただ白8の一子をゲタで取ったとはいえ、まだ黒石に二眼は無く、攻められる可能性も大いにある形。黒も気を使いながら進める事になります。

実戦途中図3


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白4から白8と切ったのは凄い迫力。許七段も力自慢で有名ですが、井山碁聖相手に一歩も引かない姿勢は見ていて気持ちがいい。

参考図1


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白1のオサエには一応、手を抜く事も可能でした。白3と打たれてコウになりますが、コウならば仮に、黒が他所を二手連打する形でも十分に戦えるので、黒2と手抜くのも有力でした。

参考図2


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白1の切りは通常成立しない手です。しかしこの碁では、黒6からのシチョウが白有利なのと、上辺に白の厚み(と白は判断した石)があるので、白1の頑張りも成立するという読みです。

実戦途中図4


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実戦は黒2、4とアテカケツギました。カケツギは自身の眼形を増やす意味があって、守りの手ですね。やや辛いですが、黒16で生きを得ました。白も手順を尽くした後白25と生きて、この戦いは一段落。

形勢は難しそうですが、雰囲気は白の方が打ちやすそうです。

実戦途中図5


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そろそろ左上の黒石が弱くなってきたので黒1と補強。白4も好点です。

今度は右上の黒石が弱くなったので黒5から中央へ進出。その過程で右辺の白石強くなってきたので、黒19と薄みを守る。この辺り黒は「弱い石から動く」の基本に忠実な進行です。

ただ、黒19はちょっと真面目すぎる感じもあります。

実戦途中図6


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白6は捉えどころが無くて面白い。黒石を割いているイメージなのでしょうか。

参考図


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打たれて見ると確かに、黒1へ石を転がすのも好点ですね。白の大石にまだ二眼ありませんし、黒は右下隅を守らず、足早に黒1へ打つのもあったかもしれません。

実戦途中図7


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黒1と手を抜かれたので、左上の黒石の襲いかかりたい場面。白2は形の急所です。

参考図


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黒5と切っても、白2の石を取れない事は容易に確かめられます。

実戦は黒三子を手中に収め、白が立派な戦果を上げました。

実戦途中図8


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黒9と構えて地合いは黒リード。しかし白14と喰らい付かれて、少し危険な状況。白に流れが来てます。ここの折衝で頑張り切れるかどうかが勝負になりそうです。

実戦途中図9


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黒1から徹底して下辺を頑張ります。黒の大石に眼があるか微妙なところですが、流石に際どいところで勝負してます。実戦の進行を追いましょう。

実戦途中図10


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黒は一切守りの手を打たず、白の薄み(弱点)が出来るように打ち進めます。白に薄みがあるうちは、中々黒石を取りには来れません。許七段も無理に取りに行かず、じっくり間合いを計っています。

実戦途中図11


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黒7と驚きの切りを打ち、黒9、11とコウを仕掛けました。これはコウに自信があって仕掛けたのか、やや形勢が苦しいと見た勝負手なのか。おそらく後者かと推測しますが、白も容易ならざるコウで、碁は佳境を迎えます。

実戦途中図12


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コウダテが続く。

実戦途中図13


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黒1のコウダテに受けず、白2とコウを解消しました。これで左上から伸びる黒の大石は取られ、代わりに左下隅は黒地になるフリカワリとなりました。まさかこんなに大きく変化するとは。

白2の時点でまだ時間を残していた許七段は、長考の末に白2を打ちました。おそらく計算が出来たのでしょう。

実戦途中図14


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大差ではありませんが、白10と繋いで白勝ちのようです。流石に左辺の白地が大きいですか。

終局図


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白1を見て投了しました。おそらく最後まで打てば白の3目半勝ちだと思います。

白中押し勝ち。

まとめ

許家元七段の勝利!王者相手に幸先の良いスタートを切りました。


石が切れ合う難しい碁で、何が起きてるか分かりにくい碁でした。お互い乱闘好きなので当然ですかね(^_^;)

個人的な感想ですが、本局は井山碁聖の「受ける手」が目立っていた気がします。これが若手ならば、大舞台の緊張から来る硬さと受け取れますが、井山大先生ですしそれは考えにくい。

これは僕の妄想になってしまいますが、井山碁聖は敢えて、許七段の好きなように打たせていたのかなと思います。初登場のタイトル戦で許七段がどんな碁を見せるのか。試していたと言ったら誤解を産みそうですが、今後自分の存在を脅かすかもしれない若手との勝負を、ただの勝ち負けだけでは終わらせず、未来に繋げるための一局にする。そんな印象を受けました。


スコアは許七段の1勝とリードしましたが、おそらく本当の勝負はこれから。井山碁聖の底力と許七段の真価が問われる、大注目の五番勝負となりそうです。




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