囲碁は好きですか?

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本因坊戦第四局!井山裕太VS山下敬吾

どうも!こんにちは。みやれーです。

6月13日は第73期本因坊戦七番勝負第四局の二日目です。

一日目の模様は前回の記事にてお伝えしていますので、この記事では二日目の進行にのみ焦点を当てて、感想を書いていきます。


日本棋院サイト
井山の封じ手は2の十一【第73期本因坊戦挑戦手合七番勝負第4局】 | 棋戦情報 | 囲碁の日本棋院


前回記事

井山裕太VS山下敬吾

昨日は54手まで進み、55手目を黒番井山裕太本因坊が封じました。前回の記事では封じ手予想をしましたが、注目の封じ手はどこでしょうか?


黒番 井山裕太。白番 山下敬吾

封じ手


棋譜再生

封じ手は上図の黒1、ハネでした。

予想大当たり!

と言いたいところですが、まあこの一手とも言うべき大本命の封じ手でしたので、当たって当然ですね(^_^;)

実戦途中図1


棋譜再生

封じ手の意思を汲んで黒3の切り。どうも井山本因坊はこの切りを打ちたかったのでしょう。

白は中央をこだわらず、黒7のツケに白8とアテたため、白12まで白が左辺を取り、黒が中央を補強する分かれとなりました。黒はこのような図を目指して封じ手の動き出しを結構したので、この進行に文句は言えないでしょう。

参考図1


棋譜再生

白が2と中央をこだわった場合の変化も気になりますが、どうなるのでしょう?黒3からシボリが利いて。

参考図2


棋譜再生

黒1が成立しますね。白2と下をハネるくらいです。

参考図3


棋譜再生

白2と上を切っちゃうと黒3から渡られ、自然と左下隅の白石が取られてしまいます。

参考図4


棋譜再生

白2とハって、黒3とカケツナいだりするのですかね。上図は一例ですが、難しい形勢です。

参考図5


棋譜再生

上図白2と先に上を切ると、黒3には渡られないために白4と打たねばならないので、考えにくいです。白4はいかにも辛いですね。

参考図6


棋譜再生

続いて黒3のカケが決まる格好で、中央を厚くして黒9に回れます。これは黒が打てる図でしょうか。


白は中央を出たい気もしましたが、はっきり白が良い図も見えないので、実戦の進行が無難と判断しましたか。

実戦途中図2


棋譜再生

黒は3で右下を制して、白は4と中央を切りました。どちらも大きいところですね。このまま左上が白地では敵わないので、黒7から手をつけます。

実戦途中図3


棋譜再生

白2のカケを一回打ってから白4のツケは面白い工夫。普通なら良くなさそうな手ですが、この場合は左辺の白が岩みたいに厚いので、多少強引でも大丈夫です。

参考図


棋譜再生

単に白2とツケるのは、黒3を嫌ったという事でしょう。仮に白6と隅に固執していると、黒11など打たれて、せっかく切った中央の白二子が置いてけぼりを食らい、可哀想です。

実戦で一回カケを打ったのは、上図のような手段を消して中央も頑張ろうという意味ですね。

実戦途中図4


棋譜再生

上図は面白い進行を辿ります。

黒1のハネに白2で中央を頑張るのは分かりますが、黒5のぶつかりに白6と抜くのは気付かない。普通は黒7と出られて、黒の稼ぎが大きく見えてしまいそうです。

ですが実際は、先手を得た白が8、10と大場へ先着することとなり、盤面に大きな黒地は見当たらず、白の地と厚みで十分に間に合う形勢。むしろ白が形勢良いかもしれません。山下九段、会心の打ち回しでした。

参考図


棋譜再生

普通は何も考えず白2と受けてしまいそうです。ただ黒5で生きるとなると、確かに白に断点が出来ています。仮に実戦と同じ進行を辿るなら、後々黒9などと切る味を見られるのが気持ち悪い。ならば実戦の方が白厚いです。

でも、やっぱり気付かないですよね(^_^;)

実戦途中図5


棋譜再生

黒1のハサミには、白2とノゾキを打ってから白4とスベりました。このノゾキは、白の厚い碁形なので、出来るだけ黒石を切っておきたいという意味でしょう。

参考図


棋譜再生

もしノゾキを打たなかったら、黒3から連絡すると思います。実戦よりも黒は厚く繋がれそうです。

実戦途中図6


棋譜再生

実戦は黒1と右下に迫りましたが、手を抜いて白2へ。黒石をしっかりと切って、白の次の攻めは厳しいぞ!と言っています。黒も3と手入れしました。

白6は軽い気持ちで利かすつもりだったのでしょう。はっきりとした意味は汲み取れませんでした。

実戦途中図7


棋譜再生

黒2のツケは手筋。今なら白3と引くしかありません。黒4とぶつかり、白も5と飛び込み。難しくてよく分からなくなってきました。

参考図


棋譜再生

ちなみに白3、5で一子取ることも可能ですが、黒8で白二子を切り取られると白1がそのまま腐ってしまうので、上図は考えにくいです。

実戦途中図8


棋譜再生

黒5とナラビは、黒にケイマの薄みがあるので、それの補強です。実戦は白14まで黒が先手で補強出来たので、黒15で右上隅の白石の眼を奪って、攻める態勢を作りました。

しかしそのかわり、右辺は白14で白の地になってしまったので、地合いは白有利。黒は右上の攻めで相当な得が必要な形勢です。

実戦途中図9


棋譜再生

正直右上の白石が死ぬようには見えません。周りの白石も厚いので、白は堂々と逃げて行けるのです。

参考図1


棋譜再生

黒2と出られても、白3から白も一緒に出て行けるので問題ないですね。

参考図2


棋譜再生

黒2とハネて工夫しても、白3に石が来ると白11が先手になる関係で、上辺が突破されてしまいます。


一見すると白順調。地合いの差を見るに白優勢は明らかで、この白石が無事に生きれば、黒の逆転の目は潰えます。黒の投了すらも近い局面。誰もが白の勝利を確信していました。

ただ一人、井山本因坊を除いて。

実戦途中図10


棋譜再生

黒1が勝負手。このタイミングで白の様子を聞いています。

当然、部分的に何か手がある訳ではなく、右上白の眼との関係で、どうにか上手く絡ませようとしています。

参考図1


棋譜再生

白には安全策を取るか、頑張るかの二通りの受け方があって、白2安全策。これは黒3のツケから右下隅が黒地になりますが、そのかわり白の大石は安全です。

ただこの図だと、白が形勢良いとは言えず、地合いで黒が十分に戦えます。

参考図2


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頑張るとしたら白2のブツカリ。元々はこの手があるので右辺は大丈夫との読みでしたが、中央は切羽詰まっているこの状況では、白も何かと気持ちが悪い。黒3が一つの例で、白4と素直にツグと黒5で突破されてしまいます。

参考図3


棋譜再生

上図白4と器用に受ける手も思い浮かびますが、右辺は大丈夫でも、中央が厚くなって白の大石が危険です。

参考図4


棋譜再生

なので辛いですが、白4とツグしかなく、黒5のキリが先手で黒7のハネに回ります。

参考図5


棋譜再生

仮に上図の展開なれば、黒1、3、5で白二子が取られた分、白が損した結果となります。

ただ、後述する実戦の進行よりかは、上図の方がまだ白がマシな気がします。結果論になりますが、白は上図の展開で我慢する方が良かったかもしれません。

実戦途中図11


棋譜再生

黒1の対応に困った白は2とスベりました。「最強の反撃は手抜き」などという言葉もありますが、しかし黒7と突き抜かれては既に、どちらが優勢かを論じることは出来ません。大混戦です。

実戦途中図12


棋譜再生

白が優勢だったはずの碁からいきなりな大混戦。多少の焦りもあるでしょう。白6は疑問に思います。

参考図


棋譜再生

白1と抜く方が自然です。実戦の手は黒2と眼を奪われるのを嫌ったとしか思えませんが、右上の黒石にも二眼が無いので、それほど攻められる石ではないはず。中央を白1と抜けるかどうかはとても大きな問題です。

実戦は言わば、頑張りよりも守りを重視した一手でした。しかしこの緊迫した状況でも後退は相手に流れを与えてしまいます。

実戦途中図13


棋譜再生

実戦は白8、黒9となって、お互いの石が無事に連絡しました。しかしここまでの戦いで白が得た得をほぼ無いに等しく、逆に黒は右辺を突き破りつつ中央にも厚みを蓄え、得を重ねました。

形勢は大逆転。黒優勢となりました。

実戦途中図14


棋譜再生

白1は流石の鋭さで、白9までで生きる手段があったようです。しかしここが生きても、地合いで黒が有利で、争う場所もない。黒勝勢です。

終局図


棋譜再生

黒1を見て白の投了となりました。よく見ると、右上から下辺へと連なる白の大石の眼が危ういですね。

参考図


棋譜再生

一応白2が詰碁的手筋で生きることが出来ますが、地合いが争えません。


黒中押し勝ち。

まとめ

本因坊戦第四局は井山裕太本因坊の劇的逆転勝利!これで通算成績を3勝1敗とし、防衛に王手をかけました。


本局は山下九段の打ち回しが冴え、白優勢、白勝ちに近いところまで追い詰めていたはずなのですが、僅かに生じた白の隙を的確に突き、まるで手品でも見ているかのような華麗な逆転劇を決めました。これぞ井山本因坊!と感極まる内容でした。


これで防衛に王手をかけた井山本因坊。もちろん山下九段がこのまま簡単に引き下がるとも思えませんし、次の第五局も注目です。

第五局は6月30日、7月1日の両日、福島県会津若松市「古昔亭」にて行われます。

これは僕の都合ですが、6月30日は大会に出ている日なので当日にブログを上げれるか不明です。ご了承ください。


お疲れ様でした!




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