黄竜士精錬科技杯第10戦!藤沢里菜VS周泓余
どうも!こんにちは。みやれーです。
6月6日の午前中に、黄竜士精錬科技杯第10戦が行われました。
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藤沢里菜VS周泓余
とうとう日本チームは最後の一人。大将として登場したのは藤沢里菜四段です。相手は、第9戦を勝ち上がった中国代表周泓余四段。日本チームが優勝を目指すために、藤沢四段はこれから5連勝が必要となりますが、まずは目の前のこの一戦。どんな碁が見られるでしょうか。
黒番 藤沢里菜。白番 周泓余。
実戦途中図1
右上で最近流行りの定石が進行中。白15の抜きまでは基本の形ですが、この碁ではシチョウ有利を見越して黒16とカカエました。ただこのカカエは、白17(少し白が損な手)を打てば白19の逃げ出しが成立してしまうので、戦いの碁になりやすい打ち方です。
実戦途中図2
白1の逃げ出しに黒2と上辺を受けました。ならば白3を打って白5へ打つのが「三目の真ん中」と呼ばれる急所。黒に良い形を作らせない厳しい手です。以下白17まで進みましたが、この形を僕は初めて見ました。新型でしょうか?(それとも僕の勉強不足?)少し詳しく調べてみます。
参考図2
白1は良い手である理由は、白5と切った時に、黒6という「空き三角」の愚形を強要させる事が出来るからです。実戦も黒6と打たされたのは辛いのですが、仕方ないという判断ですね。
せっかく白5と切ったのですから、白7から動き出す手段も考えたくなりますね。白9からどんどんオシていけば、中央の黒三子を攻める事が出来るかもしれません。ただ右辺にとても大きな黒地が完成してしまうので、白はそれを嫌って上図を避けたのだと思います。
参考図3
実戦は少し黒が遠慮した感じもあるので、黒2と飛んで右辺を大きく広げるのはどうでしょうか。これはむしろ白3が利いて、白5で右辺が荒らしやすい意味もありますね。黒2が悪い手とは言い切れませんが、実戦は白3のような利かされ方を嫌ったのかなと思います。
実戦途中図3
黒1と構えて白に手が回りました。魅力的な大場がいくつかある中、実戦は白2とツケて右辺を荒らす手を選びました。が、この手あまり良くなかったのではないでしょうか?確かに右辺の黒模様を10目以上減らしてますが、その分中央の黒が厚くなっているので、下辺の白模様にも悪影響が出そうです。白2とツケて以降白に得は無かったように見えます。
実戦途中図5
白は2と上からアテましたが、白4と繋がらねばならないのが辛く、黒5の強烈な切りを打たれました。白は防戦一方。黒13、15と上辺も突き抜かれて、形勢は黒に傾きました。
実戦途中図6
白は守るだけでは勝てないので、多少は無理をしながら地合いで踏ん張るよりないのですが、黒4〜10もまた良い手ですね。こういうのを囲碁用語で「筋に入った」というのですが、一手打つ度に回りの黒石を最大限に活躍させていて、とても流れが良い。地合いがというより、石の働き具合からして、黒がはっきり優勢です。
実戦途中図7
黒1は厳しい踏み込み。白は2と、隅は黒地になりますが厚みを重視するノビを選びました。ですがそれでも、黒13、15と頭を出して、黒の攻めが止まりません。
参考図
左上は白2とハネると黒3へ切ってきます。黒5、7で黒に厚みを作られると、黒9のような雰囲気で攻められ、白の敗北が近くなってしまいます。実戦は悪いながらも紛れを求めてノビを選択しましたね。
実戦途中図9
左辺は黒5まででシノいだ振りをして、白6へ回りました。しかし白が一手入れたのにも関わらず、黒7、11で中央の白一団を取りにいきます。
周りが真っ黒とはいえ、取りに行くのは黒も少々怖いはずなのですが、どこまで読んだ上で取りに行ったのでしょうね。