囲碁は好きですか?

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黄竜士精錬科技杯第8戦!上野愛咲美VS呉侑珍

どうも!こんにちは。みやれーです。


6月5日から女流棋士団体戦黄竜士精錬科技杯の第2ラウンドが始まりました。


日本棋院サイト
第8回中国姜堰黄竜士精鍛科技杯世界女子団体戦 | 棋戦 | 囲碁の日本棋院


日中韓それぞれ5名ずつの代表選手が勝ち抜き戦を行う今大会。第1ラウンドでは中国代表、李赫五段の5連勝もあり、日本代表選手は残り2名となっています。

そんな危機的状況の中、第2ラウンド一回戦では上野愛咲美二段が登場です。この記事ではその上野二段の一局の感想を書いていきます。


前回記事

上野愛咲美VS呉侑珍

16歳ながら今年の世界戦で活躍している上野愛咲美二段と、第1ラウンド最終戦で勝利した韓国代表呉侑珍五段の対戦。お互いヨミを得意とする棋士ですが、上野二段が得意の乱戦に持ち込めるかに注目です。


黒番 上野愛咲美。白番 呉侑珍。

実戦途中図1


棋譜再生

白2の三間高くハサんだのはやや珍しいでしょうか。右辺の黒模様が大きいと見て、消し気味の手を選んだのでしょう。黒3も右辺の黒模様も少しでも大きくしたいとの意図が見えますので、お互いの意見は一致しているかもしれませんね。

実戦途中図2


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黒1は白の一間トビの弱点ですが、白2、4と対応されて難しい戦いになりそうですね。戦い好きの上野二段ですから、実戦の展開は歓迎ということでしょうか。僕には少し黒が怖い戦いに見えます。

黒9のオキは手筋。黒1、3、7のマガリトビの急所です。このオキは意外と実戦で出てきますし、何よりかっこよくてドヤ顔出来る手筋なので覚えておくと便利ですね^ ^

実戦途中図3


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実戦は上図のように進み、黒が厚くなったようにも見えますが、白16の断点があって難しい。まだ戦いが続きそうです。

実戦途中図4


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黒2、4と中央の白を切り離したので白5と補強。すると黒は6とハザマを突いて出ました。確かにこの黒6で黒三子が脱出出来ていますし、白石を切っています。厳しい手ですね。やはり上野二段の碁は乱戦になります。

実戦途中図5


棋譜再生

碁は空中戦になってきました。碁はヨミがもちろん大事ですが、戦いでは「気合」とか、「頑張り」などの要素も入ってくるので、観戦者には手の意味が理解しにくい所でもあります。

僕には黒5と白6の交換がよくわからない所で、何か深い意味があるのかもしれませんが、読み取れませんでした。お互い「頑張った」としか表現出来ませんね(^_^;)

黒はシチョウ有利を見越して黒9とツケました。白はどうサバくのでしょう?

実戦途中図6


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実戦は白2と一回アテてから白4とワリコミました。白8に黒9と中央へ打ったため、白12と黒二子を取って、中央の白石は完全ではないものの、ほぼ生きですね。

参考図


棋譜再生

石が取られるのは嫌なので、本当は黒2と黒二子を助けたいです。しかしそれは白3とアテられて困ります。黒4と逃げ出してみても白5と打たれ、中央の黒石は御用、黒が余計に嫌な思いをするだけみたいです。

なので実戦の進行となりましたが、白が上手く戦えていそうですね。

実戦途中図7


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中央はひと段落なので、左上の黒石の安否が気になる所。上手くシノギたいですが、黒1とは凄い所へツケましたね。隅を生きたり、あるいは白石の眼を取ったりという含みを持たせた黒1のツケですが、流石の厳しさでした。

実戦途中図7


棋譜再生

白はあくまでも封鎖の構え。白16まで、黒石の退路を完璧に塞ぎました。しかしよく見ると、隅に黒石が食い込んでいる関係で、中の白石にも眼がありません。攻め合いになりそうですが、どうなっているのでしょう?

実戦途中図8


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黒5とハネたり、黒9と切ったり怪しい動きをしていますが、全ては黒の手数を伸ばし、攻め合いに向かうための準備。

参考図1


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まずは上辺のハネについて。白2とオサエたくなりますが、黒3とコウの形にされて白が弱ります。このコウに勝たないと、黒に手数を伸ばされたことになるので、攻め合いが厳しくなります。こんな無駄に難しい勝負を仕掛けられるくらいなら、白2とアテない方が良いです。

参考図2


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黒1の切りも手数を伸ばす意味。白2の抜いても結局黒7、9で手数が伸びるので、実戦が良いようです。

実戦途中図9


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黒は色々工作をしましたが、問題の攻め合いがどうなっているかですよね。実戦を進行を追いましょう。

一手ずつ詰めあって、途中白12は隅の黒石も攻め合いに参加させる良い手。結果は白16のハネの効果でコウになりました。

こんな大きなコウは中々見れないですよね(^_^;)
黒がコウに勝てば19子の白石が取れますし、白がコウに勝てば34子の黒石が取れます。地で言えば、このコウを勝つか負けるかでは91目の出入りが生じます。すごい・・・・。

実戦途中図10


棋譜再生

実戦は白2とコウを無視したのが冷静な好手。黒は3とコウを取り、白はまた無視して白4。黒5取り、白6トビとなって、急に碁が落ち着きました。

左上の抜き跡に眼が奪われますが、一旦冷静に全局を見て形勢判断しましょう。

左上の戦いに熱中し過ぎて忘れてましたが、白2と切ると中央の黒石(13子)が寂しい格好になっています。おそらくこのまま捨てなければいけないでしょう。そして白4、6と飛ばれたことで、右上の黒石も相当危ない格好になっています。右上付近ではもう少し戦いが起こるでしょうが、それならば白が打ちやすそうですね。地合い勝負も白がいけそうです。

この結果を産んだ要因は白の冷静さでした。先程、左上のコウは出入り91目あると話しましたが、白はコウを一旦無視することで、91目の損をしても、白2、4、6の三連打で91目分の得すれば良いという判断が出来ました。単純計算で30目の手を三回打てば良い。特に白2なんて40目はある手です。一見白の失敗に見えて、この碁では91目を回収することくらい造作もないことだったのですね。

実戦途中図11


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実戦は上図のように進み、大差ではないものの白が優勢となりました。

実戦途中図12


棋譜再生

最終盤。黒2のコスミツケが渾身の勝負手で、ここで白が怯んでくれたらあるいは・・・と思いましたが。

実戦途中図13


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白1のアテ込みが妙手で、白15で中央の黒石が取られてしまいました。

参考図1


棋譜再生

中央が取られている確認。白3には黒4と抜かねばならず、攻め合いは黒が一手負けです。

参考図2


棋譜再生

黒2と打っていれば前図の手段はありませんが、今度は白3で右下の白石が死んでくれないみたいです。白15で手になります。

参考図3


棋譜再生

ちなみに遡って、黒1のように囲って打つのは上図の進行になり、黒にコミが出せない形勢です。多分3目半白勝ちかな?


などなど、黒が苦心した終盤戦が終わり、白の勝ちが確定しました。

終局図


棋譜再生

白中押し勝ち。

まとめ

第8戦は呉侑珍五段の勝利!残念ながら、上野愛咲美二段はここで敗退です。


内容は黒の上野二段らしい戦いの碁に引きずり込み、得意の形ではありましたが、やや無理気味だったか。呉侑珍五段の正確なヨミに敗れてしまいました。


これで残る日本代表はあと一人。藤沢里菜四段だけになりました。藤沢四段の登場は翌日、6月6日の第10戦になります。




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