本因坊秀和 綿密な読みで打つ緩い手?
どうも!こんにちは。みやれーです。
本因坊秀和といえば、正確な形勢判断を武器とした落ち着いた碁を得意としています。しかし今回紹介する棋譜の相手は、後々明治囲碁界一の剛腕として知られる本因坊秀甫です。
対局当時は秀和が先輩ということもあり、棋士としてやや格上と見て取れますが、それを加味しても、白に付け入る隙を与えないコミ無し先番の打ち方は非常に参考になります。
比較的に短手数で終わる碁なので、実際に碁盤に並べてみるのも良いかもしれません^ ^
本因坊秀和VS本因坊秀甫
実戦図2
黒1と頭を持ち上げたことで下辺が広くなったので、白2のワリウチが大きい。
白6は作戦の分岐点で、左下の黒模様へ打ち込むことも出来たでしょう。しかし実戦は右上で生き、あわよくば外回りの黒石を攻めようとしています。
黒11と飛んで模様が立派になりました。
実戦図3
左下の黒模様へ白2と挑んだのは面白い一着。3の地点へ根を下ろされると困るので黒3と受けますが、そこで一転白4と補強へ。黒5と模様を広げられても、白10と逃げる手を残したのが白2の働きですね。
黒11と受けた手には秀和の解説が残っています。
参考図
秀和曰く、
「黒11では参考図黒1、3で形勢がはっきりいいことは知っているが、相手は力の強い秀甫だから、白2では3の地点へ反発することを考えなければならない。その変化は複雑になる。先番の碁なので、緩手は承知で黒11と守った」
とのことらしいです。
秀和の既に形勢を読み切っている凄さと、確実な作戦を選んだ裏の読みがとても面白いエピソードでした。
実戦図4
上図白2が問題の一着でした。
白2は右下の黒石を攻め上げようとの意図でしたが、黒3〜7が巧妙な返し技。白は4〜12と自然に受けるくらいですが、黒が厚く頭を出したことで、中央白が薄くなってしまい白14が省けない。これで悠々と黒15の大場に回られてしまっては、白2からの攻めが空振りに終わってしまっています。
結果的に白2は焦った手で、上辺の大場へ打つくらいだったでしょう。秀和の返し技が見事でした。