十段戦第3局!井山裕太防衛か村川大介反撃か
どうも!こんにちは。みやれーです。
4月12日、第2局から約20日ぶりの対局となる森ビル杯第56期十段戦五番勝負第3局が長野県大町市「くろよんロイヤルホテル」で行われました。ここまで2連勝で防衛に王手をかけている井山裕太十段と、1勝目を目指す村川大介八段の対戦です。
前回記事
防衛に王手をかけ、十段戦3連覇の記録も気になる井山裕太十段ですが、もう一つ気になるのが挑戦手合いでの連勝記録。井山十段は昨年の名人戦から現在まで16連勝を記録中で、自身の持つ挑戦手合い最多連勝記録である18連勝を超える勢いです。
向かう所敵なしの井山十段ですが、一つ懸案事項があるとすれば、本局が行われている会場の長野県大町市「くろよんロイヤルホテル」で井山十段は、5戦して5敗を喫しているらしいので、その嫌なイメージを断ち切れるかどうか、また村川八段はこの大チャンス(?)を物に出来るかどうか、ですね。
井山裕太VS村川大介
黒番 村川大介。白番 井山裕太。
実戦途中図1
黒1の二間高バサミに白2のカタツキは久しぶりに見ました。左上隅の白のコスミが力を蓄えた厚い手なので、そちらへ黒石を追いやろうという意味ですかね。ただ黒11と下辺を目一杯に広げた感触が良いので、黒に不満がありません。
実戦途中図2
黒1と上辺をヒラいた時、白2とぶつかってから白4の打ち込みは井山十段らしい工夫。白2の筋が悪いので、予想しづらい手段でした。
実戦途中図3
ここでは両者一歩も引きたくないと見て、妥協許さぬ目一杯の手で応戦しています。実戦は白18と切ったことで、白が地で大きく得をしました。が、中央黒19と要石を逃げ出された事で白が苦しそうです。どうシノぐのでしょうか。
実戦途中図4
井山さんの構想は雄大でした。白2とこちらを助けて、上辺の白石は捨てるのですね。左上隅の得とは比べものにならないくらい、黒が地の得を得ましたが、白2〜6と厚くして白8の打ち込みへ。いつの間にか体位を変えて、白か黒二子を攻める格好になりました。
序盤に出来ていた白の厚みが活きる形になりましたね。流石に上手いです。
実戦途中図5
ただ白にペースがあるものの、上辺が取られている損失はかなりデカイので、白は左下で大きな得が欲しい所。
実戦は白2が妙手。僕達アマチュアが苦手で苦手でしょうがない死活ですが、左下の黒は白14でコウになるようです。
ただコウだと、周りの白が薄い関係とかで、白が形勢良しとは言いづらい。形勢判断がめちゃめちゃ難しいです。
実戦途中図6
左下でコウ争いの真っ最中ですが、黒1と左上でもコウを仕掛けました。そしてあれよあれよと言う間に左上の白が取られるし左下は放置だし、理解が追いつきません。少し整理しましょう。
参考図1
まず左下の死活ですが、適当にコウダテをして黒3と抜いたとします。ここで一見、白4と繋げば黒に眼が無いように見えますが、よくよく見ると、周りを囲う白石にも眼がありません。黒9等で攻め合いにされると白も危ないので、白4とは繋げない。なので左下はコウなのです。
参考図2
さて本題は左上の黒1、コウ仕掛けですが、実は白2とアタリにすれば四子は取れています。これならもちろん、左上の白は無事なのですが、黒の狙いは黒1、黒7の二回をコウダテとして使いたいという事です。左下は白の生き死ににも関わる大切なコウですから、ここで二回コウダテを稼がれるのは痛い。
参考図4
最後に左下のコウが放置されている理由ですが、黒1に白2と繋げない理由を覚えていますか?周りの白石に眼が無いため、繋いでも攻め合いになって白危ないということでしたが、左上のコウのフリカワリで中央の黒三子を手中に収めているため、今度は白2と繋いでも攻め合いにされる心配がありません。
よって左下の黒はこのままで死に。取られています。
結果的に、このコウで黒は左上を全て黒地にし、白は左下を全て白地にしたのですね。とても大きなフリカワリでした。
実戦途中図10000
急にヨセに入りましたが、形勢判断をすると良い勝負みたいです。(お互い100目超えそう)
上図は白が頑張ってヨセているため気持ち悪い格好になってますが、ここを最後まで頑張り切れたため、白勝ちになったようです。
まとめ
井山十段勝利!十段位防衛を決めました!!
本局はコウ争いの難しい勝負でしたが、結果的には3連勝で防衛。十段戦三連覇を決めるとともに、挑戦手合いでの連勝数を17連勝と伸ばしました。次の挑戦手合いを勝てば、自身の持つ最多連勝記録に並ぶこととなります。
また井山十段は会場の長野県大町市「くろよんロイヤルホテル」で、6戦目にしてやっとの初勝利を飾りました^ ^
村川八段は局後「完敗」とのコメントを残しているらしく、やはり井山十段の壁は厚かったということでしょうか。リベンジ戦はまた次の機会に持ち越しです。
森ビル杯第56期十段戦五番勝負は井山裕太十段の三連覇で幕を閉じました。井山十段の快進撃はどこまで続くのでしょうね。
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