囲碁は好きですか?

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本因坊秀和 戦わずして勝つ

どうも!こんにちは。みやれーです。


今回紹介する棋士は十四世本因坊家当主、本因坊秀和です。



秀和の特長といえば、その類い稀な計算力を武器とした確実無比な棋風が挙げられます。しかし元々は初手星打ちを試すなどの冒険を好む青年であったと記録に残っていて、それは本因坊家の後継者と見られる頃から徐々に変わり、後年の確実な棋風が出来上がったのだとか。

本局の秀和は26歳本因坊家跡目。十四世本因坊を継ぐ二年前です。この時秀和は並み居る先輩棋士実力で追い越している最中であり、第一人者への階段を駆け上っていました。

碁を見るとわかりますが、コミ無しの白番ながら一切戦わずに碁を支配しています。この頃既に、秀和の確実無比な棋風は完成したと言ってよいでしょうか。

本因坊秀和VS伊藤松和

黒番 伊藤松和。白番 本因坊秀和。

実戦図1


棋譜再生

四隅全てでシマリ合う布石でスタートしました。

右辺白10とツメ、すぐ白12と打ち込むのは秀和の得意戦法。相手を構えてを荒らしてしまうのが好きなようです。

実戦図2


棋譜再生

白は黒1の大場を許しても、白2とふんわり攻めて黒の動きを伺います。

黒3、5は軽快な進出。大分足を伸ばしたようですが、白にも薄みがあるので大丈夫。実戦も白6と右辺を守りました。

黒7、9を先手で効かして黒11へ守る。ならば白も12と、低くされた頭を持ち上げて一段落です。ただ気をつけなくてはいけないのが、黒13は大場に見えて、白8の一路上へハネて切った時のシチョウアタリになっています。

実戦図3


棋譜再生

上図白2は前述のシチョウ防ぎ。黒3も手筋で、捨て石にしながら形を整えます。自然と黒9に石が来たことで、いざとなれば二線から右上へスタコラと逃げ出す保険が出来ているのが嬉しいですね。

黒11と大場へ打って黒足早です。

実戦図4


棋譜再生

上図は僕が本局で一番好きな場面。

白2は左下の黒模様を荒らしに来た手。実戦白6まで荒らされてみると、左辺の黒一子が弱くなっていますね。なので黒7と補強します。黒7と補強されると左上隅の白の構えが薄くなるので白8と補強。すると今度は上辺黒が薄くなるので黒9と補強。するとすると今度は上辺黒模様が立派になるので白10と入るタイミング、と、一連の流れがとても美しい。必然に必然を重ねた応手で、見ていて気持ちが良いですね。

実戦図5


棋譜再生

上図白2は補強兼黒石の切断を見た一着でしたが、黒3はやや問題。右辺を渡ったために白8のツケを呼び込みました。

参考図


棋譜再生

本来白1のツケには黒2と対応したい所なのですが、この碁では白3が厳しく、隅で楽々生きられてしまいます。これは黒まずいですね。


なので実戦黒9と譲歩しましたが、黒13まで白が先手で食い込み、白14に回っては技あり一本。ここでコミ無し先番のリードは消え失せたでしょう。

実戦図6


棋譜再生

白が一本取ったとはいえ、コミが無いというのはそれなりに大きなハンデを背負っているもので、未だ形勢は微細。白勝ちを意識するほどの局面では無いはずです。

しかし秀和がすごいのは、この上図から後は、何も事を起こす気がないとしか思えない打ち方をし始めるのです。上図白12なんて正にその一手で、黒を厚くさせるし地になる手でもない、ただ白石の眼を確定させただけの手です。

秀和は計算力のずば抜けた棋士ですから、まだ100手にも満たないこの局面でも勝ちを読み切っているのかもしれません。

実戦図7


棋譜再生

上図黒1は仕掛けてみたい所。しかし白はここでも冷静に対応するのみです。

白6から二子を捨て石にして白12とハネる。とても簡明に処理しました。

実戦図8


棋譜再生

右上は途中白10が上手いヨセで、右上黒3の下へ切るコウを横目に見られているので、黒は15まで大人しく受けるくらい。ならば白もコウは仕掛けません。

さて、本局でちょっと問題となるのが、黒17のツケです。白はどう対応するのが良いと思いますか?

実戦図9


棋譜再生

実戦は白2と対応しましたが、黒3、5が強烈な返し技で困りました。以下黒17まで一本道で、白が損です。

参考図


棋譜再生

本当は実戦白10で参考図白1とツギたいのですが、黒2の切りと黒4のツケが妙手で、隅に潜り込まれてしまいます。黒10までで隅はコウの形です。


秀和はおそらくこの手段をウッカリしたのでしょうね。実戦白2と対応したのは誤りで、単純に5とオサエている方が良かったです。

ミスはしましたが、この損をしてもギリギリ白に残る形勢だったようです。

実戦図10


棋譜再生

棋譜は最終手まで残っておらず、黒53までしかありません。結果は白勝ちと記載されています。

白1目勝ち。


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まとめ

見ての通り、最後まで戦いらしい戦いはありませんでした。その中で白は一本取って、勝ちにまで繋げれるというのは並みの芸当ではありません。最後ヨセでミスが出てしまいましたが、それが無ければ秀和の傑作譜の一つに数えられていたでしょう。




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