DeepZenGoが引退?電王戦FINAL第1局 ミ昱廷 VS DeepZenGo
どうも!こんにちは。みやれーです。
囲碁AIが急速に力を付けている昨今、日本の囲碁AIを牽引してきた 「DeepZenGoプロジェクト」 が今春をもって終了することが明らかになりました。
今回の電王戦FINALは、そんなDeepZenGoの集大成として開催される大会。これまでDeepZenGoを負かしてきた各国の棋士三名とリベンジマッチを行います。
公式サイト
DeepZenGo引退とありますが、DeepZenGoプロジェクトが終了するのであり、母体であるZenが完全に消滅する訳ではないそうです。ただ事実上の引退ではありますので、今後代表の加藤英樹さんがどのような行動を取るのかが気になります。
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趙治勲名誉名人「囲碁電王戦 FINAL」に登場(4/7) | お知らせ | 囲碁の日本棋院
今日3月24日は電王戦FINAL第1局が行われました。対戦相手として登場したのは中国の芈昱廷九段(ミ・イクテイ)です。
両者の前回の対局は2017年3月、ワールド碁チャンピオンシップで対戦し、芈昱廷九段が勝利しています。
芈昱廷VS DeepZenGo
本局の中で僕が気になった場面をいくつか紹介します。
黒番 芈昱廷。白番 DeepZenGo 。
実戦途中図1
本局は左上から衝突が始まりました。
白は黒1とハサまれたので眼を作らねばいけませんが、実戦は白2、4と下へ潜りました。
出来上がりの図は左上白の形がやや窮屈ですが、白12の大場に先着出来ましたし、左辺も立派な構えを築けているので、形勢は互角でしょう。むしろ白が足早で上手いのかもしれません。
実戦途中図2
上図黒1は強手。上辺の厚みを生かして白を脅かしに来てます。
白4と遮ったのは捨て石作戦。黒5〜11と切られ、以下黒19まで攻め合いは黒勝ちです。ですが白は6、8に出来た厚みに満足し、白20から逆に黒を攻め出しました。
このあたりの体位の入れ替えは白上手かったと思います。
実戦途中図3
黒3で左下は生き。次に白は4のカカリで右下隅の黒にプレッシャーを掛けています。
本来ならば黒は、右下隅を攻められないよう丁寧に受けておくくらいなのですが、実戦は先手を取って上辺の大場へ。黒は地を先に稼いで右下を攻めさせる作戦ですね。
黒が頑張ってきたのですから、白は怒りたい所です。
実戦途中図4
石を攻める時に大事になるのは、その攻めでどんな得をするのかをあらかじめ決めておくことです。
得をする方法は色々ありますよね。石を取ったり、地を得たり、厚みを得たり。今自分がどんな得を得たいかを決めておけば、着手は自ずと決まってきます。
実戦白は中央を厚くすることも出来ましたが、地を取る選択をしました。それが白5、7。黒8と中央へ出られても、白9までの稼ぎで十分との意見です。
実戦途中図5
その後やや変化があって黒が下辺を荒らし、白は中央が厚くなりました。白1は黒の眼を取って攻める手です。
ですが白5が良くなかった。一見黒の退路を絶って厳しそうですけど、雰囲気だけでした。実戦をもう少し追いかけましょう。
実戦途中図6
実は黒には下辺で一眼があり、後は中央でもう一眼作れば良いだけなので余裕があります。実戦も黒4、6、8で眼が出来そうですね。
これで黒が生きてくれるだけなら良いのですけど、この余裕を利用して黒は12、18と厳しい反撃に出ます。
ここで白は劣勢に立たされてしまいました。