Master対AlphaGoZeroの棋譜19
どうも!こんにちは。みやれーです。
AlphaGoが初めて表舞台に立った「李世ドル対AlphaGo戦」からもう約2年が経ちます。それを聞いた時僕は「まだ2年なのか」と、珍しく月日の長さを実感しました。
AlphaGoが出て来てからというもの、囲碁界の進化は凄まじく、展開がとてつもなく早い。次々と新手が産まれては研究され、新AIが出ては研究され、正に今、囲碁の常識が大きく動いている時代です。
たった2年ですが、李世ドルが戦ったバージョンのAlphaGoレベルのAIはたくさんいるし、それに勝てる棋士もたくさんいます。
AIだけでなく、人間の進化も凄まじいのです。
これから囲碁はどこまで進化の足を伸ばし続けるのでしょうね。後2年くらい経てば、このMasterやAlphaGoZeroが可愛く見えるような強いAIや棋士も出てくるのでしょうか?
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実戦譜
黒番 AlphaGoZero。白番 Master。
実戦図1
上図のような布石はこの両者で何度も打たれていますね。
黒19のハサミの位置は色々あるみたいで、三間に低くハサミも打っています。しかし実はZero、直近のMaster戦で三間低いハサミを使って2連敗していて、その経験を踏まえた上での、二間高バサミなのかもしれません。
実戦図2
ただこの布石も白10とカケた形は黒のハサミの石が置いてきぼりになっているので、白が良さそうに見えますけど、Zeroはどう判断しているのでしょう?
右下黒のツケ二段からは定石化された手順ですね。
実戦図3
白2は感じが良い手。右辺の黒模様を制限しながら、白模様を助長する手助けも出来そうです。
黒7から突入してきましたね。白8は黒9と変わる事で、黒石を取った時の価値を大きくしています。
黒17まで下辺に潜り込んで来ました。まるで地中を這うモグラのようです。
実戦図4
下辺の黒が生きるのは容易そうです。しかし一線や二線で生きるだけなら辛く、白はありがたいのですが、黒19からちょっかいを出してますね。こういう所はZero上手いです。
ちなみに右辺は白8〜14のコンビネーションは上手く、先手で白が荒らしています。
実戦図5
黒1はコウダテかな?くらいにしか考えていませんでしたが、黒13から堂々と逃げ出していくのは驚きです。なんというパワーでしょう・・・・。
ただ石を逃げているだけなのに、黒石からはまるで攻めているかのような迫力を感じます。これがZeroらしさですかね。
実戦図6
一瞬の出来事ですが、上図でフリカワリが起きました。
問題は黒5と切られた瞬間です。ここに目が行く黒も凄いのですが、白が6と反発したために、上辺の白地かと思われた場所が黒11で一転、黒地へと変化しました。
その分、下辺のスタコラと逃げ出した黒石達は捕獲される運命になりそうですが、一瞬のフリカワリで何が何やらと言った感じです。問題は形勢ですね。
実戦図7
上図で黒は目一杯のヨセ。おそらく正しいです。
形勢判断をしてみると、はっきりと黒地が多そうです。ということは、先程のフリカワリは黒が上手くやったという事ですね。僕も結果論でしか語れないくらい難しかったです。