本因坊道的 早世の大天才
どうも!こんにちは。みやれーです。
今回紹介する棋士は本因坊道的です。
もしかすると、道的を知らないという人も多いかもしれませんが、現代のトップ棋士、それも世界のトップ棋士と比べても遜色ないくらいの大天才です。
道的の師匠は言わずと知れた本因坊道策。
道策もたった一人で囲碁の研究を100年分早めたと言われるくらいの天才ですが、道的はそんな師匠道策に対し、19歳の時にはもう肩を並べていたと言われています。
そんな大天才の知名度がなぜ低いのかといえば、それは21歳という若さで亡くなってしまったからに他なりません。もっと長生きしていれば、まず間違いなく囲碁の歴史を変えていたであろうと思われます。時代が時代とはいえ、とても残念ですね。
しかし道的は少ないながらも、現代に棋譜を残してくれています。今回はそこに宿る一手一手から、道的の生きた証と、その強さを見ていきましょう。
実戦譜
実戦図1
棋譜再生
師匠道策の黒番です。
当時の碁にはコミがないので、黒番有利というのが通説です。しかしこの碁は道策が黒を持っていますから、道策は道的を同格レベルだと認めていたということですね。
実戦図2
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上辺白2のツメに黒3とハサんでからは、黒地が増えるばかりで白地が増えた感じはしません。
なので普通は白が怖そうな打ち方ですが、道的はこれでも十分打てるとの主張です。
実戦図3
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当然のように見えた上図黒1が問題との指摘があります。
一見、地を取りつつ白石に迫っている良い手に見えますが、白4、6の反撃が上手かったのです。
白4で二線にツケる手を封じ、白6、8と強気に黒の頭を止める。露骨ながら厳しい好手でした。
実戦図4
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白の攻めの効果は上図で良く現れています。
黒は生きるために黒3、5、7などと守りの手を打たねばならず、右下の白の構えが、自然と立派な白地となりました。
中央も白14と厚くし、明らかに一本先取。黒番コミなし分くらいのリードは吹き飛んだと言って良いでしょう。
実戦図5
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上図黒1は俊敏な仕掛け。一本取られた瞬間に仕掛けて来るあたり、流石道策です。
白4は好手。いわゆるモタレ攻めというテクニックです。
左上の黒の攻め一つに力を入れると、それをかわされた時の痛手が大きくなります。なので白4は左下の黒地を減らしつつ、黒の攻めも見る打ち方。強い人がよく使う負けにくくする技です。
実戦図6
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碁形がだいぶ決まってきましたが、形勢は互角の勝負です。
元々コミなしである事を考えれば、白が上手く戦っている事がわかります。しかし道策も簡単には土俵を譲りません。ヨセ勝負です。
実戦図7
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白34まで。
黒1目勝ち。
実はこの碁は最後まで棋譜が残っていません。黒が1目勝ったという結果だけが伝えられています。
総評
流石天才同士の碁だけあって見応えのある一局でした。
どちらかというと白、道的の技が冴えていましたが、中々碁を決めさせない道策の力も流石です。
結果は黒1目勝ちです。僅差のわりには棋譜にヨセが残っていないのは不思議ですが、本因坊家内での対局、師弟での対局とあって、棋譜を残す意味を持っていなかったのかもしれません。
しかし、こうも綺麗にヨセだけが残っていないところを見ると、本当は白の道的が勝っていたけれど、黒番を持つ師匠道策の面子のために、あえてヨセを緩めたか、結果を黒勝ちに偽装したのではないかと夢想してしまいます。黒番で負けるのは下手であることを意味しますからね。
現代を生きる僕達に事実を知る術はありませんが、ここまで強い道的がもっと長く生きていたら、一体どんな碁を残していたのか。興味が尽きません。
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