本因坊烈元 本因坊家当主たる所以
こんにちは。みやれーです。
今回紹介する本因坊烈元は、1700年代後半に活躍した棋士で、十世本因坊家当主です。
僕が好きな本因坊元丈の師匠としても知られていますが、実は烈元自体は、スター棋士達と比べると評価が高くありません。
理由は、同時期に活躍した七世安井仙知に負けが込んでしまったためですが、そうは言っても名門、本因坊家当主。素晴らしい碁もたくさん残しています。
本局の烈元は41歳。古碁ならではのゆったりのした流れを感じて頂ければと思います。
黒番 林門悦。白番 本因坊烈元。
実戦図1
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当時の碁はコミがありません。となると黒番が有利ですので、どうやって白がポイントを取るのかが問題です。
黒11〜19は当時流行した定石。現代ではまずお目にかかる事はありません。
白20、黒21ともに好点。
実戦図2
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上図白8は先手。
上辺白10や黒11は狭い所に打っているように見えますが、黒白両方の眼に関わる大事な要点です。
黒17がもしかしたらやや問題だったか。左上を固めてしまうマイナスがある手なので、左下白一団を攻めてプラスを取り返さないといけなくなりました。
実戦図3
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黒1の攻めから、下辺に手厚い地が出来たのは黒のプラス。左辺白も威張れた形ではないので、黒がポイントを上げています。
しかし問題はこの黒のプラスが左上隅の白地を固めたマイナスを取り返せているのかどうかです。とても難しい問題ですが、結果から見ると、ここでわずかに白が得をしているのだと思います。
実戦図4
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上図は黒白とも、弱い石から動くという基本を忠実に守っています。
白4は大ゲイマジマリの薄みを守った手。黒も守られた大ゲイマジマリを無理に荒らす事はせず、黒5から決めて自陣の足しにします。
白22は盤上最大。弱い石も無くなったのでこれからはヨセ勝負です。
実戦図5
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ヨセは二線からと言いますが、本局では正にその通りです。
中央が大きい時とは基本的に、どちらかに薄み、弱みがある時に大きくなる傾向があり、本局のように生きている石ばかりで、切れる所もないような碁では、地の増減が大きい二線が優先されます。
実戦図6
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上図白4は手筋。切られる訳にはいかないので、黒5は仕方がないです。
黒11も手筋。白から上辺のハネツギを後手にしています。
後は言う事もないくらい平凡なヨセです。
実戦図7
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実戦図8
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最終手まで載せました。黒41まで。
白1目勝ち。
たった1目白が抜け出しました。
本局は終始ゆったりとした流れの中碁が進み、戦いらしい戦いは起こりませんでした。
コミなしの碁ですので黒が有利で始まったはずですが、黒にはっきりとした悪手、緩手もなく、強いてあげるのであれば実戦図2であった一手くらい。逆にそこを問題に上げるしかないくらい、黒の打ち方も素晴らしかったのです。
しかし結果は白勝ち。これが烈元が本因坊家当主たる所以というか、烈元の芸が遺憾なく発揮された名局かと思います。
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