囲碁は好きですか?

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本因坊秀甫 ダイナミックな攻め

こんにちは。みやれーです。


本因坊秀甫は江戸後半から明治時代を生きた棋士で、十八世本因坊家当主です。


秀甫は歴代本因坊と比べても特に、「攻め」に秀でた棋士と言えます。また、秀甫には中央思考な一面が顕著に現れ、小目からのシマリは必ずといっていいほど「一間ジマリ」を使いました。小ゲイマジマリよりも一間ジマリは中央で力を発揮します。秀甫の攻めの力と相性が良かったのでしょう。


本局は先輩の本因坊秀策相手に、秀甫がダイナミックな攻めを見せた好局です。


黒番本因坊秀甫。白番本因坊秀策。

実戦図1

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白2の星は当時では珍しい手ですが、秀策は時折試していたようです。黒1、3か一間ジマリ。秀甫かあまりにたくさん打つものですから、「秀甫の一間ジマリ」と言われていたりします。
黒5、7の両ガカリに対し、白は8、10と地に辛く打ちました、白12と繋いだ形は良くないのですが、白16までで白はしっかりと地を取っています。

実戦図2

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黒3、5は珍しい打ち方。通常は黒5で白6の所へ切るものですが、秀甫は工夫して打ってきました。
白8はこの一手。これ以外では甘くなります。

参考図

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白2と打つと、黒3とノビられてしまいます。黒9までの形は黒が勝ります。

実戦では黒23までで黒一団が目を持ち、白24で下辺が白模様となるフリカワリになりました。個人的には白が面白い分かれだと思います。問題は黒31の打ち込みがどうなるかですね。

実戦図3

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上図黒3〜11と打つ事で黒は下辺で生きを得ました。しかし黒15までの形は黒が辛く、やや白良しに見えます。
しかし黒17が上手い手でした。白は18が妥当な手ですが、黒19、白20の変わってから黒21。次に白8の上へツケられると困るので白22も仕方がない。そこで自然と黒23で連絡しました。まさに流れるような打ちまわしで、秀甫の上手さを見せる数手だったと思います。

実戦図4

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上図が本局最大のハイライト。白2と打ち込んだ瞬間に黒3と切り返したのが好手でした。普通は白2のあたりに挨拶するものですが、黒3と打つことで白2への攻めを残しつつ、下辺白、右辺白の薄みを狙った素晴らしい手です。
白8は補強のため仕方ない。ですが黒9、11、13と黒に勢いがついてきました。こうなってくると上辺の白2が危なくなるので、守りの手を打つよりなく、流れは完全に黒ペースとなってます。

実戦図5

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上図黒3から下辺の白をいじめに行きます。白14などは辛いですが、逆に黒に打たれると切られてしまうので仕方がない。ですがこういう目数にならない手を打つのは本当に辛い所です。

実戦図6

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碁はヨセに入っています。形勢ですが、地は両者拮抗しているようですが、何分黒が厚い碁形ですので、黒がやや良いでしょう。

実戦図7

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白も上図白14と切って最大の抵抗を見せますが、黒17とあえてコウを仕掛けて調子を作り、黒31としっかり連絡しては、黒に残る碁のようです。

実戦図8

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最終手まで載せました。黒53まで。

黒3目勝ち。

棋譜が最後まで残っておらず、結果だけが残っています。江戸時代の棋譜にはよくある事です。


本局は序盤で秀策が先輩の貫禄を見せ、コミなしながらも勝負に持ち込んでいたと思われますが、中盤以降の秀甫の打ちまわしは素晴らしかった。特に白が上辺の黒模様に打ち込んだ瞬間、普通は上辺方面にしか目がいきませんが、下辺から碁を動かした視野の広さ。感服します。

本因坊秀甫の力も上手さも見える名局でした。




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