本因坊秀和の形勢判断力
こんにちは。みやれーです。
本因坊秀和といえば、地に辛く、正確な形勢判断力を武器としていました。
今回紹介する碁も徹底的に地を稼ぎ、相手に大模様を張らせる碁に導きました。
しかし秀和の凄い所は、その大模様を大きく荒らしに行くのではなく、外側からじわじわとヨセて、いつの間にか勝っている所です。
入らずとも勝てるという形勢判断が、そんな秀和の妙技を支えているのです。
黒番太田雄蔵。白番本因坊秀和。
実戦図1
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黒番の太田雄蔵は結構模様が好きなイメージがあります。秀和は地に辛いので、自然と碁形は決まりますね。
現代では白8は悪いと言われていますが、そんな問題になるほどではありません。
実戦図2
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上図が本局のハイライト。
黒5のカタツキに白は6~10と受け、黒11にも白12~16と全て受け切りました。
左辺から中央にかけて大きな黒模様がある中で、ここまで焦らず打てるものでしょうか。秀和ならではの打ち方でした。
実戦図3
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上図黒1。これがやや不評な手のようで、もう少し広めに構えるのもあったと思います。
黒5には流石に受けませんでした。上辺で小競り合いが始まりそうです。
実戦図4
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上図白2は手筋。華麗な打ち回しで隅に食い込みました。黒もそのかわり上辺のポン抜けてるので、良い勝負のフリカワリだと思います。
実戦図5
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だいぶ形が決まってきましたが、コミ無しなので細かい勝負です。ただこれからのヨセが難しい。
実戦図6
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上図白2は大きいヨセ。しかし黒3も先手で大きい。
白10は厚いヨセ。中央の利き筋など諸々を消しています。秀和の事ですから、もうはっきりと計算が出来ているのかもしれませんね。
実戦図7
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形勢はやはり細かいです。残るヨセも少なくなってきました。
実戦図8
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最終手まで載せました。(黒57まで)
白2目勝ち。
微差ながら白が勝ちました。
最初大模様が出来た時は、生きるか死ぬかの勝負になるのかと思いましたが、黒の広げ方が小さかったこともあり、ヨセ勝負に。結果的に白は大模様に足を踏み入れることなく勝ちを得ました。
これで白が負けていたらひどいですが、そこは流石秀和。形勢判断が正確です。
本因坊秀和が存分に個性を発揮した好局でした。
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