美しい石運び 大竹英雄
こんにちは。みやれーです。
今回紹介する大竹英雄九段は、『大竹美学』と言われるくらい、美しい碁を打ちます。
美しいとはなにかといえば、形が良く、筋が良く、先を急がずゆっくりと打ち進めるその石運びが美しいのです。
今回選んだ本局は、特に綺麗でかっこよくて、大竹九段の名局です。
鑑賞するには最高の一局だと思います。
実戦図1
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大竹九段の白番。とてもゆっくりした布石ですね。近年では滅多に見ない立ち上がりです。
実戦図2
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上図白4が素晴らしい一手ですね。良い悪いちょっとわかりませんが、大竹九段らしいゆったりとした打ち方です。
また、白10と遮っていくのも僕には無い発想でした。上辺より左辺を優先したのですね。
実戦図3
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上図で白8と打ち込んできた時、黒9、11と下辺に打ち込み返しました。
参考図1
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本来であれば、上図の黒1のように打ち込まれた所を打ちそうですが、仮に黒1だと中央が厚くなるだけで、黒が甘くなります。厚みを使える場所が無いのです。
など、白の打ち込みへの対処が難しいので、手を抜いて下辺へ打ち込み返した訳です。
実戦図4
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こうして見ると、何となく白の石が伸び伸びしてるのですよね。全ての石が働いている感じです。
このままではいけないと見て、黒13から石を切ってきました。
実戦図5
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上図白2、4は厳しいツケ切り。ここからコウが始まりました。
しかし、すぐコウを仕掛けるのではなく、白10からふんわりプレッシャーを掛けたのが面白い一手。黒の打つ手が難しくなってます。
実戦図6
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上図黒1とノゾかれた場面。普通なら何も考えず繋いでしまいそうですが、大竹九段は白6と飛びました。黒と切られる事で黒地が20目くらい増えましたが、問題無いと見ています。
白10も面白い手ですね。黒が辛い形になってきました。
実戦図7
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上図黒1はコウも解消したいですが、中央に白地が大きく付きそうで仕方が無い。
逆に白はコウに勝って地も増えたし、黒の目も怪しい。上手く局面を動かしています。
黒13からは玉砕覚悟の仕掛け。ここで勝負が決まります。
実戦図8
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最終手まで載せました。(白32まで)
白中押し勝ち。
最後は大石同士の攻め合いになりましたが、白が勝ちです。
本局は白の作戦勝ちでした。というか、白に悪手がなかったです。
序盤でのゆったりした手の連続。それでいながら形勢は遅れていないバランス感覚。大竹九段の良い所がたくさん出た一局でした。
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