本因坊秀策 黒番の確実な勝利
こんにちは。みやれーです。
本因坊秀策の時代は現代と違い、コミがありません。
なので、一手先に打てる黒番は有利とされ、江戸時代後期~コミ制度が出来るまで、同レベルの相手との勝負において、黒番は絶対に勝たなくてはいけないと言われていました。
つまりは黒番を勝ち続ける限り、例え白番で負けたとしても、その人に負けた訳ではないという、そういう理屈。
秀策はその点、絶対的強者といえます。
秀策は黒番での得意布石『秀策流』に代表されるように、黒番での勝ち方に定評があります。
一瞬も隙を見せず、遅れも取らず、対局開始から終局までずっと黒番のリードを保ち続ける事が出来る棋士でした。
本局はそんな秀策の黒番譜です。
黒番本因坊秀策。白番加藤正徹。
実戦図1
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白6は当時では珍しい打ち方。秀策流に対策を立てていたのかもしれません。
白16は現代なら一路左へ挟みます。黒23までなら黒に不満がありません。
実戦図2
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上図白8は左下白の応援も兼ながら、左辺の地を制限する頑張った手。
ここで、黒15が初見とても驚いた一手。普通は白地を増やすだけの悪手ですが、黒17へ飛ぶ事を考えると、下辺の黒模様を大きくする手厚い一手となっています。
逆に15の地点へ白に押されるのとの差は大きいです。
実戦図3
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上図白14と押した場面。上辺が大きくなってきたので、普通であればどこか上辺に打つと思いますが、秀策が打ったのは黒15。
こういう手は秀策らしいですね。上辺は今すぐ入る必要無しと見て、手厚い一手で盤面全体を睨んでいます。
実戦図4
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黒1から上辺を減らしにいきました。
黒9~21は上手い手筋。白の弱点を上手く突いています。
実戦図5
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上図黒7~13は厚いシノギ方。これで眼形が豊富になりました。
黒17に回れては黒優勢です。
実戦図6
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上図黒3と一目取って万全の体勢。後はヨセです。
白8から少しややこしい手順ですが、変化の余地は無いようで、おそらく最善です。
実戦図7
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上図ではあまり言うことがない平凡なヨセが続いています。
実戦図8
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最終手まで載せました。(黒43まで)
黒中押し勝ち。
最後は白38で39の所へ打てば無事でしたが、それでは足りないと見て、玉砕に行きました。
本局は黒に悪かった瞬間がなく、その一歩一歩進む足取りはとても綺麗で、秀策らしい確実な勝利となりました。
逆に白にはっきりと悪い手も見当たらなく、しかしそれでも黒が勝てる所が、秀策の芸の深さでしょうか。
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