AlphaGo対AlphaZeroの棋譜15
こんにちは。みやれーです。
『主導権』の捕らえかたは人それぞれでしょうが、二人の実力が高ければ高いほど、主導権は重要な意味を持つと思います。
まだ碁が良くわからない内は、自分で碁を動かしていっても、結果勝利まで持って行けるのかは疑問です。しかし強くなって、碁を勝利まで導ける実力があると、主導権はなにがなんでも欲しい一品なります。
本局のZeroは、常に自分のやりたいように碁を動かしている印象を受けました。つまり主導権を握っている訳ですが、その碁を『小差』で勝たれてしまっては、一体どこまで読めているのかと不安にさせられます。
Zeroにとって「これで勝てる」の「これ」って、どこまで細かい事を指すのでしょうか。
黒番AlphaZero。白番AlphaGo。
実戦図1
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今シリーズ初のタスキの布石です。
一体どんな碁になるのか楽しみですね。
実戦図2
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左下隅は良く出てくる形。
右上隅白20が意外な一手。人間の間では、白20からのこの定石は白が損だとされているのですが、配石の関係で白打てるという主張でしょうか。
僕には黒が良く見えますが・・・・。
実戦図3
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上図白8、10と押して景気は良いですが、黒11等の打ち込みに対応出来なくてはいけません。
おそらくこの黒11をシノぐのは、Zeroでなくとも苦労しないでしょう。白の形に断点がいくつかあって、取りに行けないのです。
実戦図4
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上図黒3とは厳しい。所謂『三目の真ん中』であり、形の急所です。おそらく捨て石気味に打って、黒の形を整える狙いでしょう。
白はそれを察知してか、白4から反発。
黒も7、9から13、15と繋げて見事な応酬。黒は最高の形で右辺の石を逃げ出し、白は左辺から中央に大きな模様を広げました。
とても見応えのある攻防です。形勢は難しい。
実戦図5
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上図白8はモタレ攻め。また白16、18と、白は「攻めるぞ」と腕を振り上げてる訳ですが、黒は構わず黒21から隅を生きに行きました。このあたりはシノギの得意なZeroらしい面白い打ち方ですね。
白はここで怒れるかどうかが勝負に影響してきそうです。
実戦図6
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上図白8と手を抜きました。右辺コウに弾く嫌がらせは残ってますが、それほど痛手にはならないかもですね。黒のシノギが成功しています。
黒17とハネた事で、碁は大ヨセに入りました。
実戦図7
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実際の形勢はというと、黒が各所で上手く稼ぎましたが、なんだかんだで中央がこのサイズで地になったのは大きかったらしく、細かい勝負です。
ヨセのミスも見当たりません。
実戦図8
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上図は謎の手が多いですが、地の損は無いようです。ただ黒29は不可解です。中央にコウが出来てしまいました。
実戦図9
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最終手まで載せました。(黒43まで)
黒中押し勝ち。
最後のコウですが、黒がコウに勝てるのなら勝敗に影響はありません。
この後も打ち続ければ黒の2目半勝ちでしょうか。
後一歩だった。と言えるかもしれませんが、ずっと碁を動かしていたのは黒でしたから、それで2目半の差ならば、Zeroは「概ね予定通り」と笑ってるかもしれませんね。
Zeroの強さは底が見えません。
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