囲碁は好きですか?

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平成四天王 高尾紳路

こんにちは。みやれーです。


世の中には、その時代ごとに人々を引っ張っていく人物、頂点に君臨する人物が存在します。

現在の日本囲碁界でいえば、井山裕太六冠です。

去年前人未踏の全タイトル七冠同時制覇を成し遂げ、一年で名人のみを奪われたものの、今年の名人戦を再び勝ち抜き、あと一勝で二度目の七冠制覇の所まで来ている人です。

そんな怪物級の成績を残している井山六冠ですが、そうなると逆に、去年井山六冠から名人を奪取した人も凄いですよね。

その人の名前は高尾紳路名人。井山六冠の前に時代を引っ張っていた人です。


井山六冠が20歳で初タイトルとなる名人を奪取し、そこから6年で七冠を達成する一つ前の時代、平成四天王と呼ばれる人達が日本の頂点にいました。

張栩九段、山下敬吾九段、羽根直樹九段、そして高尾紳路名人を含めた四人です。

僕もこの四人が頂点の時代を見て育ったので、皆大好きな棋士です。

今回はその内の一人、高尾紳路名人の碁を紹介しようと思います。

この碁のキーワードは[一石碁]です。


黒番高尾紳路。白番王銘エン


棋譜再生

高尾さんの碁は普通の手を打つオールラウンダー。
あえて奇をてらった手は打たず、相手に合わせて戦うのが特長です。
今回の相手の王九段は積極的に仕掛けていく棋士なので、序盤から戦いが始まりました。


棋譜再生

上図黒3からサバキを求めたのは上手い。白が隅を取るか譲るかの様子を見ています。
実戦は白が隅を取りにいったので、下辺の黒石が余裕を持ってサバキました。
白としても、中央に厚みを蓄えた言い分がありますが、形勢は黒持ちでしょうか。


棋譜再生

上図白12は、僕ならもう少し右に寄せて打ちたいです。白としては左辺の黒模様へ殴り込む事を狙っての着手でしょうが、黒15と備えられてみると白12の位置が不十分に見えます。
逆に言えば、黒15が白の弱点を上手く突いた好手でした。


棋譜再生

このまま何事も無ければ黒が地合い有利ですので、白は必死に攻めの手掛かりを求めています。
そんな中上図黒13、15が冷静な手。黒は右辺を破られても問題ないようです。
実戦を見てみると、白が攻める手掛かりを探していたはずが、いつの間にか白石が切れて目がありません。黒が上手く体位を変えました。


棋譜再生

上図白18は黒の目の関係で先手。
実戦黒23の時点でよく見ると、盤上の黒石が全て繋がっている、所謂[一石碁]になっています。(中央天元の部分は黒から繋がる手が先手)
碁は相手がいるゲームですから、中々自分の思い通りにはいかないもので、石を繋げたいと思っても相手はちゃんと切ってきます。
なので一石碁は余程上手く打たないと出来ない現象で、とても珍しいです。
一石碁の利点は自分の石に目の心配が無いことと、相手は切れてる分、目を脅かせれることです。
上図黒23もその効果で抵抗出来ず、黒地がどんどん増えていきます。


棋譜再生

最終手まで載せました。(黒31まで)

黒中押し勝ち。

上図白2は無理を承知で反発しましたが、最後は的確に咎められ、中央の白一団が取られてしまい投了もやむなしです。

この碁は高尾さんの名局ですね。内容が素晴らし過ぎます。

前述の通り、一石碁はとても上手く打たなければ出来ませんが、そこを高尾さんは無理なく自然な一手を積み重ねて作り上げました。高尾さんの持つ深い芸が為せる技でしょう。


現在高尾名人は名人戦で井山六冠相手に1勝3敗と窮地に立たされていますが、高尾名人は調子が上がればどんなに強い相手でも圧倒出来るほどの芸を持っています。
最近も世界戦で中国のトップ棋士に、良い内容で勝っていました。
名人戦が厳しい戦いであることに変わりはありませんが、僕も高尾名人の碁をもっと見ていたいので、頑張って欲しいです。

七局目まで見せてくれーーー!!




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