李昌鎬の神算と不思議な序盤感覚
こんにちは。みやれーです。
僕は昔ヨセが嫌いでほとんど勉強しなかったのですけど、思い立ってヨセの勉強に力を入れた時期があります。
このブログでよく取り上げさせてもらっている安井知得の碁もこの時期によく並べてました。
ただヨセの勉強をする上で知得以上に避けて通れない棋士がいます。
韓国のスーパースター。李昌鎬九段です。
現在で40代前半くらいだったでしょうか?
今でも韓国のトップ棋士として活躍してますが、始めて世界戦で優勝した時は16歳でした。
そこから世界戦を制覇し続ける事21回。
韓国国内の棋戦でいえば140回も優勝してるらしいです。
そんな囲碁界の生ける伝説、李昌鎬九段ですが、彼の最大の武器は[神算]と称されるほどの正確なヨセにあります。
今回紹介する碁も、終盤のテクニックが随所に出てきます。
あと序盤戦の李九段の工夫も面白い碁です。
白10のコスミツケに対しては黒11と軽く打つ所。
白14が面白い着点。小目へ普通に一間にかかるのは右上が広い場合良くないとされているので、少しひねったのでしょう。
上図白2が李九段の独特な工夫。通常であれば5の所へ一手掛けるはずですが・・・変わった打ち方です。
黒3から黒が巧みに動いていきます。白18で19へ抑えればコウになるでしょうが、中央に切られては上手くいかないとの判断でしょう。
黒は上手く生きて、白は厚みを得る展開となりました。
上図黒3はどうでしょう。6の地点も大きそうなので、難しいです。
白12と三々に入り、白22と切ってコウが始まりました。
白は左上が厚いのでコウを仕掛けました。
実戦は白が一本取りましたが、李九段の打ち回しが上手く黒は回避が難しかったです。
下辺白がハサミツケから手をつけてきました。上図白10、12のコンビネーションが上手く、黒地を減らす事に成功。しかし白22の三子取りがまだ小さい。何処か中央のあたりを補強すべきでした。その隙を付いて黒25と打てては、黒優勢です。
白に繋がる手ばかり打たせているのが上図黒1の効果。
黒23がミスで左辺の白地を減らす方が先決です。白24、26と目一杯囲えて難しくなりました。
難しいヨセが続く中、上図黒27が不要の頑張りで、単純に28へ打っていれば黒勝ちでした。実戦では細かいながらも白勝ちです。
最終手まで載せました。(黒73まで)
白1目半勝ち。
白の独特な序盤からヨセの逆転まで、李九段らしさが出た一局でした。
また、黒の常九段も結果にこそ繋がりませんでしたが、じっくりと我慢しながら一瞬の隙を付いて形勢をひっくり返していたり、二人の好局だと思います。
常九段が終盤もたつきはしましたが、負けの碁をヨセでなんとかしてしまう李九段の勝負強さが光った碁でした。
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