超大模様、固定観念の破壊
こんにちは。みやれーです。
今回紹介する碁は、鈴木越雄九段の超大模様の碁です。
模様の碁は、まとまれば大きな地になる夢がありますが、その分相手に入られ安く、上手く消されると一瞬で負けになる怖さもあります。
まるで100点を取るか0点を取るかみたいなもので、通常であれば避けるのが常識です。
しかしこの碁はそんな常識に一石を投じる内容で、鈴木九段の信念を感じる碁です。
観賞用としても素晴らしく、最後まで楽しんでもらえると思います。
黒番鈴木越雄。白番呉清源。
開幕から仰天の手が出ました。黒5!
頭の中をぶん殴られたような衝撃です。善悪を超えた一手と言えるでしょう。
黒はどんどん中央へ足を伸ばします。
中々見ない打ち方ですが、これも一局。
碁の自由さを痛感します。
上図黒1が好手で、三子を捨て石にして黒の厚みを強力にしました。
黒15の抑えに回って黒がやや優勢です。
とにかく黒は自由で思い切りがいい。
実戦の進行が正しいかどうかはわかりませんが、そこは問題じゃないんです。
自分の好きなように打つ。
ついつい勝敗ばかりに目がいってしまう僕ですが、楽しさを追い求めるのも囲碁なんだと教えられた気分です。
最終手まで載せました。(197手まで)
後半も大激戦でした。コウが長く続いたために画像では棋譜が見づらくなっています。最後まで並べたい方は、リンクから棋譜サイトに飛んでご覧下さい。
この碁は何と言っても序盤戦。
黒5からの独創性が素晴らしい。当時最強棋士の呉清源さん相手にここまで打てる棋士がどれほどいたでしょうか。
僕も昔はこの碁の序盤だけを何度も何度も並べました。そのくらい魅力された碁です。
何度も言うようですが、この碁は善悪で捉えてはいけません。
盤上に自分を映す、鈴木九段の表現力を見てください。
自分にしか打てない一手で、自分にしか打てない碁を作り上げる。
憧れは募るばかりです。