秀策の強さ
こんにちは。みやれーです。
秀策といえば、漫画ヒカルの碁でも登場した事から、ご存知の方も多いでしょう。
秀策はお城碁での19戦全勝。そして当時の流行り病から本因坊家を救うため、周りの制止を振り切って病人の看病にあたったことで自身が病に倒れ、33歳の若さで亡くなってしまったエピソードが有名です。
現代でも囲碁界の英雄といて語られる本因坊秀策。その棋風といえば、正確なヨミと正確な形勢判断を武器に、戦わず、美しく勝ちます。
今回の碁も地味ですが美しい碁を選びました。
言わずと知れた秀策流の立ち上がりです。
現代ではあまり見なくなりましたね。
右下は黒がわかりやすい打ち方を選んでいます。
無理をしない大場の打ち合いも秀策らしさです。
本当に自然に進んでいます。
現代ではすぐに戦う碁が多いですが、こういうゆったりとした碁も気持ちがいいものです。
右上が一段落し、上辺の白模様が大きく見えますが、黒19と一歩一歩進みます。
これで上辺がまとまらないと見ているのですね。
この碁の一番のポイントは上図黒11。ただ繋がった手で、直接地にはならない手です。しかし秀策は無理をせず、これで打てると判断しています。もしこれで負けなら前図黒19で別の手を選びますから。
もう少し進むと、黒優勢がはっきりしてきます。
結果的に、黒は上辺を破る事に成功しました。右辺白30に対しても、黒35が用意の手で問題ありません。
最終手まで載せました。(黒79まで)
黒9目勝ち
ヨセが最後まで打ち終わっていませんが、江戸時代の碁には最後まで記録せず結果だけのものも多く、今回もその例です。
秀策がどの手で勝ちを確信したかわかりませんが、おそらく早い段階から勝ちが見えていたのだと思います。
最初から最後までゆったりと打ち進め、気がつけば勝ちになっている。秀策の目に見えない強さを感じる一局でした。